本音を話すこと

ここ最近、ぼーっとしてしまい、歩いていても自分の感覚がおかしくなってしまったのか、色んな所に体をぶつけることもしばしば。この間は、リビングの壁に肩を思いっきりぶつけてしまい、痛がっていると、息子がまさかのひと言。「だっさ!」ださくて結構じゃ!!学校でその言葉が流行っているとはいえ、そこは大丈夫?って聞きましょうよと思いながら、二人でゲラゲラ笑ってしまいました。相変わらずおめでたいな。

そして、広報委員の活動の一環として、市内の小中学校の広報委員を集めて行われる説明会の為、委員長と二人で市役所の会議室に行ってきました。各学校から二名までだったので、そんなに沢山の人達ではなかったのですが、みんなが揃っている中で、待っても待っても委員長がこない。段々寂しくなってくると、後ろから「遅れてごめんなさい!」という慌てふためいた彼女が登場。柔らかい雰囲気がそのままで、この人の為に頑張りたいなと思いました。朝から天気が悪い日、それでも気持ちよく向かわせてくれたのは、会いたいと思わせてくれる人がいるから。一緒にいると居心地がいい、理屈じゃなくて体中からふわっと包まれるような感覚。そして、講師の方を招き始まった広報誌の作り方の説明。学びが多く、とても新鮮で、時に委員長と目を合わせて笑い、とても有意義な時間が流れました。終了し、隣の席から声をかけてくれたのは中学校のお母さんでした。その方は、息子が通う小学校の本部役員もやって頂いていた方で、三人で軽く談笑。「この間、肩書がついている方の写真が必要で、一人のお母さんにお願いしたら、わざわざ校舎の外まで行き、自撮りしてくれたんだけど、逆に小じわが目立っちゃった!って話してくれて。」と学校以外の場所で、小さな輪ができ、そこで笑いが起きるっていいなと思いました。こんな時代だからこそ、なかなか会えないからこそ、重なった時を大切にしたい。そんなことを思いながら、お互いを労いお別れ。いい時間だったな。

その翌日は、また漢方内科の主治医の所へ行ってきました。左の下腹部の痛みが悪化している話をすると、おそらく癒着が原因だろうということ。「あれだけ大きな卵巣を摘出したんだよ。他の臓器が癒着を起こしていても全然おかしくないんだ。今飲んでもらっている漢方で、悪化はしていないと思うから、もう少し様子を見よう。ただね、気になる痛みは10年ぐらい続くかもしれない。」「本当にいやな痛みがあるんです。薬の副作用で口内炎が沢山できるし、本気で滅入ります。でも上手に付き合っていくしかないですね。」と凹んでいると、色々な角度から慰めてくれました。「外科的にやれることはやった、でも痛みは残る、そのケアを漢方治療でやっていけたらと思っているよ。」なんだか沁みるなと思いながら、またベッドの上で触診が始まりました。私が痛がると伝えてくれて。「これね、間違いなく腸だよ。とにかく腸閉塞などにならないように、今の漢方を頑張って飲み続けてね。」卵巣摘出したと思ったら、腸の癒着?!右は再発しないように薬物療法で、左は腸が痛くて、色々泣きたいけど、結局頑張るのは自分なんだよねって今回は低空飛行で先生とお別れしました。次回会う時はもっと元気で会いたいな、そんなことを思いながら。

そのような日常の中で、気持ちも体もなんとなく上がらないまま、それでもシェアオフィスに行きました。ランチに出ようとした1階のフロアで、ミルキーのKさんに会い、どうしても彼に伝えたくて周りに誰もいなかったので思い切って踏み込んでみました。「私、奥様が亡くなられたことがやっぱりショックで・・・。」そう言うと、涙を溜めて微笑み、彼の胸の内をさらけ出してくれました。元気だったのに容体が急変したこと、その後の愛溢れるかけがえのない二人の時間に、聞いている私まで泣きそうになりました。沢山の悲しみ、苦悩、痛み、葛藤、父親としての無力さ。「変わってあげたかったな。」と言葉にした時、彼の目から涙がこぼれ、それでも、弱さを出してくれてほっとしました。男だから、大人だから、親だから。沢山の立場の中で、自分の気持ちを押し込めざるを得なかった時、いっぱいあったんじゃないかなと。「聞いてくれてありがとうございました。久しぶりに泣いちゃった。あなたも手術したって聞いたから、本当に体には気を付けてくださいね。」「ありがとうございます。私はKさんのことを心配していますよ。大丈夫って言われても心配しています。いつでも、声をかけてくださいね。」そう言って、最後は笑ってその場を離れました。

歩きながら、思い出してみる。彼が、シェアオフィスに初めて来て、私にミルキーをくれたのは、奥様が亡くなられて、まだ三か月程後のことでした。いつも明るく、誰にでも気さくに話しかけ、それでも心の中では悲しみでいっぱいだったのだろうなと。「一人で塞ぎ込んでばかりではいけないと思って、ここで仕事をしようって思ったんです。死別って本当に辛いですね。」残された人の想い、命の尊さ、そして、その気持ちを胸にどう生きていくのか。彼が私に届けようとしてくれたものの大きさに、溢れそうでした。
自分の特性である繊細さ。それにより、季節の変化にも対応しづらく頭痛持ちは年中無休。そんな自分に誇れるものがあるとしたら、もしかしたら共感力なのかも。本人じゃないから、本当の辛さは分からない、そうなのだけど分かりたい、あなたの苦しみに一歩でも近づきたいと願う気持ち。それが時に辛いこともあるのだけど、少なくとも今日は彼の心を少しだけ溶かすことができたような気がして、泣いた後に笑ってくれた時、そばにいられて良かったなと思いました。出会うべくして出会った人、彼の痛みを忘れないでいようと思った優しい午後。自分の不調がちっぽけに思えた日。