雰囲気を作る

どれだけ弱っていても、Queenの『Don’t Stop Me Now』を聴くと不思議とテンションが上がってしまい、自然と肩が揺れています。秘密兵器が色々あると、ガス欠はないかも。

今年は思っていたより甲子園を観られる時間があり、東海大相模(神奈川)と中京学院大中京(岐阜)の試合を観て、感動する場面がありました。まだ序盤、中京学院の選手がバッターボックスに立つと、応援席からはハッピーバースデーの曲が。その選手がおそらくお誕生日なのだろうと誰もが分かる大きな声援。その気持ちに呼応するかのように球場全体がハッピーバースデーに包まれ、嬉しくなりました。敵味方関係なく、観客皆さんが応援する気持ち。これが甲子園なのだと、アルプススタンドから球場全体が一つになるっていいなと、またあの場所に行きたくなりました。
中学生の頃、父が家族を連れて行ってくれた春のセンバツ。初日はバックネット裏から、二日目はライトの外野席から。そこから3塁側の応援席が見え、あまりの華やかさに胸が熱くなりました。人文字やチアのメンバーや吹奏楽の方達。ここまで辿り着くのに、彼らもまた沢山の練習を重ねてきたのだと、堪らない気持ちに。そして、なぜかその高校が頭から離れなくて。スタンドの応援が後押しになるあの感動を、息子にも伝えていきたいです。

久しぶりに行った診察で、主治医が思いがけない提案をしてくださり、以前の総合病院でまた診て頂けることになりました。気分がすぐれない時の遠距離通院がきついことを感じてくれた、先生の配慮です。その総合病院では、別の科で非常勤として月に二回だけ診察している話をしてくださり、電話で予約をすると、先生の都合のいい時間を空けてくれて、また古巣に戻ってくることができました。感無量です。と言いたいところでしたが、夏休み中ということもあり、息子も一緒だったので、感傷に浸っている余裕もなく、一緒に隣街までドライブ。運転があまり得意ではない私に、到着すると、「無事に着いて良かったね。」のひと言。相変わらず信用されていなくて、笑えてきました。早く着いたので、お約束の絵本を買うと、シール付きだったので、待合室でトミカの絵本を広げ、一緒になぜかシール貼り。その後呼ばれると、息子も一緒に入り先生が満面の笑みで迎えてくれて、ぐっときました。総合病院にいる先生がやっぱりしっくりきてしまい、沢山の患者さんを助けてきた主治医の静かな威厳と優しい雰囲気に胸がいっぱいで。そんなことを診察中に思っていたら、隣に座っていた6歳児が、「ママ、シール貼って~。」「後にして!!」。ここはね、さすがに空気を読もうよ。診察中だし、後ろに患者さんが控えているし!と宥めながら説得していたら、先生がノッテくれて。「トミカが好きなんだね~。やっぱり男の子だね!ママは夏休み大変だ。」今、同時に二人を癒してくれたね、先生。もうさすがとしか言えないです。
帰りの車の中で、息子がぽつりと伝えてくれました。「ママの先生、思い出したよ。やっぱり優しかった。」今回で会うのは二回目。包み込むようなオーラは、子供でも十分伝わるよね。

夏の甲子園や春のセンバツを、全試合テレビで観ていた祖父。愛知の高校が負けると必ず呟いたのは、「今年の夏も終わったな。」「いやいや、おじいちゃんまだ夏はこれからだよ!」というのが私のお決まりの返しだったわけで。祖父の生きがいだから、どうか勝ち上がって。毎年そんな祈りを込めていたような気がしています。「おじいちゃんは、どうしてそんなに高校野球が好きなの?」「一生懸命だから。負けたら終わってしまうと思うと、こんなにもひたむきな姿を見せてくれるんだなって。こういった経験が、これからの人生に生かされていくんだろうな。」

テレビから流れる応援歌を耳にする度思い出される、祖父と観た甲子園。