この前は、正門でスケボーパパに遭遇し、場所が悪かったこともあり、なぜか緊張してしまい、うまく会話が成り立たずにお別れ。そして、今朝は歩道で会ったのでほっとして、ずっと聞いてみたかった質問を投げかけてみました。「Why are you always riding a skateboard?(どうしていつもスケボーに乗っているの?)」そうしたら、「だいすき!」と日本語で返してくれて笑ってしまいました。スケボーも大好きだけど、“大好き”という日本語も大好きなんだね。
そして、英語で楽しそうに伝えてくれました。「子供の頃から20年も乗っているよ。君が自転車を乗るのと同じように、僕にとっては大切な乗り物で、生活の一部なんだ。」私のリスニング能力はかなり怪しいのですが、大体そんなニュアンスのことを言っていて、一緒に笑ってしまいました。小さい時からスケボーに乗る少年が日本に来て、子供の幼稚園にまで変わらずスケボーを持って送り届けるお父さんに。なんだかいいな。国が変わっても、やりたいことを止めない。なぜならそれは、彼の一部だから。大切な相棒はいつもそばに。傷だらけのスケボーが彼の年輪のようで、朝からぐっときました。そして、すれ違う園児のお母さんに自分から「おはようございます」と言っている姿が、彼の明るさを際立たせてくれる。
「実は、ずっと前から、あなたと娘さんにとても興味があった。」と話すと、笑って納得してくれました。
ようやく聞けた「なんでスケボーなの?」という質問。これで、卒園できそうです。
大学在学中、教職課程の中で、教育相談を学ぶ授業があった時のこと。一つの講義室に教員を目指す学生が集まるので、様々な学部の方達がいて、その時間はわざと仲のいい友達と席が近くならないように配置されました。席が隣になった学生さんとペアになり、一人はなんでもいいから自分の趣味の話であったり、簡単な自己紹介をすること。もう一人は、微笑みながら、相槌をうちながら、話の腰を折らないように耳を傾け、一番聞きたかった質問を最後に一度だけしてもいいという授業でした。
私とペアになってくれたのは、たしか経営学部の男子学生さん。もうそれだけで質問攻めにしたかったのですが、ぐっと堪えて彼の話を聞き、最後にどうしても聞きたいことを聞いたら優しく答えてくれて、その時に距離が近くなったような気がしました。その人が一番何を伝えたいのか、自分は何を聞きたいのか、それについてどう答えてくれるのか。そして、相手が話しやすいように、質問は後へ。話し役と聞き役。役割がはっきりしていると、自分が今までできていなかったことが明確になってくるようで、一人でこっそり反省。
その学生さんと何を話したのか全く覚えていないのに、その時間があまりにも穏やかで、お互い心地良かったことだけははっきり覚えています。一方的じゃなかった。相手のことを知ろうと願う気持ちは、双方向でした。どちらももっと質問したくてうずうずして、講義が終わって、沢山話した時間までも。
スケボーパパに、したい質問はまだまだ山のようにある。でも、何十年も時間が経ってふと思い出すのは、内容じゃなくて、あの時送り届けてほっとしたタイミングで彼らに会い、沢山笑い合ったという温度なのかも。
でもね、まだ大切な質問が残っている。「イチロー選手についてどう思う?」