本当の愛

もくもくの入道雲を見ながら思いました。課題山積なのに、心がほっこりするなと。理由はきっと沢山の人達が、本気で応援し、私が崩れそうな時ここにいるよと待ってくれているから。ふかふかのマットがどこもかしこもあったら、勇気を出して飛べる。今の生活のエピローグはどんなことになるだろう。

引っ越し業者さんが決まり、メールでお願いしますと連絡をすると、翌日電話をかけてきてくれた明るい業者さん。廃棄物などの確認を改めてした後、伝えてくれました。「昨日より元気そうですね!お会いした時明らかに空元気だったんです。笑ってはいても泣いてしまいそうな印象を受けて心配していました。僕の話をしていいですか?家族が出て行って5年経って、昨日は笑っていたけど一人になると寂しくなることも沢山あります。子供達元気かなって忘れたことはありません。結果的に妻が出て行くことになって、男として幸せにしてあげられなかったのは僕の責任だなって思いました。」その言葉を聞いたらはち切れてしまって、ポロポロ泣けてきてしまい大変でした。こんな器の温かい人もいるんだな。「そんなことなかなか言えないですよ。本当に優しくて・・・。」そう言って言葉に詰まると笑いながら続けてくれました。「Sさん、あなたが沢山我慢してきたの分かりますよ。だから、よく耐えたねじゃなくて、よく頑張ったねって言わせてください。営業のMさんからも電話がかかってきて、くれぐれもよろしく頼むって。彼ね、ちょっと変わっているけど本当にいい人です。あなたは色々こちらのことも気遣ってくれるけど、今は周りに甘える時ですよ。僕も彼も、他人事じゃなくて本当に応援しているから、なんでもいいから連絡してください。やれることに限りはあるかもしれないけど、それでもできるだけ力になりたいと思っていますよ。」あたたかい言葉のシャワーが、自分の心に降り注ぐ。ひび割れそうだった固い土に沢山の人が注いでくれる愛は、私の恵みの雨となりました。春には桜咲くよ、必ず咲いてみせる。

少し前に姉に会った時伝えてくれた言葉が、なんでもない瞬間に再生されました。「Sちんはいつも経験から学ぼうとする。辛い経験で色んなことを感じて、それがまたSちんの優しさになっていくのだけど、もう十分だ!もうね、みんなそう思っているよ。これ以上経験を積まなくていいから、R君とのほほんとしていてほしいよ。」どこまでもネネちゃんらしい労いに嬉しくなりました。もう十分だ!の後のビックリマークは一個で足りたかな。わざわざ大変だと分かっている道を選びに行っていたのかな、どうなんだろう。そこに進みたかったから歩いた、きっとそれだけのこと。この人ならと思える瞬間があって、手を取り合ったその気持ちを大切にしたかった、そう思わせてくれた彼にはやっぱりありがとうなんだ。

母が引っ越しのことを心配してくれたので伝えました。「その週末にビジネスパートナーのMさんも手伝いに来てくれるかも。」「そんなにしてもらっていいの?家族でもないのに。」「お兄ちゃんみたいな存在でもあるの。そういえば、お母さんも一度だけ会っているよ。」「え?いつ?」「前に演奏会へ一緒に行ったでしょ。終わった後挨拶しに来てくれたのがMさん。ティンパニ奏者だったの。」「あ~!あのMさん?!」ってどのMさんよ。「私、その時きちんとメイクしていたかしら?!」とよく分からない心配が始まって一緒に笑ってしまいました。人と人って意外なところで繋がって、小さな輪がちょっとずつ、本当にちょっとずつ広がったりもしてね。そんな仕事を一緒にさせてもらっている最良の仕事仲間なんだ。そんなことを思っていたら、頭を掠めたマブダチK君。この状況を話したら、「だったら、俺がパチンコで稼いでやる!!」とかまた訳の分からないことを言われそうだなと吹き出しそうになって。まだ学生の頃、彼の家に遊びに行き、椅子に座って話していたら、机の引き出しに入っているタバコを取ってと言われたことがありました。開けてみると、無造作に入った万札を数枚発見。「ちょっと~。なんでこんなところに一万円札が入っているの?しかもかなり適当だし。」「パチンコ通いなのが親にバレるだろ。だから勝った時はそこに入れているんだよ。今、お前タバコ取っただろ。俺が吸っていることを知っているからお前も共犯だ。」「なんだそれ!今度おばさんに言っちゃおう~。」と冗談を言って二人でわいわい。無造作に入っていた万札は、K君が本当にパチンコで勝っていた証明。それは、沢山の人に優しさを届け、彼の元に返ってきていた証明でもありました。そんなK君が確信を持って言ってくれていた言葉があって。「どの地域に行っても、どんなことがあっても、お前の周りには人がいる。火の中に突っ込んでいくようなヤツだから本気で心配はしているんだけど、それ以上にSは大丈夫だっていう気持ちにもなるんだよ。お前が意地を張って一人でいいって言っても、周りがそうはさせないから。コイツ、苦労は多いけど幸せなヤツだなって思う時があってさ。自分に余裕がない時って、みんな自分が優先だと思うんだよ。それが自然なことなのに、そういうの関係なく、お前のことを助けたいって思うような人間なんだと思う。どうしてか分かるか?Sがそうだからだよ。全然違うところから、返ってくるかもしれないな。」返ってきたよ、K君。とんでもなく大きな球が、熱量と夢と希望ともっと沢山のものを包括して。だから、愛を届けることをやめないでいる。