メンテナンスは自分にも

息子の虫歯騒動以来、これ以上悪化させないように気を付けていたら、自分の歯に違和感を覚え、そう言えば随分歯医者さんから遠ざかっていたなと予約を入れることに。まさかの学級閉鎖で、まだ息子が在宅の日だったので、早めに昼食を用意し1時間で帰ってくるからと家を出ました。そして、病院に着くとなんだか懐かしくなって。前に来たのは、まだ息子が赤ちゃんの時。コアラのように抱っこされているのが居心地良かったからか、診察台に寝転ぶ前に、離そうとすると半泣きしてしまいました。それを見た穏和なご年配の男の先生が、そのままでもいいよと優しく言ってくれたので、そのままにさせてもらうことに。ウィーンという音と共にフラットに近い状態になっても息子はくっついたまま。その姿勢を客観的に想像したら笑えてきてしまい、口を開けて心を落ち着かせるのが大変でした。あれからもう9年か。そして、呼ばれたのでまずは歯科衛生士さんに診てもらうと、定期的なクリーニングを薦められ、しっかりと歯石を取ってもらうことに。この機械音がどうしようもなく苦手なんだよなと思いつつ、無事に終了。その後、確認の為、歯科医師の先生が来てくれると、若い男性の方で息子さんだとなんとなく分かり、嬉しくなりました。以前お世話になった先生は、息子さんに継いでもらったんだなと。物腰の柔らかさまで引き継がれていて、胸がいっぱいになった時間。そして、久しぶりなのでレントゲンも撮ってもらい、再度画像を見ながら先生が伝えてくれました。「長いしっかりした歯ですね。大事にしてください。本当にいい歯の形をしていますよ。」そう言って、根っこの方を指しながら笑ってくれました。レントゲン写真を見て笑われたのは、多分二度目だなと嬉しくなって。一度目は、まだ地元にいた頃に自転車に乗って車にはねられ、救急車で運ばれた病院でのこと。私のレントゲン写真を見た若い男の先生がひと言。「骨太っ!」第一声がその言葉だったので、一緒に笑ってしまって。「ひびぐらい入っていてもおかしくないのに、骨に異常ないよ。なんでこんなに太いの?」「牛乳好きなんです。」とかなんとか適当なことを言うと、また笑ってくれました。それから、随分時が経ち、祖父が他界し、お骨を拾うことに。担当してくれた男性の方が遺族に向けて伝えてくれました。「○○さんのお骨はとても強くしっかりとしたもので、正直こちらも砕くのが大変でした。それぐらい、太いものでした。」その言葉と、祖父の骨を見て、誰にも気づかれずに一滴の涙を流した父。お父さん、見た?おじいちゃん、この強い体で生き抜いてくれたんだよ。シベリアから帰還し、家庭を持ち、お父さんが養子に入ってくれて私達が生まれ、ひ孫の男の子達ができたの。おじいちゃんの強さを忘れない。その太い骨を見て思いました。ふと我に返ると、自分の歯のレントゲン写真があり、虚弱体質だけど、骨格は強く産んでくれた両親に感謝だし、おじいちゃんから譲り受けたものかなと不思議なものを感じて。根っこにあるもの、守っていこう。

歯医者と言えば、名古屋にいた頃、ネネちゃんが通っていた歯医者を教えてもらい、私も行ってみるととても綺麗な女医さんですっかり仲良くなったことを思い出しました。関東に引っ越しても、学会がある時に連絡をくれて、会いに行ったことも。先生も二人姉妹で、長女だったから歯科医院を継ぐことは学生の頃から決まっていたと話してくれたことがありました。何かその時、切なさのような感情が読み取れて。全然違う所で、自分が両親や祖父の近くに住んで守っていった方がいいとどこかで心に決めていた時期で、それでも本当にそれでいいのかという気持ちをなかったことにしようと葛藤していた思いが、彼女と重なって、だから先生は可愛がってくれたのかもしれないなと。八王子のホテルにも、横浜駅のホテルにも呼んでくれた日。一人暮らしをしている時に、こちらで再会できて嬉しかった、とっても。フィアンセを紹介してくれた時、そこに先生の本当の幸せがあると思って、感激した帰り道。横浜シェラトンホテルは特別な場所。

さてさて息子は、学級閉鎖も終わり、元気に登校した後、休日になってまた幼なじみのD君と待ち合わせをしてきました。楽しそうに出て行った後、学校で使うものが必要だったので、雑貨屋さんへ行くことに。レジで並んでいると、感じの良い店員さんだなと思いながら、自分の番になったので商品を置きました。すると、「こんにちは~。」と随分フレンドリーに言われたので、きょとんとしていると、「○○です。」と名札を見せてもらいながら言われ、マスクをされていたので最初は分からなかったものの、ああ!と大きな声をこちらが出すと一緒に笑ってくれました。D君のお母さん!「今遊びに行っているよ~。」と私。「知ってるよ~。今年はいつもより流行りそうだね。」「本当だね。学級閉鎖中、外出控えるのはなかなかきつかった~。」と同じ男の子のママとして気持ちを共有し、一緒に笑ってくれました。その時ふと、まだ0歳の時に通っていた公共施設のスタッフさんが伝えてくれた言葉を思い出して。「頑張ってママ友を作ろうとしなくてもいいんですよ。そんなことをしていたら疲れちゃうから。R君が連れてきた友達のお母さんと仲良くなればいい、それで十分ですよ。」本当にその通りかもしれないなと思いました。程よい距離を保ってくれているD君のお母さん、その配慮届いていますよ、そんなことを思いながら笑ってお別れ。
その後、夕方に慌ただしく帰ってきた息子。どうやら、公園と学校のグラウンドで遊んでいたら、クラスの友達が何人もいて、最終的には男女混ざって10人程で楽しんできたらしい。どれだけ仲のいいクラスなんだと笑えてきて。リフレッシュできて良かったね。いつものようにバタバタと寝かせ、また深夜に一人になった。歯磨きしながら、鏡に映る自分がいて、これまで出会い、自分にかけてくれた一人一人の言葉が次から次へと心に落ちて、そっと泣いた。明日から、また笑おう。