そこにある毎日

母と息子が、また週末に一泊の箱根旅行へ行くことに。大きなリュックに友達のお母さんからプレゼントされた『鬼滅の刃』の煉獄さんのお財布にPASMOを入れ、付けてみると想像以上に目立ち、二人で笑ってしまいました。そして、荷物の確認をしながら、あと何回おばあちゃんと旅行に行くことになるだろうねと思うと、じわっと胸が熱くなって。思うように子育てができなかった母、そんな彼女が届けてくれる愛を息子は沢山吸い込んでいて、二人の背中があまりにも優しく映るのはなぜだろう。そして当日の朝、両親のマンションで待ち合わせ、駅まで行き、息子が煉獄さんのお財布を改札でピッとやるのを見て、一瞬改札口が燃えるんじゃないかと思いました(テレビの見過ぎ)。そんなあほなことを思いながら、いつものように特急電車を待っていると、声をかけてきたのは駅員さんでした。「あの、ここで待っていても電車は来ませんよ。」「え~!!どうしよう!」とこちらが騒ぎ出すと、「そんなに驚く話じゃなくて・・・。」とどこまでも冷静な駅員さん。「特急電車の停車位置が、種類によって少しずれるんです。もう少し右に歩いてもらえたら一号車と書いてあります。」なんだ~そういうことか!とお礼を言いながら移動すると、すぐに電車が来て大慌て。二人の写真を撮り、中に入ってもらい見えなくなるまで手を振りました。いい旅を。息子の幼少の思い出は、明るいおばあちゃんでいっぱい。カラフルなグミみたいに。

そんな気持ちのいいお見送りの後、シェアオフィスへ行くと、偶然会ったのは不動産関係のお仕事をされていたHさんでした。時間に余裕があったので、サイトの話を聞いてもらうと伝えてくれました。「僕が前にやっていた不動産の仕事、ホームページもあったんです。でも、1日に6PVとか散々な状態でした。誰も読まないブログも更新したりしていましたよ。でも、きっと来てくれたのは同業者の方だっただろうなって。ホームページから直接仕事に結びついたのは1件だけでした。だからね、○○さんが手がけてらっしゃるサイトが、1日に4000PVを超えているって聞いて、頑張ってほしいなって思ったんです。それだけの方が来てくれるってすごいことですよ。」環境で苦しい思いをしているのはわかる、でもあなたがやっていることって純粋に応援したくなります。僕ずっと見ていましたよ、パソコンに向かう姿を。色んな気持ちを乗せて、彼らしいエールを送ってくれました。会社を立ち上げたら社長にしてくださいね、そんな冗談も忘れずに。

そういった居心地のいい空間で、暮れ行く空を眺めていました。段々と暗くなってライトの灯りが自分を照らしてくれているようで。すると、頭を過ったのは姉の家庭教師先であった理容師さんご夫婦に言われた言葉でした。「Sちゃんは、すごく年上の男性か、ある程度年下の男性の方がいいと思う。年が近くて張り合ってこられたら、しんどいよ。年下の男性があなたを見ていろんな変化を見せてくれたら嬉しいと思うよ。一緒に成長していけるんじゃないかな。」「そうね、Sちゃんは年下の男性がいいわ。自分が育てる!ぐらいの気持ちでいいと思う。」と奥様。ご夫婦で盛り上がってくれるものだから一緒に笑ってしまいました。沢山の人を見て、沢山の人達の想いに日々触れているからこそ感じてくれたこと。その時言われたことが、今になって沁みてくる。
そして、姉と行ったグアム旅行。大学図書館を半日で切り上げ、ジャケットを着たまま成田空港へ。姉はセントレア空港から乗り、グアム国際空港で待ち合わせ。女二人旅が楽しく、スタバでテイクアウトをした朝ご飯をバルコニーで食べていると、その当時付き合っていた夫の話になりました。姉は、猛反対。姉だから感じてくれた、第六感のようなものがそこにはありました。「Sが好きになった人のことをどうこう言いたくないの。でも、私にはわかる。今は恋愛中だし楽しいからいいの。でも、家庭を持って、会社での責任も大きくなってきたら、彼はきっと変わるでしょう。今まで越えていなかった壁にぶつかった時、Sはきっと辛い思いをするの。」「彼はそんな人じゃないよ。」「私もそう思いたいけど、あんたが泣く未来が私には見える。Sの方が沢山越えてきちゃったんだよ。年が2つ上なのに、彼はまだ揉まれていないから、何かあった時初めて見せる姿があるかもしれない。Sは、強いの。私はあんたの強さを知っている。逃げないから。守るべきものがあると、本気で守ろうとする。でも、もうSは誰かに守られてほしいんだよ。彼は、何か違う。私が言わなきゃ誰が言うの。一生のことなんだよ。私は妹に嫌われてもいい。Sの幸せを願うから本気で言わせてもらった。真剣に考えなさい。」姉に言われた後、ポロポロと泣きながらホテルの庭を歩きました。彼はそんな人じゃない、何度も自分に言い聞かせながら。姉だからこそ見えたものがあった、嫌われてもいいからそっちの道には進んじゃだめとぐっと手を引こうとした彼女の愛を今さらながら思い出しました。いつか、もう一度グアムに誘ってみようか。ネネちゃんの勘が当たっていた、そう言って一緒に笑い楽しい旅行に塗り替えられたなら。

息子のお迎えの夕方、両親宅まで行くと、父がテレビを見ていて軽く談笑。お父さん、家族の意味を教えてほしい。離れていても心の中で繋がっていた、私とお父さんがその証明よね。胸の中で何度も父に問いかけました。ろくでなしだけど、大学の卒業式後に会いに行った時のお父さんの涙は、私が苦しい時の支えだった。家族って、親子って、こんなひとときでぎゅっと固く繋がれるんだなって。また少し険しい旅が待っているかもしれないけど、そこを越えたらきっと笑えるから見守ってね。そんなことを思っていると、父がぽつり。「TBSの『モニタリング』を録ったんだよ。見るか?」は?感慨にふける間もなく、飛び込んできた突拍子もない発言。父との間に流れる、何とも言えないあたたかい湧き水も大切にするよ。