いくつもの繋がり

学校のお迎えに行った帰り道、息子が伝えてきました。「ボクね、朝に夢を見たの。たまちゃんとぴよちゃん(チキンラーメンのひよこちゃん親子、連チャンで登場)が家出する夢。家のドアが開いていて、手紙に『今までありがとう。さようなら』って書いてあったの。」「え~、どうしちゃったんだろうね。」「昨日の夜ご飯、焼き鳥だったからだよ~。」その答えを聞いて、歩道で爆笑してしまいました。確かに、息子が鶏肉好きだから、もも肉を串に刺しましたけど・・・そしてたれに絡めて美味しく頂きましたけど、それを見られていたとは!と驚いている場合ではない。「しっかり見ていたのね!でも夢で良かったよ~。」「そうなの。朝起きたらちゃんといて安心した。」なんなんだこの会話は!と思いながらも、息子の想像力に毎回笑わせてもらっている毎日。まさか、夢とも繋がっているなんてね。夢の国の話は今後も続く。

そして、ペナントレースも始まり、それでもWBC関連の話題を目にすることも多く、全然熱が冷めないでいると、ふとシェアオフィスに行きたくなり、久しぶりに顔を出すことにしました。受付に行き、若い女性スタッフさんにラガーマンTさんの近況を聞いてみると、異動されたことが分かり軽いショック。「全然急ぎの用事ではないのですが、ちょっとお話したいことがあったんです~。」と若干凹みながら伝えると、「ラグビーの話ですか?」と返してくれたので、「正解!!」と答えると半笑いしてくれました。受付で、ラグビーの話でわーわー言っている人とでも思われていたのか、話が早くTさんと連絡を取ってくれることに。恐縮しつつもそこは甘えることにして、オフィスに入りパソコンを広げていると、彼が私のアドレスにメールをしてくださるとのことで、ほっとしました。その数時間後、Tさんらしい丁寧であたたかみのある文面を送って頂き、嬉しくなって。シェアオフィスを利用し始めたのは、4年前の5月。彼が異動でスタッフさんになってくれたのは翌6月でした。がたいのいい体育会系の方だなと思っていると、ラガーマンだったことが分かり感激したのを今でも覚えています。その後、日本で行われたワールドカップ。連日深夜までテレビ観戦されていることが分かり、特別な想いの中にいるのだと思いました。それから、私も熱が入り、彼の所属していたチームを応援することに。そして、出身大学のコーチをしていることも分かり、プログラマーのMさんに誘われ大学ラグビーを観に行きました。コロナ禍になり、観客もまばらで、それでも試合が終わると選手達のご家族がみんな立ち、温かい拍手を惜しみなく送るその時間に感動しました。近くにいた選手のお母さんらしき方は、目に涙を溜め万感の思いでグラウンドに拍手を送り、その光景があまりにも美しかった。私も何年後かにこんな母親になれるだろうか、こんな風に我が子を見届ける日は来るのだろうか、そんなことを思いました。そして、試合に勝った選手達はクールダウンを始めていて、その中にTさんの姿を発見。彼は、グラウンドが、ユニフォームが似合う人、そう思いました。最前列から思いっきり声をかけると、こちらに気づいてくれて。わざわざ駆け寄って声をかけてくれたその時間は、私の中で宝物でした。「ナイスゲームでした!」そんな私の言葉に笑ってくれたTさん、いい時間をありがとう。それから、まさかの卵巣腫瘍。自分の体に起こっていることが信じられず、乗り越えた手術。その後、Tさんがこのサイトで状況を理解し、私を励ますために、チームのみんなのサインが入ったユニフォームを送ってくれました。堪らなかった、本当に。そして、大学ラグビーのユニフォームには彼のサインが。大きな体だな、そして心も大きく、立派なラガーマンになっていったんだな、そんなことも思いました。それから間もなくして、トップリーグの観戦へ。予め買っていたユニフォームを着て、観客席で応援すると、勇敢にぶつかっていく選手達の気持ちがダイレクトで伝わり、自分も越えられそうな気がしました。とても苦しかった先に見えたもの、それがあまりにも光に満ちていて。彼らの血や汗や屈強な筋肉が、とんでもない力をくれたようでした。プレゼントされたサイン入りのユニフォーム二着は、引っ越しの時も汚さないように梱包して、新しい家に持ってきました。段ボールから取り出して、ユニフォームを広げた時、涙が溢れて。力をもらい、私も越えてきましたよ、そんな気持ちがこみ上げました。Tさんからもらったメールを読んだら、色々なことが駆け巡り、ひとつの出会いでこんなにも世界を広げてもらったのだと、ラグビーと自分を繋げてくれたのだと沢山の感謝がそこにはあって。今年の1月に退会届を出し、4月に異動になったTさん。ご縁とは不思議なものですね。

ある週末、リーグワン終盤、テレビの番組表を見ると応援しているチームの中継があることが分かり、慌てて観ることに。試合は押され気味で、それでも選手達は諦めていなくて、息子から早くお風呂に入って夜ゆっくりしようと言われていたので、やること盛りだくさんでどうしようと思っていると天候不良で中断。今だ!と思いすごい勢いでお風呂から出てくると、ちょうど試合が再開されることが分かり、喜んだのも束の間、試合中継がその番組では終わってしまい、膝から崩れ落ちると息子に笑われながら慰めてもらいました。「ママがせっかく急いで出てきたのにね。」共感してくれてどうもありがとう。その後、スマホで点を確認し、一喜一憂しながら惜敗。このドタバタの日常がほんわかしていて、こんな話を聞いてもらいたくてきっと私はシェアオフィスに向かったんだろうな、彼が異動になってもメールをくれて、これもまたお金には代えられない喜びなのだと思いました。日本でのワールドカップが熱狂に包まれて終わった後、ラグビー人気が高まった中で、コロナ禍に突入しました。そのことをとても残念に思っていたTさん。彼の気持ちを、ラガーマンの方達の気持ちを今年のワールドカップに繋げる為に、また熱狂しよう。試合前、心の中で一緒に円になり共に叫ぶ。きっと桜のジャージーを着た選手達に届くから。