自宅安静期間長いなと思いながら毎日見ている鏡で、髪の毛が随分伸びたことに気づきました。入院前に感染しないよう、外に出ることを最小限にして以来、自分の身なりは二の次だったなと笑えてきて。退院初日、母に「痩せたわね~。」と言われ、息子には「ママ、頭ボサボサ。」と言われ、正直すぎる親子関係に苦笑するしかなかったことを思い出しました。気持ちが悪くて、それどころじゃないんじゃ!!と心の中で呟くだけで精一杯。そんな時間を通り越し、そろそろ整えていこうとお尻に火が付いたので、マニキュアを塗って、美容院の予約を入れることにしました。
当日、淡いピンクのセーターを着て、ネックレスもして、ショートブーツを履こうとしたものの、まだ自転車に乗れない期間なので、歩いて行くことを考えると体を守らなければと思い、仕方がなくnew balanceのスニーカーを履き出かけました。このスニーカーでね、沢山リハビリしたんだよ。とにかく歩こう、それで体力をゆっくり戻していこう、もちろん入退院もこのアイテムと一緒。自分の体を支えてくれた大切な相棒です。そして、気持ちよく30分程かけて目的地に到着。副作用がきつく人と話すのも正直億劫だったのですが、可愛らしい美容師さんが付いてくれて、軽やかに会話が弾んでいくので、気持ちも上げてもらいました。少し前に、卵巣や卵管を摘出したことなんて、誰も気づかないよね。それが今日は嬉しいんだな。こうやって、ゆっくり過去になっていく。そんな時、さりげなく検索をかけて辿り着いたある婦人科の女医さんの記事を見つけました。手術をして二年も経過をすると、執刀医や主治医の名前も忘れます。忘れてくれることが、元気になった証拠のようで嬉しいのだと。その文章を読み、こんな気持ちで日々患者さんと向き合ってくれているのだと思うと、いつまでも振り返ってばかりいないで、前を見ようって元気を注入してもらったようでした。
そう言えば入院中、ようやく歩けた日に、まだ背中から麻酔の管が入っていて、看護副部長と若い先生が回診に来てくれた時に聞いてみました。「麻酔が切れてしまったら、また激痛に襲われるんじゃないかと心配なんです。」「ちょっと見てみますね!」明るくそう言って、看護士さんが私の体にぶら下がっていた水筒のような形の容器を振って確認すると、笑いながら伝えてくれました。「薬液は空です。とっくの昔に切れていたかもしれませんね~。」「気持ちの問題って大きいですね。ずっと付けてあるから、てっきりまだ麻酔が効いてくれていると思ってました。」そう話すと、ははっと一緒にいた先生も笑ってくれて。「もう十分痛みはコントロールできているみたいですね。安心できるならこのままにしますか?って言いたいところですけど、外しますね~。」そう言われ、背中の管が取れた時、手術台の上でえびのように丸まった状態で、麻酔を付けてもらった時の事が蘇り、大きな戦いがゆっくり終わろうとしているのだと思いました。その後、その陽気な看護副部長さんがまた登場し、「○○さん、お・く・す・りっ」と随分茶目っ気たっぷりに言ってくれるので大笑いしてしまいました。「今度は腸を動かすための薬です。頑張って飲んでね。飲まないと別の病気になっちゃうから!」「はい。頑張ります!!」そう言ってお別れ。一つの処置に、一つのお薬に、元気になってという祈りが込められていること、それがとても自然でどれだけ励まされたことか。
今回、大きな手術であることは分かっていたので、プログラマーのMさんに伝えておきました。万が一私に何かあったとしても、まだ公開していないWordの記事は、全てアップしてほしい。そして、トップに私の状況を伝えてほしいと。色んな想いを感じた彼は、何があってもこのサイトを守ろうと決めてくれていました。そして、ずっと裏側で沢山のアドバイスをし、サポートをしてくれていた技術営業のFさんにも、これまでのお礼と近況を、Mさんを通して伝えてもらいました。すると、優しい返信が。『さくらいろさん自身が困難に立ち向かう時です。待ってくれる読者さんの存在が、力になってくれるのではないでしょうか。ページビューもそれを裏打ちしてくれるように思います。くれぐれもお大事にして無理なさらぬようにしてください。体が資本ですからね。元気に想いを発信し続けてください。』
体が資本、何かその言葉がずっと心に残り、Fさんもまたぎりぎりの状態で頑張っているのではないかと思いました。そして、困難に直面し、それでも会社を守る為に必死に考えながら、進んでいるのだろうと。入院前に言葉を頂き、勇気を出して、公開を一時的に週2日で行くことに決めました。今まで途切れずきた、そして、大変なのは私だけじゃないから、何とかして公開したいという気持ちでここまで来ていました。だから、苦渋の決断だった訳で。
それでも、送ってくれた言葉を読み、腹を決めました。勇気を出して、公開を減らすことも、何かを届けられるメッセージになるのではないかと。頑張る中で休むことの大切さを伝えられるいい機会になれば、あなたの体はあなただけのものじゃなくて、あなたを大切に思う人は皆大事に思っている、だから勇気を出して心と体を休めてほしい、そんな充電期間がきっと大きな活力になるから。その気持ちを届けたくて、今回踏み切りました。
『この度のことも発信されるんでしょうね。どんな言葉が生まれるのか楽しみにしております。』そう伝えてくれたFさん。入院中に見た景色を、何一つこぼすものかと思っていました。負の経験が、実はそうじゃなくて、とんでもない優しさに変わることを届けたくて。どうしようもなく辛い時の苦しさは、その痛みは、周りの人を癒す力に変わると信じて、本当は胸が潰されそうだったけど、そんな時こそ顔を上げていたくて、そんな全ての想いを爆発させようと思いました。
私がステップアップしたら、誰かが元気になる?その誰かが、また誰かの笑顔を誘う。身分関係なく、人を想う気持ち。私がいる世界は、そんな場所。