日曜の朝、息子の試合があったので早く起きた後、地区シリーズのホワイトソックス戦が深夜にあったことを知っている彼が伝えてきました。「録画しておいた試合、帰ってから一緒に観る予定だったけど、どうしても気になるから、ボクだけ結果を見ていい?」「Rのリアクション、分かりやすいんだよ~。」そう言いながらも、本人がうずうずしていたので、内緒にしてねと言い促すことに。すると、「おお!」という声が小さく聞こえ、なんとなく勝敗が分かり嬉しい悲鳴。その後、さらに検索をかけると、「すばらしい!」とかすかな声が漏れ聞こえ、ついには「言っちゃっていい?」ともう堪えきれない様子だったので、教えてもらうことにしました。「ま・・・(本人なりに引っ張りたい模様)、勝ちました!そしてなんと・・・村上がツーランホームランを打ってくれて、3対0でガーディアンズに勝利!!」うお~!と二人で散々盛り上がった朝。聞かなくてもあなたのリアクションで大体想像はついていたわと笑いながら、気持ちよく見送りました。勝っても負けてもいいパフォーマンスが出せるといいね、息子に届いているだろうか。
二日前、一年半ぶりに姉と会ってきました。先にカフェへ着き、来月誕生日の彼女に焼き菓子の詰め合わせをラッピングしてもらい、席で待っているとカツッカツッと聞こえてきて。それは、私の知っているネネちゃんの足音でした。すぐにこちらを見つけ手を振りご挨拶。笑顔を向けてくれたのだけど、彼女の悲しみが心の中にあることを感じました。背景が涙色だ、そんな風に見えて。曇り予報だったのに雨になってしまった天気のせいだったらいい、そんなことを思いました。お互いの近況を伝え合い、お菓子のプレゼント交換をして、少しずつ内容は深くなっていって。「Rの反抗期に苦戦する時があるよ。学校に提出しなきゃいけないプリント、全然出してくれなかったり。」「それはデフォルトだよ。」ここでデフォルト(初期設定)というワードが出てくるとは思わず、爆笑してしまって。「R君が居心地よく思っているから、Sちんの前だけ出せる姿なんだよ。私達が子供の時なんて、反抗できる余地はどこにもなかった。だからお互いこうなっちゃったんだよ。最近、AIに色々相談するんだけど、毒親に育てられて母親の話ばかりを聞いてきたから聞き分けのいい子になってしまう。これってまさにSちんじゃん!って思ったの。」私は一体何を言われているのだろうとぐるぐる。姉の心配も分からないではない、でも何か違うものが混ざっているんだよなと。「Sちんってさ、ずっと低空飛行なんだよ。きっと最悪な状態を知っているというか避けたいんだろうね。R君もそういう所あるよね。」ん~、なんだろうなこの違和感。自分なりの解釈をすると、劇的な大きな幸せは巡ってきたことがなくて、妹はそれでいいのか?と思われているのかな。だとしたら、姉はきっと私や息子のことを本当の意味で分かってはいないのだろうと。目の前にある小さな幸せをそれこそ手に溢れる程拾ってきたし、今もそうなんだよ。そうやって沢山の方達と心を重ね合わせてきた。その時間は、絶対に消えない。そんなことを思っていると、目の前の彼女はさらに伝えてきました。「子育てをしていたら、やっぱり両親のことが余計に許せなくなってきた。そういう時期も少し越えられた気がするけど、私がこうなったのも彼らのせいだと思ってる。私が大阪に就職して、お父さんもお母さんもおじいちゃんもみんなSちんを頼るようになった。私の知らない所で、みんなが感情をぶつけた。それが私は許せない。お父さんは、家族を大切にしなかった。だから出世コースから外れたのだと思っているよ。社会情勢もあったかもしれない、でもだからって女に逃げていい訳じゃない。おじいちゃんも精神的に倒れて、元々おかしかったけどお母さんはさらにおかしくなって、Sちんは自分がいなくなったらこの家は本当に壊れるって分かっていたから踏み留まったの。でも、本当なら大人三人が解決しなきゃいけない問題だったんだよ。Sちんは関係ないもん。三人で本音を出し合ってぶつかり合えば良かったのに。私なら子供に絶対そんな思いはさせない。」私なら私なら・・・連呼される姉の言葉。ネネちゃん、まだ苦しいんだね。でも、“私なら”という視点から抜け出さなければ、見えてこない景色があるよ、心の中で思いながらゆっくり伝えました。「私はね、逆だったと思っていてね。お父さん、あのまま出世コースを進んでいたら、もっと嫌な人になって遠い存在になっていたかも。でも、道から外れた。荒れて、家を出ていったんだけど、風邪を引いた時に連絡をくれてね。風邪薬やお米を握りしめて介抱しに行ったの。こんな姿、若い彼女には見せられないよねって思った。『お父さん、分かったでしょ。結局こういう時に頼れるのは家族なんだよ。』って伝えたら頷いていた。」その話をすると、妹の口から知らないことが相変わらずどんどん出てくるので、まだ何か言いたげな複雑な表情をしていて。その時の情景が私の中に広がり、泣きそうになりました。父はその時のこと、完全に忘れたわけじゃないなと気づいて。母も、父も、祖父も、それはもうひどい状態でした。それでも、彼らと一対一で向き合いました。話し合うという段階にはない、だからこそ私と二人で話すことがとても大事だと。罵声を浴びせられたことなんて数知れず、でも、向き合うことをやめませんでした。すると、彼らは、本当に少しずつ顔を上げてくれました。人がどん底から這い上がる姿って、きれいだな。三人の大人が、泥臭く立ち上がった、それはもしかしたら私の成功体験として残っていたものだったのかと。自分の選択はmustではなくwantだった、だからなんの後悔もありません。
「私は肯定感が低いから、仕事をしている時だけ条件付きで高くなる。でも仕事がないと自信がない。」そう伝えてくれたネネちゃん。Sちんは?と聞かれたので、伝えました。「自分が少しずつでも積み重ねてきたものは、自信を持ってもいいのかなって思っているよ。」「それも条件付きじゃん!」いやいや違うんだよ、そういうことじゃないんだ。仕事の話だけじゃない。築き上げてきた人間関係がある、自分と向き合い続けた時間がある、応援してくれる方達がいる、応援したいと思う方達がいる、一つのことを成し遂げようとする時にそばにいてくれて、だから今自分の足で立っていられているのかもしれないなと思いました。その過程が大切なんだ、きっと今でも。姉の中には、きっとまだ小型ナイフがある。それがとても苦しそうで。だから、いつか届くと信じて最後に伝えました。「佐賀のおばあちゃんが亡くなってから、両親のこと、私の役目は本当に終わったんだなって思って一区切りついたの。これからはRとの穏やかな時間を楽しもうって。そんな日々が好きなんだ。ネネちゃん、今を大切にしようよ。今この時を。」過去に囚われてしまう気持ちも分かる、それだけのことがあった。でもね、あなたの心が晴れる日を願っているよ。条件なしで、無償の愛を姉へ。このメッセージはいつか彼女の芯に届くだろうか。
佐賀行きの新幹線、幼い私の手を握り、二人で乗った車内。姉妹だけの旅だね!遠くへ行くんだね!いろんな景色が広がり、隣には姉がいてくれたその時間は、宝石箱のようだった。外的なものじゃなくて、内側から溢れるこの気持ち。