ITオンチもいい

母は、相変わらずガラケーを使っていて、ネットにも繋がっていない状態だったので、入院中単調な時間を費やし、少し心配になりました。外からの刺激を受けるから活動的にもなれるし、頭や手先を使う為に、思い切ってスマホに変えたらどうかと提案。
それからまた会った時、ピンクのスマホに変わっていて、その行動力にこちらがびっくり。そして、見せてもらうと文字が大きくて押しやすく、簡単に使えるものを店員さんが選んでくれたと話してくれて、一安心。

ところが、ショートメールとEメールの違いもよく分かっていなかったようで、アドレスが無い人にEメールを送信して、エラーメッセージが出るの~などとうるさかったので、コメダでなぜかスマホ教室の始まり。夫と息子は女子二人のやりとりを遠巻きに見ながら、遊んでくれていました。まさか、メールの種類の説明から入るとは・・・。「LINEのアプリで繋がったら、お父さんとも便利にやりとりができるよ。」と伝えると、頑張って操作を覚え、テストメッセージを連発。目上の人には間違えて頭を下げているクマのスタンプを送ってしまい、私まで冷や汗。後から『よろしくお願いします』と送信したからよしとしよう。「先にクマを送っちゃったじゃない!」と怒られてもね。

ひとしきりメールや電話の送受信を練習し、ほっと一息。でも、そんなことは実は慣れっこでした。大学図書館では、名誉教授の女性の先生に、パソコンからの検索方法を教えてほしいとカウンターで言われ、近くにあった端末から説明をする為に、座ってもらうことに。そして、図書館ホーム画面からキーワード検索で探してもらおうとしたところ、「ちょっ、ちょっと待って~。今メモ用紙出すから。」と慌ててバッグから取り出し、こちらの説明を細かく記載。「ここにある“閉じる”のボタンを押してもらうと。」と話すと、「えっ何それ?」と言われたので、「ここにあるペケポンのマークを押してもらうと。」と言い方を変えると、カウンターで聞いていた先輩が苦笑。そんなことを気にしている場合ではない。このパソコン教室を無事に終わらせなければと本気モード。全部をメモした先生は、「自分でできるようにもう一回やってもいい?」と聞いてくださり、ものすごいスローペースで、私に同意を求めながら検索し、探していた本の画面まで開くと二人で安堵。
よく見ると、持ってきていたスーパーの袋にネギがささっていて、その庶民的な雰囲気にこちらの方が和ませてもらいました。
「どんどんハイテクになっていくから、年を取ると大変だわ。でも、手順が分かったから今度は一人で頑張ってみるわね。長い時間ありがとう。」
カード目録という時代から、オンライン目録へと変わった図書館を、この先生の目にはどう映ったのだろう。便利になりすぎて会話が減ることなく、こうやって聞いてもらえることが素直に嬉しい。昭和の時代を丸ごと持ってきてくれた先生に、こちらの方がありがとうと言いたくなりました。

母のITオンチも、沢山の人とコミュニケーションが取れていいのかもしれないな。周りは大変だけどね。父がポケモンをやっているのは、地理が好きだったからでした。色々な場所に誘導され、知らなかった場所まで歩いていけるのが嬉しいよう。ここにこんなお店があったんだという新しい発見。

母のどんくささにも付き合ってあげてよ。LINEの会話もいいけど、やっぱり直接会ってコミュニケーションを取ってね。
表情を見て話すこと、今までできていなかったこと、もっと沢山あるはず。