忘れることも重要?

すっかり気に入ってしまったカフェで、カフェラテを飲みながらそれなりに大事なことを思い出しました。遡ってみると、漢方内科の主治医が私の下腹部を押して違和感を覚え、伝えてくれたのは子宮筋腫の疑いでした。紹介状を持って、婦人科を訪れ、おじいちゃん先生が慌ててくれたのは卵巣の方だった訳で。それでも、実際子宮筋腫もあり、そちらは小さかったので、とりあえずは大丈夫だということ。そして、術後に担当の看護士さんに改めて聞いてみました。「そういえば、もともとは子宮筋腫の疑いで婦人科に来たんです。そちらは問題ないのでしょうか。」ちょっと見てみますねと、電子カルテを見ながらさらっと教えてくれました。「子宮筋腫の方は、経過観察です。」と。それはそれで若干複雑だなと思いながら、婦人科の執刀医の先生は子宮について一切触れないなと、気にするレベルではないから会話に上がってこないのだろうけど、忘れてた!なんてオチはないよね?!毎回、聞こうと思っていても、副作用がどうのこうのという話で終わってしまうので、自分も気にしていないんだろうな。これ以上何かあったら、笑い飛ばすしかない。

姉のことをたまに『ネネちゃん』と呼ぶこともあった数年前。祖父が姉のことを『ネエちゃん』と呼んでいたので、それを変化させてそう呼んでいたら、義兄もたまに真似するように。クレヨンしんちゃんに出てくるネネちゃんと、若干キャラが被っていないか?!リアルおままごとの台本は書いていないけど、家族内で誰も逆らえなかった強者です。そんなネネちゃんが、カナダから帰国し、また実家で暮らし始めた頃に事件がありました。洗濯物は自分の分しか洗わず、乾燥機をかけて終了。母の不満は私に降りかかり、えらい目に遭う始末。そして、塾の講師をしていた頃、夜遅くに帰るので朝起きるのが遅いというサイクルの中で、祖父が何でもないことで内線電話をかけてきて姉が、激怒。「Sはまだ寝てるんだよ!!おじいちゃん、それぐらい分かるでしょ!」その時言われた当たりの強さが、祖父を通して私に向けられ、疲弊してしまいました。お姉ちゃんが妹を思う優しさも嬉しいけど、三人で上手くやってきたんだよ~という気持ちも本人に伝えられず。その困惑した状況を、すっかり仲良くなっていた姉が前にやっていた家庭教師先のおうちに泣きつくと、ご両親が笑って聞いてくれました。「お姉さん、帰ってきてくれたはいいけど台風の目になっているね。これぐらい自分のペースで生活していいっていう妹に対する気持ちもあるのだろうけど、言い方ややり方ひとつで相手の印象は変わるからね。フォローするSちゃんも大変だ。」よくぞ言ってくれました。そこまで気持ちを汲み取ってくれてありがとう。と泣いている絵文字さながらに感激してしまったことがありました。大変なのだけど、理解し、一緒に笑ってくれるって救われる。姉は私のことは大切、でも妹を苦しめる人はいや、その気持ちは十分伝わっていたよ。

そんな姉の職場の上司に、取引先の若い方達と合コンをしてくれないかというまさかの指令が出たことがありました。「私は婚約しちゃったし、周りは結婚した人も多いから、Sの友達何人かいない?」「いないこともないけど、それって失礼なことがあったら取引終了とかだと、ちょっとプレッシャーなんだけど。」「そんな固いものじゃないから大丈夫。私も幹事としてとりあえず行くから。」とまさかの展開に、どんどん人数が膨らみ、最終的には姉を除く7対7の大人数になってしまいました。場は盛り上がり、役目を終えて終了。そして、参加してもらった塾の講師の先輩から思いがけない連絡が入りました。「実は、あの合コンで仲良くなった彼と付き合うことになって。」え~!!その先輩が、二股をかけていることを知っていました。「クリスマスはいいのよ、二日間に分けられるから。でもバレンタインは毎年困っちゃって。」なんて笑いながら話してくれたことがあり、苦笑するしかできず。そんな先輩が、二人を振り、本気の恋愛を始めたことに驚きました。そして、全く知らなかった話をしてくれて。「私ね、お母さんがある日寝たきりになって、毎日ヘルパーさんが介護に来てくれているの。交代で介護をしているから結婚なんて考えられなかったけど、そういったことも全部彼が分かってくれて、踏み切ることにしたよ。」正直ちょっと軽い人なのかなと思いきや、本人が人知れず抱えていた苦悩に、泣きたくなりました。弱さを見せずに、強気でいる姿を周りに見せることで自分を支えていたのではないかと。

そして、結婚式に呼ばれました。どうやら私がキューピットらしい。元々は姉に頼まれた会社間の合コンだったのに、人とのご縁はとてつもなく不思議。余興で、新婦の先輩が目を隠され、男性三人と握手し、誰が新郎かを当てるゲーム。そこで、彼の手を握り、まだ目を隠されているのに先輩が「温かい」と呟いた時、涙が溢れそうになりました。あんなにいつも気丈に振舞っていた彼女が見つけた本物の幸せがここにあるんだなと。そんな姿を、車いすで無理な体を押してずっと見守っていたお母さんの姿がありました。その真ん中に自分がいて、親子の愛を感じずにはいられなくて、先輩の苦悩を知っていただけに、最後の手紙で号泣。いい式だったなと思いながら帰ろうとすると、先輩に呼び止められ、最後まで残ってと言われました。みんなが帰るのを待っていると、伝えてくれて。「ブーケ、もらってほしくて。今度はあなたの番よ。」そう言われ、自分が主役なのに人に優しさを届けられる人なのだと堪らない気持ちに。苦労をしてきた人だからこそ。

先輩から直接結婚すると報告を受けた時、伝えてくれました。「寝たきりのお母さんの所に彼を連れて行ったの。そうしたらなんて聞いたと思う?『お金持ってる?』って。もう笑っちゃってね。」そんな話を嬉しそうにしてくれた彼女。
合コンでひっそりと飲んでいた彼。格好も付けず、みんなの話をただ笑って聞いているような人でした。そんな彼が、結婚はしないと言っていた先輩をアプローチ。「Sちゃん、合コンに行く時はメイクバッチリにしてね!目元が重要よ!その場の食事は控えめに。お腹すいたら、終わってから食べればいいんだから。」そんな合コン大好きな先輩は、もう過去のこと。笑顔が柔らかくなったこと、本人は気づいているだろうか。