強さと優しさ

クイズが好きな息子が、何気なく聞いてきました。「りんごはりんごでも美味しいりんごはな~んだ?」「え?青森のりんご?」「ブッブー。正解は、新鮮なりんごでした!」なんだそれ、当たり前じゃないか!なんでも新鮮なものは美味しいわ!!と訳も分からず笑えてきて二人でワイワイ。
そして別の日、「ボク、今からヤクルトを飲むから、何を飲んでいるか当ててね。」と言われ、飲みだしたので、「ヤクルト!」と言うと、プシューッとこちらに向かって吹き出してしまい、私とくみちゃんにかかってしまいました。「ヤクルトを飲んで、酸っぱい顔をするから、コーラって当ててほしかったんだよ~。ママが笑わせるから吹き出しちゃったよ。」と散々な目に遭いながらも、大盛り上がり。必ず近くにいるくみちゃんは、ある意味一番の被害者なのかも。
そう言えば、まだ離乳食を食べていた頃、すり潰したかぼちゃを旅行途中の車の中で食べさせていたことがありました。トンネルに入った瞬間、くしゃみをされ、その時もかぼちゃまみれに。その当時の苦悩に比べたら、ヤクルトなんてかわいいもの。一つ一つが懐かしい。

最近になり、大学時代にマブダチK君と他の男友達と3人で飲んだ時のことが思い起こされました。「お前にさ、一度聞いてみたかったんだけど、Sが男性に望むことって何?」「強さと優しさ。」即答した私に、彼は半分呆れながら笑いながら伝えてくれました。「お前さ、今一番難しいこと言っただろ。大体な、お前がそういうことを言うとハードルが上がる気がするんだよ。いいか、男性を代表して言わせてもらうと、かなり難しいことを言っているぞ。みんな目指してはいるけど、そういう人、なかなかいないからな。なあ。」と隣にいたもう一人の友達に同意を求め、しっかり頷かれてしまいました。「Sが強くいなければいけない環境にいたこと、知ってるから、なんか一緒に話していると自分が小さく感じるんだよ。お前と出会うヤツは色々と考えさせられるぞ。でも、何か気が付くともらっているんだよ。俺達は、お前のスケールの大きさの中でぷかぷか浮くことにする。」酔った勢いで、何を言われているんだか。説教なのか呆れられてしまったのか、はたまたエールなのか。人間臭い話は、アイツとは尽きないらしい。

そして、ふと思い出したもう一人の友達、人生の男の先輩。自分で自分のことがよく分かっていなかった時、一歩も二歩も引いたところからメッセージを頂きました。『優しさは、強さに裏付けられている必要があると感じています。相手に向き合うにあたり、時には一緒に涙し、時には毅然と、状況に応じて柔軟に対応できる方はそれほどいないことでしょう。少なくとも、私には出来ないと思います。常に凛とある必要はないのでしょう。ハレの日とケの日、人生にはどちらも必要な日なのでしょうから・・・。お見かけした時に、必要なものを十分身に付けているにも関わらず、不安そうな表情をされることに違和感を覚えました。また、少しのやりとりでそういうこともなくなるだろうとも感じておりました。私にとっては、Sさんが自然な笑顔をされていることが嬉しいのです。』言っていることが深くて、全部を落とし込めているかと言われれば、まだまだなのかも。この文章そのものが、強さに裏付けされた優しさのようで、こんな風に大切な人達を包めたらといつもどこかで願っています。

「How can I say?(なんて言えばいいのだろう)」大学図書館にいた頃、通っていた英会話教室でよく使った言葉。思うように次の言葉が出てこない時に、都合よく言っていたこともありました。その時、英会話講師のJamesも生徒さん達も、優しく次の言葉を待っていてくれて。その雰囲気が伝わると、間違っていても、あほなことを言っても笑ってくれそうで、そんな空気を味方に付けていられたのも、周りの方達のおかげだったかもしれないなと、この年になってようやく分かったこともあって。新作の焼き菓子を作ってきた!とJamesに渡すと、クラスのみんなに配りだし、英会話そっちのけで試食会。「Taste good!(おいしい)」「Thank you.」今日の授業のテーマ、なんだったっけ?沢山笑い合った時間。ご年配の方も、学生さんもみんな巻き込んだよ。

そして、「優しさは強さだと思います。」と言い切った人がまた一人。それは、息子の担任の先生でした。出会った頃から、私のセンサーが働き、物事の捉え方がとても似ている方だと思っていたのですが、この言葉を聞き、はっとなりました。戦っている先生なんだなと。強い信念がないと、なかなか言葉にはできないだろうと思いました。「いつも全力です。」何気なく発してくれたたったひと言に、沢山の想いが含まれていることを感じました。内に秘めたものがあるからこそ、言葉にした時にものすごいエネルギーが集約されているんだなとも。
私は、ここで何を詰め込もう。41歳、そろそろ折り返し地点だな。カラーコーンを曲がる時、一瞬でも自分に笑えたらいいな。泣きたくなるようなこと、沢山あるけど、半分頑張った自分に一つ息を吐きながら、またいい空気を吸い込むことができたらいいな。苦しくても、ぐっと顔を上げて雲の流れを感じられたらいいな。その場所が、誰もいない折り返し地点だったとしても、もう少し頑張って走ったらきっと声援が聞こえる。簡単に挫ける訳にはいかない。やりたいことは後半戦に残しておいたから。