受け取った成人式

今日は、気圧の低下でかなり朝から気分が悪く、気持ちを切り替えようとコメダに来ました。自転車を駐輪場に止めて、店内に入ろうとしたのですが、うまく鍵がかからず苦戦。お店が混みだしていることは分かっていたので、まずは名前を書き、店員さんに状況を説明し、もう一度外へ出ました。すっかり錆びついてしまった自転車は、カシャッと鍵がかからず、何度もやっていたらついに指が切れてしまい、流血。鍵はもう諦め、店内に入り、椅子に座って待っていると、店員さんが私の指に気づきバンドエイドを渡してくれました。店内はランチタイムで激混み。そんな中でもこちらの様子に気づいてくれて感激していると、隣で座っていた50代の女性の方が、「貼りますよ。」と言ってくださり、驚きながらもお礼を言い、すっかり甘えてしまいました。

沁みますね。そして、皆さんとてもさりげない。鍵がかからず血が出た時は帰ろうかと思いました。でも、こんな優しさが待っていてくれました。この気持ちをやっぱり他で返していこう。そんなことを考えていたら、テーブル席を案内され、前から気になっていたラミネートの文字が。『“心にもっとくつろぎを”おとどけする。それが、私たちコメダのユメダ!』なんだかこんな日は堪らなく心に届きました。カフェの神髄だと思います。だから、私はこの雰囲気が好きなんでしょうね。

二十歳の成人式は、父が実家を出て三人暮らしを始めた後でした。父の車が連日ないので、近所にも噂は広がり、祖父も母も私も肩身の狭い思いをしました。弱っていた母も、どんなことがあっても成人式はきちんとやると言い切り、高い振袖をレンタルしてくれました。「お母さん、ずっとこの日の為に貯めてきたから、あなたは心配しなくていいの。」虚勢を張っていることは分かっていても、ここは娘として、娘らしく振舞うことが何よりの親孝行な気がして、素直に甘えることに。写真屋さんで事前にメイクも着付けもやってもらい、成人式当日は、母の馴染みの美容室で着付け。その様子をとても誇らしげに見ていた母。いつもよりとても逞しく見えました。

会場に着き、久しぶりに中学生の仲間に会い、随分自分が老けてしまったことを痛感。華やかさよりも、落ち着きを身に付けてしまっていたことを、少しだけ情けなく思いました。毎日のことって気づかない。自分を客観的に見ることを忘れていた。
なんとなく皆と写真を撮り、迎えに来てくれた母にお礼を言い、その後は二人で、コメダでランチをすることに。なんだかよく分からないのですが、ほっとしました。そこが私の勉強場所であることは、家族は知りません。だから、そっと和んだことは気づかれなかったのですが、本当に嬉しかった。着付けが苦しく、サンドイッチがなかなか入っていかなかったけど、かさついていた心が少しだけ解れた瞬間が、確かにありました。

それから、バイトをしている日本料理店へ。いつも着ている緑の着物とは違い、真っ赤な振袖。その姿を見て、スタッフの皆が歓迎してくれました。ここにも大切な家族がいた。ほろ苦いはずの成人式が、華やいだものになっていってくれたのは、母をはじめ、周りに人がいてくれたから。
大人になった成人式は父不在。でも、胸を張って生きていくことを教えてくれた一日でした。

“心にもっとくつろぎを”そんな想いを伝えてくれるこのカフェで、大切なことを思い出す今がある。
バンドエイド外すの、止めようかな。夜まで余韻に浸ることにしよう。