ピンチを笑いに

毎晩の寝かしつけは、就寝30分前に息子がぬいぐるみを抱え、「ママ、ボクの部屋に行こ~。」というのが定番になってしまいました。昨晩はクイズ大会で、紙コップをひっくり返して底をボタン代わりにし、モグラたたきのミニハンマーでピンポンを押すという9歳児の創造力に大笑い。その後、動物達はお客さんで、私が問題を出すことに。「雨がよく降る時期を梅雨と言うのですが、ほとんど降らない梅雨のことを何と言うでしょうか。ヒントは○○梅雨です。」すると、紙コップの底が抜けそうなほど連打した息子がひと言。「分かった!てんつゆ~。」「ブッブー。って、なんで今食品が出てくるのよ。正解は空梅雨でした~。」「え~、知らな~い!」と二人でゲラゲラ笑い、寝かしつけどころかテンションが上がってしまいました。その後、ようやくぬいぐるみ達も一緒にダブルハイタッチをして寝かせ、やっと落ち着いたと思ってリビングの椅子に座ると、背後から人の気配が。振り向くと、くみちゃんを握りしめた息子がガラスドアにへばりついていて、叫びそうになりました。「びっくりしたよ~。」「寝れないの。」気圧が下がっているし、天つゆで盛り上がっちゃったしねと笑いを堪えながら、再度寝かせに行き、ようやく長い一日が終わりました。安心感は入眠サプリ?!息子とのルーティンワークは、これからも続く。

前にも触れたHSS(人一倍繊細なのだけど、好奇心が旺盛な人)という自分の特性に気づき、それはそのまま息子にも当てはまることが分かりました。元々、プログラマーのMさんにさりげなく私に何か特性のようなものを感じるか聞いてみると、“HSP”と教えてもらったことがきっかけでした。その当時息子は2年生で、担任のT先生に最近あった出来事の相談をさせて頂く中で、自分がHSP傾向にあることを知ったという話を伝えると、翌日ランドセルに関連書籍を突っ込んでくれていて驚きました。表紙に貼られていたポストイットには『HSC(人一倍繊細な子ども)のことを学んでいます。』という説明書きが。私が司書であったことを知っている先生は、本を通して理解を深めてもらえたらというメッセージだったのではないかと思いました。有難く読み進めると、色々考えさせられて、これって先生にも当てはまる部分があるのではないかと思い、栞を挟んで面談の時にお礼と共にお渡しさせて頂くことに。これは私にも当てはまることで、同時に先生にも該当していることなのではと思ったら、苦しさの根元に少しだけ届いた気がして、それはもしかしたら先生が触れてほしくない部分だったかもしれないけど、私もその痛み持っているから分かるんですという気持ちを届けたくて伝えました。本の感想かと思いきや、栞を挟んで想いを返すこの人は不思議な人だなという柔らかい表情をされ、そんな心の声が読み取れてしまい、なんだか嬉しくて。その栞はシェアオフィスでもらったもの、そこで読み、私に届けてくれた先生の心が少しでも楽になるようにと願い、関連箇所をブックマークしました。パラパラとめくった時、まだ同じページに残ってくれているような気がしていて。先生の元に戻り、一冊の本から優しい息吹を感じた時。

その後も関連書籍を読むと、HSSという特性を持つHSPを見つけ、これはプログラマーのMさんに当てはまるなと思い本人に伝えました。すると納得され、自分にも当てはまると思い、それって息子にも当てはまるよねと芋づる式に理解が進み、色々なことが頭の中で繋がっていきました。静と動。アクセルとブレーキを同時に踏んでしまいそうになるから、混乱もするし、明るい自分が表に出ているから、なかなか分かってもらえない部分もあるよねと息子の苦悩を深く感じられるように。「春休み、おばあちゃんと長い時間一緒にいて、何が違和感だった?」「おばあちゃんがボクに、何でも買ってあげるから言うこと聞いてって言ってきたりしたの。何でもってちょっと違うよね。機嫌が悪い時の時間が長いし、一緒にいると色々なことに気づいちゃうんだ。」私の前では超わがままな時があるのに、コイツ冷静に人を見ているなと驚きました。「頑張った先にご褒美が待っていたり、そういった我慢の時間って必要な時もあるよね。だからこそ価値が分かったりね。なんでも買ってあげるから言うこと聞いてというのは、孫のためにならないね。そのことに気づけたRは偉い!」そう言うと、よくできました!の判子でも押してもらったかのような笑顔をこちらに向けてくれました。

母のことでストレスの高かったここ最近、癒着の起きている下腹部の痛みが強くなり、久しぶりに身の危険を感じて。そんな時ふと思いました。私は息子と観覧車に乗っているのかもしれないなと。刺激を求めて他の乗り物にも乗りたくなるし、時には遊園地から出てもっと遠くに行きたくなる。でも、観覧車に戻るとゆっくりしたペースでそこから見える景色を共有したくなって。息子が見えているものに驚かされ、私が見えているものを知りたいと願ってくれる。そんな箱は、あたたかく支え合っているんだなと。何周したら、彼は本当に出て行くだろう。その時の心の準備はいつでもできていて、だから何もかもが愛おしい。息子が出たら、観覧車を一人で回り、共に過ごした時間を懐かしみ、私も降りるのかもしれないな。その時、スーツケースにはどんなぬいぐるみが入っているだろう。ボロボロになってケースに入れられたくみちゃんが一緒に旅をしてくれたら素敵。とにかく再手術は免れないと。何があってもあなたを守り抜くと約束したから。