いつの間にか9年目に突入していて、1100記事を超えていました。もっと先を見ているので、そこまで実感がなくて。ネット世界全体が変革の時期にあると、プログラマーのMさんにはここ最近よく言われ、私自身感じるようになってきました。今こうして書かせてもらっているのは、もちろん生身の人間で、どれだけ時代が変わろうとも大切なものは守っていきたいと思っています。大学図書館で勤務をしていた頃、セルフ貸し出しの機械があり、カウンターに本を借りに来てくれる学生さん達に、時間がある時はその存在を伝えていました。すると、一人の学生さんが質問をしてくれて。「今日使い方を聞いたということは、毎回自分で貸出処理をしなければいけませんか?」と。「いえいえ。図書館サービスのひとつとして、そういったものがあると知って頂きたくて伝えさせてもらっただけで、カウンターに毎回本を持ってきてもらってももちろん大丈夫です。テスト期間など混む時は、ご本人の判断で良かったらセルフ貸し出し機を利用してくださいね。」そう話すとほっとしてくれました。選択肢は、利用者さん達にある、必ずこうしてほしいという訳ではないのだと。このサイトも、読者さん達それぞれのタイミングで、ふらっと訪れて頂けたらと、週に二回同じ時間にここにいますと、人を感じて頂きたくて、言葉を紡いでいます。何が正解か分からない、でもそれが心地いいと思ってもらえて、このサイトが埋もれることなく継続してここに残っていられるのだとしたら、やはり読者さん達にありがとうだなといつも思っています。ありのままの自分を好きでいてほしいと伝え続けたい、そんな9年目もすっかり夏の新緑の季節です。四つ葉のクローバーは見つかりましたか。
息子の反抗期は、気圧の変動とも関係しているようで、心身ともにきつくなると、感情をぶつけてくる時が。自宅で卓球の練習ができるようにと沢山のボールも買ったものの、やけくそになってラケットを振る時もあるので、イライラしている時に今度は何を壊すだろうとこちらも気が気ではなくて。落ち着いて注意しても、完全にスルーされるので、私も何も言わずに寝る準備を始め寝室に行こうとしました。が、本当は寂しいんだという彼の心の声が聞こえたような気がして、しゃがみ込み目線を合わせると、やっぱりこちらの様子を伺っていたようではにかみながら顔を伏せたのが分かって。「お母さんがなぜ怒っていたか分かるね。今日は気圧の変動も大きくて、体がきつかったのも分かる。でも、なんでもかんでもぶつけられたら、お母さんも辛い時があるよ。マイナスの感情を出すことも大切なこと、でも当たりやすい人にだけ集中するのもちょっと違う気がするんだ。家の中も、沢山のことを学ぶ大事な社会だよ。少しずつでいい、自分の感情と上手に向き合ってあげてね。でね、卓球のラケットもボールも、ただの“物”じゃない。Rの大事な相棒なんだよ。そこにも魂があるってお母さんは思う。一緒に戦ってくれる自分の道具を大切にするのも大事なこと。試合が始まる前に、相手選手に対しても審判に対してもお辞儀をするのは、敬意を払う為。勝敗も大事だけど、礼に始まり礼に終わるという気持ちもスポーツを通して学んでくれたらと思う。後で一人になった時、ラケットやボールに謝ってあげてね。」そう話すと、本当に小さく頷いてくれました。卓球部の顧問の先生は、家庭科の先生だそう。部活の説明会の時、とてもふんわりとした雰囲気が胸に届きました。それでも、その芯は揺るぎないものを感じさせてくれる強さが確実にあって。実際部活が始まると、息子がひと言。「先生ね、いつもは穏やかなのに卓球になると超怖いの。なんかもう別人。めちゃくちゃ厳しいよ。」その話を聞き、嬉しくなりました。そういう先生、大好き。理不尽な叱り方をしないから、息子は先生のことを心から信頼しているんだろうな。
私の中学時代のテニス部顧問は保健室の先生と、非常勤の音楽の先生でした。保健の先生は、ふわっとした感じではなく竹をスパッと切ったような格好いい30代の女性の顧問で。陸上の大会が近くなると、テニス部の練習を早々と切り上げ、陸上部の練習に集中。そして、大会が終わりテニス部に戻ると、先生は誰よりも厳しい口調で指導してきました。「S、それぐらいのボレーが打てなくてどうする!」檄が飛ぶわ飛ぶわ。みんなも驚く程、私には強い言葉の数々でした。でも、その裏側で先生はこちらの悩みを聞いてくれていて。どうしても、授業に1時間だけ出たくない時は、理由も聞かずに保健室のベッドで寝かせてくれたこともありました。そして、陸上部の顧問であり社会科の先生とも仲の良かった先生は、陸上で相当鍛えられていると聞いていたよう。「S、陸上部で散々走ってきたんでしょ。その脚力をもっと活かせ!」と練習中、後輩達の前でも叱られました。でも、何一つ怒りがこみ上げなくて。先生とは腹を割って話してきた、全て信頼の上での言葉なのだろうと。ちょっと緩い雰囲気のテニス部を、Sが行動で示せ。いろんな気持ちを感じ、最後の公式戦がやってきました。団体戦、一勝一敗で迎えた第三試合、一セットずつ取り合い、最終セットが始まって。ネットの前で、ラケットを持っていたら、先生がかけてくれた沢山の檄を思い出して、強くなった自分を感じ、一瞬こみ上げそうでした。負けるかもしれないじゃない、絶対に取ってやる、この場面でそういうメンタルでいられるのは先生がいてくれたから。勝った瞬間、溢れたのは感謝でした。共に過ごしてくれた仲間に、勝ちをもたらしてくれたチームワークにありがとう。
「私が家庭教師をしている生徒が、○○先生にお世話になったと話してくれたんだけど、Sの中学に今いる?」「テニス部の顧問の先生だよ。保健室の先生でもあるの。」「元々不登校だったんだけど、その先生のおかげで学校へ行けるようになったんだって。」「そうなんだ。テニス部では超怖いけど、すごくいい先生だよ。」そう話すと、姉は納得してくれました。先生は、どんな言葉をかけたのだろう。ずっと考えていて。あなたのペースでいいよ、でも良かったら保健室に顔だけ出して、苦しくなったらそばにいるよ。先生は、どんな時も伴走しようとしていたのではないか、そう思いました。テニスコートの端で座り込んで語り合った先生との時間、扉のない心の距離で肩を抱かれたそのひとときを、これから先もそっとしまっておこう。