手紙の行方

少し前、お遊戯会の記事をプリントアウトして、息子にY先生に渡してねと伝えました。「これなに?」と聞かれたので、「大事な手紙だからよろしくね。」とお願いして下駄箱でお別れ。その日は延長保育だったので、違う先生が引き渡してくださり、息子のリュックを見てみると、封筒が入ったままでした。「あれ、渡してくれなかったの?」と聞くと、「だって、大事なお手紙だったから。」という意味不明な返事。まあいいや、小さな郵便配達人は役に立たなかったことが分かったので、廊下を歩いていた主任の先生に事情を話し、笑いながら受け取ってもらいました。そして、うちの息子に「ありがとう」という言葉も添えてくれて。ミッション失敗でも、届けようとした気持ちを大切にしてくれた先生、今日も素敵です。

翌日、お迎えの時にY先生の元へ届いていたことが判明。「お遊戯会の記事を書いてくれたんですね!ありがとうございます!!」だから先生、声でかいですってば。記事の存在を周りのお母さん達に気づかれないよう考えた一連の行動も、歴代の先生達は嬉しさが勝ってくれて、すっ飛んでいるよう。本当は私も嬉しかったりして。とにかく、宅配完了です。

ある日、園庭で園児皆が遊んでいたら、年中の時のH先生が声をかけてくれて、「今日先生の誕生日だからお手紙を書いてきて~。」と言われたんだと嬉しそうに帰ってきました。お気に入りのミッキーのレターセットを取り出し、『あいうえお』の表を見ながら一生懸命書いてご満悦。隣にいた私に一度も助けを求めませんでした。その手紙をリュックに入れ、今度また園庭で会った時に渡すとわくわくしている様子。翌日のお迎えでどうだったか聞いてみたら、「H先生に会えなかったんだよ~。」と本気でがっかりして帰ってきました。「朝、廊下で渡したらいいのに。そのうちぐしゃぐしゃになっちゃうよ。」と伝えても、周りの男の子達に見られるのが嫌なよう。卒園までに渡せるのかなと私まで気が気ではありませんでした。

1週間が経ち、息子をお迎えに行った後、園庭で声をかけてくれたのは満面の笑みのH先生。「届いたんです~。」と本当に嬉しそうに見せてくれて、私も同じように嬉しくなりました。「実は、Y先生から、○○君が文字の練習で苦戦していることを聞き、お手紙を書いてきてねとお願いしたんです。」あ~、そういうことだったのね。でも、なんとなくそんな予感がしていたよ。先生はそういう人。そして、「3匹の中の1匹がどうしても分からなかったので、答え合わせにきました!」と先生。息子が恥ずかしがって答えないので、「ゴマちゃんです。左がくまで、右がホワイトタイガー、そして一番右にいるのがH先生。」と解説をすると、本当に喜んでくれました。「私、今日一日嬉しくて、ずっとポケットに入れていたんです!」息子と私はそんな先生の気持ちが嬉しいよ。こちらも、無事に宅配完了。先生二人のファインプレーと共にね。

大学図書館で働いていた頃、返却された本の中に、封筒に入った手紙を発見したことがありました。男子学生さんは既に帰ってしまい、先輩に事情を話し、とりあえずカウンターにある忘れ物ボックスへ。中身を見る訳にもいかず、そのまま1週間が経過したので、学生課へ他の忘れ物と共に届けました。本が返却される時、司書がパラパラとめくったりするのは、落書きがないか、何か挟まっていないかなどを確認する為でもあります。落書きは返却した方を疑うのではなく、気付かずそのままになってしまうことのないように、消しゴムで消せるものはカウンターで時間を見つけて消しています。そのパラパラめくる確認を、学生さんがいる間にできていたらと、少し後悔しました。あの手紙、どうなっただろう。
もしかして、私へのラブレターだった?それはないない。