時間の大切さ

朝から猛烈な頭痛に襲われ、まともに睡眠も取っていなかった為、家事をこなした後、もう一度休み、時間がどんどんずれ込んでしまったので、今日はカフェでパソコンを開こうかと考えていました。それでも、こんな日だからこそ誰かと話したくて、オフにする気満々でシェアオフィスへ。すると、受付にはラガーマンTさんが相変わらずの爽やかスマイルで出迎えてくれて、ドアを開けようとすると、不動産関係のHさんがドアを反対側から開けて私が通過するのを挨拶しながら待っていてくれました。「いつもVIP待遇、ありがとうございます!」「いやあ、毎日待っていますよ!」そう言って朝から大笑い。やっぱり来て良かった。
その後も、全く集中できないのでランチに出ようと思い、受付を通過すると、お決まりのラグビーの話で盛り上がってしまいました。「トップリーグの監督が、出向で大学ラグビーの監督に就任したんです。」「え?そんなことあるんですか。Tさんもコーチをしている大学の監督になってもらいたいです。」「なれたらいいですね~。」「どこまででも付いていきます!!」そう言って手を振ってお別れすると、満面の笑みで喜んでくれました。どんな身分になっても、応援してくれる人の存在が励みになることを知ってくれている人。トップリーグのチームを退団することになった話をしてくれた時、まだやれたという彼の無念さを感じました。その時の表情も気持ちも、忘れないでいようと思いました。そんな選手達の悔しい思いや、怪我で離脱を余儀なくされ、不安と戦う選手達の心のそばにいる人なのだと。そうか、彼の人間性を好きになったんだな。

姉が、産後にどうしようもなく母と大喧嘩をしてしまい、お互いを傷つけ合ってしまった後、本気で弱った電話をかけてきてくれたことがありました。「Sも大変な時にごめんね。私、どうもダメだわ。出産して情緒不安定になっている時に、お母さんと話すと余計に腹が立ってきて悲しくもなるし、自分の子供の頃も思い出してしまうのかも。あんたがずっと可愛がってもらっていたおばさん(祖母の義理の妹)いるでしょ。私も相談に行っていいかな。Sにとってお母さんのような存在の人だから、断ってから行こうと思ったの。」「そんな気を使わなくていいよ~。おばさんね、本当に大きくて温かい人だから、優しく聞いてくれるよ。きっとお姉ちゃんの今の苦しさを和らげてくれると思うから。」そう伝えるとほっとして、その日のうちに車で出向いてくれました。夜になり、また姉から電話が。「本当にありがとう。今自分の中にあるもの全部吐き出したら、優しく聞いてくれて救われたよ。Sが曲がらなかったのは、無理して真っすぐでいようとしているんじゃないかって、それだけでもすごくエネルギーがいることだと心配もしていたの。でも、今日分かった。お母さんのような存在が、あんたを楽にさせてくれていたんだね。一体どれだけの逃げ道を作っていたの?」「多分、2ケタはいっているかも。図書館やカフェは一人になりたい時。おばさんでしょ、K君ちもそう、高校時代の友達の栄養士のおばさんでしょ、日本料理店でお世話になった先輩や、小料理屋を出したママや、そうそう、お姉ちゃんが家庭教師をやっていた○○ちゃんちにも遊びに行かせてもらっていたよ。」「・・・。訳わからないことを沢山言ってくるお母さんの相手をしているSがどれだけ辛い思いをしていたか、本当に心配していたんだよ。実際私とはやり合ってしまうし。でも、あんたにはお母さんが沢山いて、とても自然に今のSがいるんだなって、今日実感したよ。私、人に甘えることをあまり知らなかったから、おばさんに泣きながら話して楽になった。ありがとう。」「それは良かった。大学図書館でも、女性の上司が何かと世話を焼いてくれて、栗かぼちゃとか丸ごと買ってきて持たせてくれたの。嬉しいのだけど、超重いなって、帰りの電車で笑えてきたよ。」そう話すと、ふっと力が抜けたのか一緒に笑ってくれました。

その後、おばさんからこっそり連絡が入りました。「お姉ちゃん来たよ。前はもっとツンツンしていたのに、随分丸くなったね。お母さんのことで悩んでいて、Sちゃんに聞いてからうちに来てくれたみたい。とても辛そうだったけど、弱音を吐いてくれて、当分冷却期間置くって話してくれたよ。なんだか、あなたは本当に皆の真ん中にいるのね。またいつでもいらっしゃい。」「お姉ちゃんの話聞いてくれてありがとう。おばさんの器に、私達姉妹はどれだけ助けられているか分からないよ。いつまでも元気でいてね。」いつも流れる優しい時間。沢山泣いた後に、涙を拭いて笑って自宅に帰る私を、どれだけ励まし、見送ってくれただろうか。

そして、もう一人のお母さん、小料理屋のママ。「あなたが娘でいることがどれだけ幸せなことか、お母さん、気づく時がくるといいわね。今は近くにいすぎて当たり前になっているんだと思う。私にもしあなたのような娘がいたら、それだけで何もいらないぐらい幸せ。」カウンター越しで伝えてくれた時、本当の愛を教えてもらったような気がして、そんな会話を聞いている常連さんの方達も、ママと私の気持ちを感じ、ビール片手に微笑んでくれるものだから、何とも言えない温かい雰囲気が漂い、ぐっときました。何も求めない、ただそこにいるだけで喜んでくれる人がいる。いい夜。ありのままの自分を肯定してくれた心のお母さん。風邪引いた、ちょっとお腹痛い、こんなことがあった、あんなことがあった、なんでもない話を笑って聞いてくれる人が私にもいた。
20周年のお祝いは、何を贈ろうか。20本の花束なんていいんじゃない?重ねた時間を花で表現できたら素敵。