ランドセルの中身

今日、無事に息子の入学式を終えました。どっと疲れが出ていますが、同時に安堵も大きくて。
朝からどんよりとした天気。午後の式に向けて準備をしている中で、息子がどうでもいいことでぐずり、気圧の低下で頭痛も発生し、軽い睡眠不足も重なってイライラ度Maxに。それでもなんとかみんなで歩いて小学校に着くと、Kちゃん親子がいてくれてほっとしました。こんな時は友達の存在に助けられます。寄り添う子供達を桜の木の下で、パシャリ。そしてふとKちゃんが伝えてくれました。「私には幼なじみという存在があまりいなかったから、なんだかとっても嬉しいよ。」そういった言葉をとても自然に伝えてくれる、その気持ちが嬉しいよ。そんなことを思いながら一緒に入り口へ向かうと、同じクラスだと判明。本当に良かったとほっとしてくれた友達の顔を見て、こんな時幸せだなと思いました。卒園したと思ったら、もう入学式。それでも、戦友のような共に戦う友達が、いつもそばにいてくれる。

その後、体育館に向かうと、子供は前の席へ、保護者は後ろの席へ。蝶ネクタイを締めた6歳の息子が、なんだか少しだけ離れていくようで、嬉しさと寂しさが心を掠めた時、横を通りかかったのは園長先生。もう会えないと思っていた方が、思いがけない場所にいてくださって、胸が高鳴りました。来賓の方達の名前を呼ばれ、席を立った園長先生が伝えてくれたのは、「入学おめでとうございます」。ほんの少し前にかけてくれた卒園おめでとうの言葉が蘇り、そしてなぜか、随分前に交わした会話が思い起こされました。「○○さん、私ね、以前ライターの方とお話をさせて頂いて、その方が書いてくださった文章に感激したことがあったんです。こんな風に自分の想いを表現してくださるんだなって。あなたの文章を読ませて頂いたら、同じような気持ちになりました。司書をされていたんですね。本を読むことで育まれるものが大きいことを、教えてもらったような気がします。」園長先生が持つ視点、それは、幼稚園の園長として、母親として、そして一人の人間として。色々な角度から読んでくださる先生の捉え方に驚き、不思議なご縁を感じました。

以前働いていた小学校の系列の学校から、仕事の誘いがあり、待機児童の状態でお断りをした時、お詫びとお礼に校長室まで出向いたことがありました。その時、お世話になった教頭先生が優しく伝えてくれて。「気にすることはないです。先生ね、“母親”というのも素晴らしい仕事だよ。一人の人格ある人間を立派に育てていくんだからね。その過程の中で沢山の失敗や学びがある。その後で教育現場に戻った時、はっと驚く自分がいるのかもしれないね。先生の活躍、私達みんな応援しているから。」息子の小学校に母親として足を踏み入れた時、沢山の想いが押し寄せてきました。どれだけ有り難い言葉だったのかと、今はっきり分かります。

入学式で絶対に着ようと決めていた、さくらいろのスーツ。そして、息子のランドセルは四次元ポケットではないのだけど、沢山の冒険をこれから詰めていく。そこには失敗や孤独、不安といったマイナス要素もスパイスとなって。お母さんと少し離れて、外の世界に出ておいで。入学式のことで手いっぱいだったけど、6年間という長い旅が待っているよ。大人になって、本物のネクタイを締めた時、この日のことをそっと思い出して。

入学式後に園長先生と目が合った時、お互い笑顔で会釈しました。私に伝えようとしてくれた気持ちはきっと、“沢山の文章をありがとう。そして、最後に笑って会えて良かった。”