面白い頼まれごと

少し前の日曜日、野球チームにお迎えに行くと、監督が用紙を持ちながら、近づいてきました。「ちょっとお願いがあるんですが、今週の金曜日の朝9時からって空いていますか?」ん?早朝デート?!そんな訳ないよねとくだらないことを思いながら用紙を受け取ると、子供達のキャンプ施設の案内と日程表でした。「この宿泊施設、すごい人気で、決められた予約時間に電話をしても、ほとんど繋がらず、みんなで分担してかけているんですよ。去年は運よく取れました。」なるほどなるほど。
できる範囲で協力させてもらうことを伝えると、笑いながら最後に言ってくれました。「宝くじ並みの確率だから、繋がらなくても気にしないで~。」監督素敵です。気楽にねという気持ち付き。

その後、自宅に帰り、改めて用紙を見てみると、一番下に監督の言葉を発見し、笑ってしまいました。『1時間経っても電話が繋がらなければ、あきらめましょう。』私も息子もこのチームが大好きな理由がそこにありました。絶対に負担をかけない明るさがいつもそこにある。

そんな嬉しい気持ちを感じていたら、電話予約を姉から頼まれた学生時代が蘇りました。今はイタリアンの店長さんである元カレと姉が付き合っていた時、浜田省吾さんのコンサートのチケットを電話で取ってほしいと言われ、自宅の電話でひたすらかけていたら、二人分のチケットを見事にゲット。自宅に帰ってきた姉に伝えると、「えっ、取れたの?!実は彼も取れちゃったんだよ。」え~!!「Sの世代ではないかもしれないけど、中学生の男の子なら好きな子がいるかもしれないから聞いてみたら?」という思わぬ展開に。まあ、せっかく時間をかけて電話に張り付いて取ったものなので、ダメもとでクラスの男子二人に聞いてみると、すっかり乗ってくれて拍子抜けしました。二人ともお兄ちゃんがいるので、本人は世代でなくても、なんとなく知っていたよう。兄弟の影響って大きいよね。

そんな二人が喜んで行ってくれたコンサート明けの学校で、感想を聞こうと登校したその日は、選択音楽の時間がありました。自分の好きな楽器を演奏していいという珍しい時間で、その男友達はお兄ちゃんのギターを持って教室へ。休み時間に流れてきたギターは、お世辞にもうまいとは言えない浜田省吾さんの曲。気持ちよく歌いながら弾いている姿を見て、感想は聞くまでもないなと笑えてきて。すっかりはまったな。それでも、やっぱりどんなだったか聞いてみると、「いや~、良かったな~。俺達がもしかしたら最年少だったかも。もったいなくてお前に感想話したくない!」くそ~。チケット取ったのは私なのに!!姉に頼まれたチケットが、こんな形で中学男子二人に影響を与えるとは。ギターを一生懸命練習しだした姿が、なんだか微笑ましくて。多感な時期に、心に響く音楽は忘れないよね。「俺、男性に惚れたのは初めてかもしれない。」なんて言っていた目が、キラキラしていてちょっとだけ羨ましかった。
彼らは今でも聴いているかな、『J.BOY』。

さてさて、私は監督からの頼まれごとを成功させることはできるかしら。宝くじの確率ならダメもとだよね。誰かが取れた時点で連絡が来るらしい。チームワークも抜群。今年の運試しはここで決まり?!いやいや、結果よりも参加したことに意義がある。大切な仲間の為に動くということ。
1時間経ったらあっさり諦めるよ、監督。うまくいったら、ハイタッチして。