正解を見つける旅

母からどっと重いメッセージが送られてきた数週間前、その中にはお墓について早く検討してくれないかという内容も盛り込まれており、返信はスルーしたものの、それ自体はずっと考えていることでした。生まれ育った名古屋か、こちらに持ってこようか、それとも間を取った場所にしようか。おじいちゃん、どうしたいか夢の中に出て来てくれないかなと。寂しがり屋の祖父が望んだことなら祖母はきっと笑って付いて来てくれるだろう、そして母の兄も。それぐらい我が家にとって祖父の存在は大きく、簡単に決められることではないなと思っています。おじいちゃんが他界し、その後の家族会議で、戦地でどんな思いをしていたのか、なぜ帰還することができたのか、私が知っている限りのことを話しました。すると、少し経ってから姉と話す機会があり、伝えてくれて。「おじいちゃんの戦争の話、全然知らなくてもっと聞いてあげられたら良かったなって反省したし、Sちんがいつもそばで聞いてくれていて、おじいちゃんは嬉しかっただろうね。おじいちゃんのお墓さ、舞鶴はどうかなって漠然と思ったの。日本に帰ってこられたおじいちゃんが、初めて降り立ったのが舞鶴港だとSちんの話を聞いてそう思ったよ。」これがネネちゃんの深さ。こちらの話を、さらに掘り下げ考えてくれていた彼女の心髄がここにある気がしました。この気持ち、おじいちゃんに伝わっているよね。家庭と過程、どちらも大切なんだ。

少し体の調子が良かった金曜日、シェアオフィスで仲良くなった不動産関係のお仕事をされていたHさんに聞きたいことがあったので、連絡をさせてもらいました。するとタイミングが合い、ランチをすることに。待ち合わせのファミレスに向かうと、パーカーを着てすでに待っていてくれたので、午前中はオフだと分かりゆっくりとした時間が流れました。笑顔でご挨拶、久しぶりなんだけど、街中でふらっと会うからいつも自然な再会で。それも含めて彼なんだと思いました。実は少し前、以前のシェアオフィスのメンバーが集まるから、私もどうかと誘ってくれていて。時間帯が夜だったのでお断りをしていました。すると、みなさんの近況を教えてくれて。「Tさん、○○区へ異動になったんですよ。」え~!!ラガーマンのTさんが異動?!「営業みたいです。」部署まで知っているんですねと笑ってしまいました。「〇〇さんと三人でのランチ、気にされていましたよ。」どこまでも律儀なTさんらしいな。「そんなに離れている訳ではないし、いつか実現できたらいいですね!」と私が伝えると、笑いながら頷いてくれました。みんなに無理がないこと、そうしていたらふらっとまた再会の日が来るのではないかと。そんなご縁が、毎日を少し豊かにしてくれるような気がして、また頑張ろうと思いました。そして、話はHさんの友達のことに。その方はシェアオフィスも利用されていて、私もすれ違う度挨拶をさせてもらっていた男性の方でした。Hさんといつもわいわいやっている姿を見ていたのか、こちらにも穏和に挨拶してくれるのが印象的な人でした。その方は、建築士さんだったと今回初めて知り、そして能登にもサポートに行っていたことが分かりました。Hさんを通し、彼の感じた苦悩や様々なものが自分にも届き、胸が痛くなりました。エレベーターで相乗りした時、会話はないのに優しい空気が流れたことを思い出し、沢山の方の痛みに触れてきたのだろうと。「今度会った時、よろしくお伝えください。」とHさんに伝言をお願いしました。言葉にならない想いがそこにはあって、でもその一文で何かを感じ取ってくれるのではないか、そんな気がしました。感謝や労い、もっと沢山のもの。

「○○さん、実は僕、今の税理士事務所から一年後に独立することになったんです。」え~!!!ちょっと頭がついて行かなくて。「僕の従兄と税理士事務所を開業することになりそうです。でも、きっとこの辺りなので、またランチしましょうね!」その言葉を聞き、思い出したのは彼が仕事をしながらひたすら試験勉強していた時のことでした。コロナ禍になり、Hさんの興した会社は畳むことに。それでも彼は笑っていました。そんなHさんは、手術後に復帰した私を喜び、離婚を考えている話を打ち明けると、なんとかなりますって!と励まし続けてくれました。その後、オフィス内に併設された税理士事務所で社員さんになったHさん、事務所の移転が決まり、シェアオフィスで一旦お別れ。私も引っ越しをして、また会った時はそれぞれ歩いて来た道を語り、笑い、懐かしみ、柔らかい時間が流れました。その彼が、また飛び立つのかと思うと、そのエネルギーを近くで感じ、胸がいっぱいに。「新しい事務所、すごいですね!また近況を聞かせてくださいね。」「はい。○○さんもお元気そうで良かった。もう出会って何年ぐらい経ちますか?」「息子が1年生の時だから、5年です。」「そんなになるんですね。」それぞれの人生が交錯した時間。色々ありましたね、お互いに。きゅっと結び微笑んだ口が、そう言っていました。あと何回、何十回、こんな時間が流れるのだろう。下を向いてなんていられないな。

「4月から○○のシェアオフィスを少しだけ利用するようにしたんです。そうしたら、そこにインスタントのお味噌汁があったんですけど、なんだか飲むのが恥ずかしくて・・・。」「何杯でも飲んじゃってください!」別れて背中を向けた後、笑った会話が再生された。自宅へと戻る一直線の道。一度きりの人生、楽しまないともったいないじゃないですか。これが彼の答えなのだろう。でもね、どこかに追伸があることも感じていて。辛い時は一緒に悩みましょうよ、そこから何か見えてくるものがあったらいいですね。その為に人っているんじゃないですか。桜の散り際の美しさを感じながら、歩き、微笑んだ時間。自分なりの答え、私も見つけよう。