大学図書館のカウンターに座っていた時は、館内の質問をよく受けたのですが、よく来てくれる学生さん達は、全然関係ない質問をしてきて、盛り上がってしまうこともしばしば。
話しかけられやすい雰囲気も大切だけど、なんでも聞かれるとリアクションに困ってしまい、大人の対応に苦戦しました。
「おねえさん、ぶっちゃけ何歳?」なんでぶっちゃけなきゃいけないのよ~と思いつつ、「気持ちの上では女子大生です!」と答えると、「うわっ、やっべ~。」と言って笑われました。
何がやばいのよ!! 学生さん達の横の繋がりはすごいので、いかにさらっと流すかを心得ていたつもりが、楽しくなってしまい・・・。図書館であることを忘れる自覚の無さでした。
閉館10分前に、普段図書館利用をしない学生さんに「明日レポートの提出日なんです。」と懇願された時のこと。
もう貸出の時間も終わり、できればもう少し前に来てもらえたらと思うと同時に、私も学生時代に司書の方に泣きついたことあったなと思い、先輩に怒られるのを覚悟で、学生さんと一緒に検索し、図書館の中を走って何とかレポートが書けそうな資料を探し出しました。
案の定、閉館の準備も手伝えず、図書館のルールで貸出できない時間帯に貸出処理をしてしまい、先輩に少し怒られたのですが、最後にひと言伝えてくれました。
「一人の学生さんを特別扱いするのはよくないから、あまりやってほしくない行動だけど、その学生さん、Sさんの気持ち絶対忘れたらいけないよ。」
先輩として注意をしなければいけない立場、それでも私の気持ちを大切にしてくれた、優しさに包まれた反省の一日。
後日、その学生さんがカウンターにやってきて、伝えてくれました。
「この間はありがとうございました。この本のおかげで卒業できます。実は単位ぎりぎりだったんですよ。」え~!!とびっくりしたのですが、わざわざその気持ちを伝えてくれたこと、一冊の本で人の人生が変わることもあるかもしれないなと、色々なことを感じた嬉しいやりとりでした。
常連の学生さん達は、私が「さようなら」と片づけをしながら伝えると、「さようなら」と返してくれるのではなく、「お疲れさまです。」と言ってくれました。
それが、本当に嬉しかった。その気持ちも、ちょっと近い距離感も。
検索して「開架」「貸出可」になっている本が書架になくて、館内を探し回ってへとへとになっていた時に言われた学生さん達の「お疲れさまです。」はとても沁みました。
その度に、立派な社会人になってねと背中に向かって呟き、一日の業務終了。
ふらふらっと図書館にやってきて、ふらふらっといつも帰っていく男子学生さんが、珍しくスーツを着ていたので思わず聞いてみたら、「就職決まったんです!」と伝えてくれました。
「おめでとう!!!」館内が響くこともすっかり忘れて祝福。
先輩に怒られても楽しんでしまった、学生さん達との限りない嬉しい時間でした。