春を待とう

新年明けましておめでとうございます。今年も、どうぞよろしくお願いします。明るい光がみなさんを包み込みますように、いつもそう願っています。さあ、2024年はどんなことに涙するのだろう。今年も変わらずこの場所でお待ちしています。一年を駆け抜けながら、給水しに来て頂けたなら。立ち止まった時に見えた景色が、ここに来てくださる方の原動力になってもらえたらと祈り、新しい年の幕開けです。虹、かかるといいですね、心の中に。そうだ、虹をかけよう。

年末が近づいた頃、久しぶりに野球チームで一緒だったS君のお母さんからメッセージが入りました。年賀状を送ってもいいかという内容に、少し躊躇ってしまって。彼女には、手術をした話で止まっている、まだ自分は一連の内容を笑ってできる程の所にまで到達していない中、友達に具体的な話を伝えたらきっと辛くさせてしまうだろうと思い、最低限の連絡に留めました。術後の調子がいまいちで年賀状を書くことをやめてしまったこと、実は市内で引っ越しをしたということ。どんな時も配慮を欠かさない彼女は、それ以上踏み込んではこず、伝えてくれて。『お返事ありがとう。術後、辛いよね、Sちゃん頑張っているんだね。そんななかいつも優しい言葉で返信ありがとう。年賀状の件、SちゃんとはLINEできるしありがとう。体調が良いときいつかお茶してお話しできる日を楽しみにしています。』出会ったのは、幼稚園年少の時。同じクラスで、懇談会の時たまたま隣になり、そこから仲良くなって3年間まさかの同じ組でした。ご縁ってすごいなと思わせてもらった優しい出会いでした。小学校は離れても、野球チームは一緒、グラウンドで会った時は、いつもと変わらない温度がそこにはありました。3年前のお正月、卵巣がんの疑いが出て、下腹部に激痛が走る中、誰にも余計な心配をかけたくなくて、最低減の人に留め、何も言わずに入院。少し経ってから連絡をくれた彼女に状況を伝えると、やっぱり心を痛めてくれました。いつも深い優しさを向けてくれる人、それが分かっているので今回もメッセージが入ってきた時に胸がいっぱいに。友達っていいね、そう思わせてくれた数々の出来事があり、もらった気持ちはいつも私の中でいっぱいで、だから枯渇することなく、今もこうしてこの場所にいられているのかなと思っています。Special thanks.じゃ足りないな。

最近、とても悲しいことがあり、電車に揺られてぼーっとしていました。随分前、漢方内科の主治医の診察で、前の患者さんがなんだか不機嫌そうに出て行くのを感じたことがあって。そういう勘は8割ぐらい当たるので、先生は何か嫌な気持ちになったのではと思いながら、10秒もしない間に呼ばれたので、ノックをして診察室に入るといつもの先生がいてなんだかぐっときました。厳密に言えばいつもの先生ではなかった、多少なりとも悲しい思いになっていたはず、でもほんの数秒で気持ちを切り替え、次の患者さんに向き合おうと接してくれた先生のあまりにも深い心に、溢れそうでした。気持ちの切り替えが下手くそな私は、なかなか先生のようにはいかないなと沈んだまま電車を降り、やっぱり今日見える色は少しグレーがかっているのかなと自転車を漕ぎ始めると、偶然会ったのは、シェアオフィスで出会った不動産関係のお仕事をされていたHさん。こちらに気づくと弾ける笑顔で挨拶してくれました。その瞬間、自分の中に広がっていた雲から晴れ間が見えて、光が射し込んできて。人との出会いって偶然じゃないな、人が持っているこんな引力に助けられ、自然な流れの中に自分がいて、不思議なものを彼から感じました。「お疲れさまです!○○さん、お元気そうですね!」いやいや、あなたに会ったから元気になったんですよと笑いを堪えてみる。「お疲れさまです!なんだかまだまだ落ち着かなくて、Hさんと話したいことは沢山あるのだけど、もう少し待っていてくださいね。今、ランチタイムですか?」「お客さんの所へ行った帰りです。今、3時半だし、サボっていませんよ~。」ああそうか、凹みまくっていて時間の感覚も無くなっていたと一緒に笑ってしまって。ほんの数分。ふわっと上昇気流に乗せてもらい、ゆっくりカフェを固く約束。自分の中で決めた合言葉は、“春を待とう”。長く寒い冬を越した先には春があって、その時にみんなと笑って会えたなら。

中学1年で出会ったのは、一風変わった美術の先生でした。あまり多くは語らないのだけど、とても信頼していて、話しやすかったのでぶっちゃけることに。「先生、私本当に絵を描くのが苦手で、小学校の時図工室に行く前とかお腹痛くなっていました~。」と話すと、一緒に笑いながら伝えてくれて。「それなら、その苦痛だった時間を好きにしてやるよ。」ぐっときたなんてもんじゃない、先生の器を感じ、本当にその一年間の美術の時間を好きになりました。「今、何が見えてる?何を感じる?どう思う?」隣に来て、いくつもの質問を投げかけてきた先生。こちらがぽつりぽつりと話す内容に、深く頷いてくれました。恩師は、ちょっと変わった人、だから私の変人ぶりにもきっと気づいていました。だからこそ、こちらの中にある世界観を引き出そうとしてくれたのではないかと。何度も言われた、その感覚を大事にしろという言葉。他の人に笑われてもいい、今持っている感性を磨け。美術の先生が伝えようとしてくれた意味が、少しずつ分かってきたような気がました。隠すんじゃなくて、解き放て。自分の色で表現しろ。その時初めて、“らしさ”が輝くから。先生、合っていますか?
さくらdeカフェは、来てくださるみなさんの心の中にあります。お一人お一人、辛さは人それぞれで土砂降りの日もあるかもしれません。でも、次また訪れた時、カウンターに花が置いてあるかもしれない、その花に色が付き、咲くこともあるのかも。私もまだまだ道の途中です。それでも、こうして共に歩めるそんな毎日を大切にしたいと思っています。どうか、今年もみなさんのストーリーがあたたかいものでありますように。