去年の同じ時期、学級閉鎖になった時は、息子もインフルエンザにかかってしまい、楽しみにしていた科学クラブは行けませんでした。その悔しさから、5年生になっても同じクラブを選択。そして、最後の日がやってきました。「今年はインフルにならなかったし、クラブで何か食べ物を作れるのが楽しみだよ~。」そう言って材料を一緒に用意し、喜んで学校へ。そして、嬉しそうに帰ってきたので、何を作ったのか聞いてみました。「今日ね、なんと・・・チョコを作ったの!」「バレンタインの季節だしね!去年の最後は行けなかったから、今回は参加できて本当に良かった!」「そうなの、本当にボクもう嬉しくって。」ぐふっ。とリベンジできたことがとても満足だったよう。諦めなかったこと、もう一度同じ道を辿ってみること、やり遂げること、息子から教わることは盛りだくさん。俯いていたのは私の方だな。
そして、3学期最後の授業参観がやってきました。分散の参観ではなくなった分、随分気持ちが重たいなと思いながらパソコンを開いた後、身支度開始。ゆっくり学校へ向かい、廊下で待っていると図工でやった版画が掲示されていました。自画像がうまく彫られていて感動。自分が苦手だったことを、息子が楽しんでやってくれることは嬉しいなと。そして、遊びから帰ってきた本人が手を振ってきたので、振り返すと同じタイミングで微笑みました。大きくなったね、家の中にいると近くにいすぎて分からないことも、クラスのみんなといるとその成長を実感し、胸が熱くなったひとときでした。その後、授業が始まり教室の中へ。今回は道徳、どんな内容なのだろうと思っていると立ちくらみが起きてしまい、慌てて自分のバッグをふくらはぎに当てロッカーで支えました。随分中の方へ入ってきてしまったし、出るに出られず、息子は私の顔を見て安心していて、途中で帰る訳にはいかないなと困惑。すると、後からやってきた仲良しのKちゃんが廊下側に立ってくれて、彼女が醸し出す空気があまりにも柔らかく、気持ちがすっと楽になっていきました。こうやって何度助けられてきただろう、その人が培ってきたものってやっぱり雰囲気に出るのかもしれないな、いつもそばにいてくれてありがとうね、心の中でそっと届けました。最近になって思い出された一つの記憶。まだ小学校低学年の頃、実家の子供部屋に入ると、自分の勉強机の上が何もなくなっていて、下には雪崩のようにそこにあったはずの筆記用具や大事なものがぐちゃぐちゃの状態に。鉛筆削りもひっくり返っていたので、そのゴミかすがお気に入りの物にまで被ってしまっていました。後ろを振り返ると、隣の部屋にいた母の視線が。「机の上が汚かったから片付けておいてあげたわよ。」これは、片付けたとは言わない、元々そんなに汚れていた訳じゃない、なんてことをするんだと思いました。すると、固まっていた私にひと言。「ありがとうございましたって言いなさい!」母の虫の居所がきっと悪い日だったのだろう、それを私にぶつけた、母親として自分が上にいないと気が済まない人なんだな、この人が気に入るように振舞わなければ傷つくだけだ、だからいいこにしよう、そう言い聞かせ、ぐっと涙を堪えて母にお礼を言った自分を思い出しました。そして場面は変わり、岐阜の銀行の社宅にいた頃のこと。小学校は遠く、毎日へとへとになって帰ってくると、珍しく近くに住む父の同僚の奥さんが来ていました。その少し前、社宅の敷地内で奥様同士のトラブルがあって、今回訪問してくれた大人しい方が悪く思われてしまっているのをなんとなく知っていて。すると、ぽつりぽつりと母に状況を説明し、彼女の言葉に嘘はないと思った母は寄り添い、その控えめな奥さんが一滴の涙を流したのが分かりました。苦しかったんだなと。狭い世界で言われてしまった方は噂ばかりが先行し、みんな銀行員の奥さんでどんどん孤立していった、そんな中で勇気を出して母の元を訪れ、気持ちを分かってくれた時、救われただろうな。そういった面もまた私の母で、どうかと思う所もいい所も両方知っているからこそ、沢山悩み、でもそれも丸っとひっくるめて母なんだよねとちょっと微笑みたくなった道徳の授業でした。くらくらするから、内容は入ってこなかったのだけど、板書の先生の字、とてもしなやかだな、そんなことを思って。何か伸び伸びとしていて、子供達も楽しそうで、そこに大きな愛を感じました。教室中に広がったハート、それを受け取りに行く日だったのかな、そう思った時間、そして授業が終わり教室を出ようとすると会いに来てくれたのはKちゃん。もらったハートが膨らんだようでした。彼女も来年度は広報委員、子供達も広報委員で、親子揃って学校の広報に携わるって面白いねとわいわい帰宅。別れ際、Kちゃんがもっと何かを伝えようとしてくれたような気がしたのだけど、言葉にしなくても分かるよ。Sさん、本当に落ちついた時ゆっくり会おうね、いつでも話して。道徳の授業で出てきた『誠実』という言葉の意味。きっと彼女の人のようなことを言うのだろう。真心を持って人と接する人。
「おかえりなさい!」「授業参観、疲れた~。」いつもの公園でいつもの会話。「人口密度が高いからみんな緊張するよね~。」お母さんは、自分が歩いてきた道をなぞっていた。すると、5年生になったあなたと授業中に目が合った。悲しいこと沢山あったけど、あなたのお母さんでいられることが幸せだなって。こんな自分だけどって、もう思わないようにしようと思った。一緒に成長しよう。あなたが二十歳になる時、母親として二十歳になる。その時、共に笑っていられたらきっと合格。