何気なくお化粧品を買い物していたある日、大学時代、大阪の姉に会いに行った日のことが蘇り、レジで笑いを堪えるのが大変でした。帰りに難波まで送ってくれた姉が妙なことを言い出したから。「私ね、お父さんのキャッシュカードを持っているの。これで買い物しちゃおうよ!」「ん?どういうこと?」「この間、海外旅行へ出かける時に、ちょっと借りたの。使った分は後で返すからって。その分はもちろん返すけど、Sと二人の買い物ぐらい使っちゃおうよ。私達がしてきた大変な思いは、こんなもんじゃないよ。」なんだろうな、この感じ。若干私を共犯にするつもりか?!
そして、そのままお化粧品のお店へ。色々試供品を使わせてもらいながら、大阪のノリのいい店員さんに乗せられ、調子に乗って買ってしまった二人で総額1万円程のファンデーション。私が罪悪感を抱いていると、「アンタにはもう少し悪女になってほしいんだよ。そうじゃないと、あの両親はSに甘えるだけだよ。もっと強気にならなあかん。」という訳の分からない説教を受け、そのまま帰宅。後日、請求書が来たと父に言われ、ドキッとしながら続きを待っていると、半笑いされながら伝えてくれました。「大阪で色々買っただろ。お姉ちゃんなんか、高い下着も買っていたぞ。こんな請求書がくるとは思わなかったよ。」もう笑うしかない。お化粧品どころか下着って・・・。父に対する嫌がらせ具合がいかにも姉らしく、一緒に笑って一件落着。彼女の悪女っぷりは、なぜか気持ちがいい。
先月の、台風15号の日。電車が止まってしまい、夫は昼まで自宅待機。息子の小学校は2時間遅れだったので、見送りながら一緒にエントランスまで行きました。その後、シェアオフィスに来ると、思いがけず沢山の方がいて驚きました。おそらく、電車に乗れなかったビジネスマンの方が急遽仕事をしにいらっしゃったのだろうと。その日はスーツ率が高くて嬉しいやら、緊張するやら。そんな中で、よく見かける方達に親近感を抱いてしまい、なぜかほっとしました。会話はないけど、いつもお見掛けしています。すれ違う時に、お互いが気づくか気づかないかの小さな会釈。そんなちょっとした触れ合いに和む、何でもない時間が好き。
その翌日、すっかり仲良くなったITエンジニアの方から声をかけて頂き、短時間だけ外でお話をさせて頂きました。「そう言えば、くまちゃんのサイトなんだけど。」って切り出され、思わず笑ってしまいそうに。くまちゃんのインパクトが相当強かったのか、まあ表現的には間違いではないと思いながら話を聞くと、サイトのことについて気になっていたことを教えて下さり、距離が縮まったようで嬉しくなりました。そこで一緒に働く者として、自分の専門的な経験を元に伝えてくれた言葉だったから。それは多分、友達のような気持ちも交えてのこと。応援しているから、心配もしている。ありとあらゆる可能性やバックアップを意識すること。サイトを守ることは私を守るということ。これまで積み上げてきたものを台無しにしないよう、伝えてくれた優しさに何とも言えない信頼を感じました。結局は人。どんな場面でも、その人との関わりの中でどれだけ相手のことを大切にできるか、どれだけのエネルギーを注げるか。そして、もらった気持ちをどう返していけるのか。そんな関係が、いい仕事に繋がっていき、いい繋がりができていくのだと。
父は、とにかく強要しない人。こうしろああしろと言われたことはありません。ただ、背中を見てきました。そう、生き様を見てきた。その中で一つ気づいたのは、言葉は少なくても、相手のことを尊重しているということ。だから視野が広い。悔しいけど、その姿は尊敬に値する。