色褪せてもいい

出産してからずっと愛用をしていた黒の斜めがけのPRADA。息子に砂をかけられたりしていたので、傷みが激しく、いつのまにかグレーの状態に。幼稚園を卒園するまで使い続ける予定だったのですが、さすがに使っているのも恥ずかしい汚さを母に指摘され、違うバッグに変えることにしました。

クローゼットにしまっていた、次に使おうと決めていたベージュのPRADAのリュック。実はこの二つのバッグは、以前母と姉がイタリア旅行に出かけた時、現地のアウトレットで購入してくれたものです。いつも祖父が心配で同行しない私の為に、全くタイプの違うバッグを選び、帰国してから優先的に選ばせてくれました。
用途も色も違う。究極の選択だ。とにかく選べず、「お姉ちゃんはどちらがいいの?」と聞いてみると、「それを言うと、Sは絶対に残った方を選ぶから言わない!」と言われ、それから数時間本気で悩み、リュックに決めました。理由は、自分では買わないタイプのバッグだったから。
イタリアか~。頭の中で思い描きながら、喜びと共に就寝。

それから年月が流れ、息子を産んでからなぜか、姉の元へ行った黒のバッグを思い出すことに。斜めがけの方が、子育てしながらすぐに鍵や携帯が取り出せていいな。ここで甘え上手の妹キャラを発揮し、姉に電話。「お姉ちゃん、やっぱりPRADA、黒の方がいいから交換して~。」「どうしようかな。私、リュックも使わないからいいよ。Sにあげて新しいのを買うよ。」やったー!!さすがにそのまま受け取る訳にはいかず、ちょっとだけお礼の気持ちを渡し、激安で譲り受けたのがこのバッグでした。

そして、大切に取っておいたリュックを楽しみに袋から開けてみると、衝撃の色褪せ。ところどころが黄緑色に変色していて、本気で落ち込み、夫と息子に慰めてもらうことに。少し手が離れたら、ご褒美に使おうとずっとしまっておいたのに、変色しているってどうよ。数日後、凹みながらバッグの修理屋さんに見てもらうと、「これは直らないね~。変に染め直すよりもそのままの素材を生かして身に付ける方が、PRADAの良さは損なわれないよ。日焼けしたら、味が出るかもしれないね~。」と味のあるおばちゃんに教えてもらい、なんだか吹っ切れました。
そのまま使う!いいんじゃない。綺麗な状態で使ったのは、夫と恋愛中に行ったディズニーランドとディズニーシーの二回だけ。もっと早く使えば良かったのだろうけど、それだけ大切で使えなかったよ。なんでだろう。あの選択権が、ずっと嬉しかったからかな。

この猛暑の中で、息子の部屋から冬中探していた黒の手袋が出てきました。「やっと見つかった~。」と騒いでいたら、くっくっくっと笑っていた息子。犯人はこいつかっ!体を冷やさないように主治医に言われていた中で、手袋なしで幼稚園を往復していたんだよ。体を張って送迎していたのに、夏に見つかるって・・・。「ママ、見つかって良かったね!」全然良くないわ!!

よく見ると、手袋もしっかり色褪せてしまい、真っ黒では無くなっていました。「Sは物欲が無いから、日常的に使えるものをと思って、デパートで買ってきたよ。」と随分前に母からプレゼントをされたもの。会わなくなった期間もずっと愛用していました。
自分で買ったものならあっさり諦める。でも人の気持ちが乗ったものなら、色褪せても諦めない。
大切な人からもらったものなら、なおさら。