ゴールデンウィークに入り、左膝の痛みが強く出てしまい慌てました。しゃがみ込む度に、ポキポキ音が鳴る違和感があって。息子が遊びに行っている間に、自転車に乗ってアメフトの試合を観に行こうと思っていたものの、泣く泣く断念しました。仕方がないので、近くのカフェに行き、本を読みながら気持ちを落ち着かせることにして。母が数年前に両膝の手術をしているので、遺伝的なものでなければいいなと。4年前に卵巣を摘出してから、女性ホルモンの急激な減少でいろんな不調と戦ってきたのだけど、今回もそれが原因か?もしかしたら、急にランニングを始めたことによって、膝に負荷がかかったか?左足だけなのは利き足に体重が乗っているから?!とぐるぐる。考えても仕方がないので、連休明けに整形外科へ行くことにしました。何事もありませんように。
そして5月5日こどもの日、息子と約束していたヤクルト戦を観に行く日がやってきました。この足で、神宮球場まで行って無事に帰って来られるようにと朝からひたすら祈っていて。息子のスワローズクルーユニは、山田哲人選手の『1』、とても嬉しそうに袖を通す姿に微笑ましくなりました。なぜ今回選んだのかを聞いてみると、キャプテンだからと。そこにいろんな気持ちを感じました。そして、私は去年息子が来ていた村上選手の『55』ではなく、『2896』のユニを着ることに。一緒に戦うんだ。いつものようにグッズを詰め込み、家を出ました。すると、自転車に乗り、やっぱり膝が痛く困惑。なんとか最寄り駅に着き、事情を息子に伝えました。「お母さんね、今日膝が痛くて走ることはできないから、球場内でトイレに行く時もゆっくり待っていてね!」すると心配されながら理解してくれて。スマホを手に入れたことにより、人ごみで離れても安心感があったよう。こちらも安堵し、電車に乗り込みました。「今日はヤクルト対広島戦だし、東京ドームは巨人対阪神戦で、千葉でもロッテ対楽天戦があるから、最初にどのファンに会うだろうね。」そんな話で盛り上がっていると、見かけたのは侍JAPANの帽子を被った男の子で、そうきたかとなんだか嬉しくなりました。その後、楽天ファンを乗り換えの時に見かけたと息子が教えてくれて、わいわいしながら外苑前へ到着。予定よりも早く着いたので、こどもの日特典のバッティングセンター無料券を受け取り、近くのお店まで歩くことに。するとすでに列ができていて、彼が選んだのは今日先発予定の小川投手でした。久しぶりだったので、70kmに設定してバッターボックスへ。最初はタイミングが合わず空振りが続き、10球を超えたあたりでヒット性の当たりを続け気持ちよく終了しました。バットを置き、伝えてくれて。「ボク、春休みまで本当は野球部に入ろうか迷っていたの。」息子の中で野球をやりたいと思う情熱は、残っていたのだとその気持ちが聞けただけで十分でした。迷った挙句、決めた道を尊重するのがきっと私の役目なのだと。それから、どうしても食べたかった神宮名物のじんカラのから揚げを並ぶことにしました。10試合目にしてようやくゲットだと息子と喜び、入場ゲートに並びながら、二人で堪能しました。「うまっ!やばっ!」と大盛り上がり。初めて一緒に行った時は、一塁側の内野席でした。いろんな食材を買い、試合の途中でじんカラを買いに行くと売り切れてしまい、残念。席に戻ると、不安そうに待っていた息子。その時はまだ籍は抜いておらず、とても中途半端な状態でした。シングル家庭だからと、彼の世界を狭めてしまわないように、沢山の経験をして、いろんなものを吸い込んでくれたらいいなと。それから3年、いろんな景色を二人で見てきたなと思ったら、じんカラを食べながらちょっと泣きそうでした。中学に入ったら、私と野球観戦に行くことさえもためらうかなと思っていたら、全然そうでもなくて。でも、きっと時間の問題、だから今日という日も噛み締めようと思いました。そして、いつものライトスタンドへ。
早めにご飯を食べ、つば九郎の担当者の方がいない神宮球場を実感しました。言葉はないけど、息子もきっと同じことを感じているんだろうなと。それでも、つば九郎のご当地キーホルダーを二つ買って、いつもそばにいてくれるよって伝えたくて。大阪にご縁を感じたのか、たこ焼きとつば九郎のキーホルダーを彼は選んでいました。つば九郎の担当者の方が残してくれたものの大きさは、計り知れなくて。心がね、とんでもなくあたたかかったんだ。
試合は、小川投手の粘りの投球があり、その気迫を感じて胸が熱くなりました。攻撃の度に席を立ち本気の応援、そしてチャンスになるとチャンステーマを歌いながらジャンプをする場面があり、膝が痛いことをすっかり忘れ、飛び跳ねてしまって。膝やったわと思いながら、応援したい気持ちが勝ち、この瞬間を忘れないでいたいなと思いました。両膝の手術前、うまくいかなかったら一生後悔すると思い、杖を突きながら一人でフランスのツアーに参加した母。死ぬ前にあの時行けば良かったと悔いたくないと思った、不安もあったけど行けて良かったと充実感いっぱいの表情で伝えてくれたことがありました。他力にもなるし他責にもなる時がある母、それでも一番最後は自分で考え自分の足で動こうとしたその信念を、今でも娘として大切にしています。試合は完封負けで、息子はがっかりしていたものの伝えてくれて。「次の試合も行きたい!」この気持ち、大事にしよう。
帰りは、すごい人ごみの中、流れに沿って歩いていたらいつもと違う道を歩いていることに途中で気づきました。前も後ろもたまたま広島ファンの方達で、まさかこのまま広島に行ってしまわないよね?!とよく分からない不安感に襲われて。すると、見えてきたのは国立競技場の駅。なんか違うと焦りながらスマホのナビを開始すると、まだ前後を歩いてくれていた広島ファンの方達と千駄ヶ谷駅に到着しました。いつもの駅~と本気で安堵して。その後、二人とも疲れ切り、乗り換えの駅で特急を待っていると阪神ファンの方達に遭遇。乗車すると、ヤクルトファンと広島ファンにも会い、みんな応援お疲れさまだねとほっこりして。一人暮らしの時、プロ野球の観戦に行くという選択をしていたら、毎週末楽しかったかもしれないなと改めて思いました。ナゴヤドームが恋しくて、なかなか関東の球場に足を運べなくて。でも、その勇気があればまたきっと自分の世界はぐんと広がっていた。もう、いろんなことをためらうのはやめよう、そう思いました。快適な電車を降りると、息子がひと言。「同じ電車に楽天ファンがいた!」そう言ってにっこり。きっと4球団が乗っていたのね!一日の最初と最後が楽天ファンの方、仙台の景色が胸を掠め泣きそうでした。「ママ、そういえば足大丈夫?」「ありがとう。なんとか帰れそう。」そう言って、ようやく帰宅。自分の足で行って、戻ってくることがこんなに大変な日もあるんだな、何でもないことを当たり前だと思ったらだめだなと痛感しました。息子を寝かせ、見えたのは神宮球場の芝生、ナイター前の練習風景でした。あの高揚感をまた胸にしまって。いつか全球団の球場へ行けるだろうか。