弾ける笑顔

3学期に入ってすぐに、英語と国語のテストがあるということで、また戦闘態勢に入りました。が、息子はどこ吹く風。相変わらず他人事のようで、いつものようにバトルが待っていました。年末、考え抜いた末、私が教員免許を持っていることを伝えることに。それがプレッシャーになってはいけないと思い黙っていたものの、逆にこちらの言葉に説得力を感じてくれたらいいなという期待を込めて。さあどう出るかと話した時のリアクションを伺うと、そこまで驚いていないことにこちらの方が驚きました。さてはすでに誰かから聞いていたか?あるいは、彼自身が敏感に何かを受け取っていたか?それは読めなかった中、一つだけ心の声が聞こえてきました。「だったらどうしてママは、学校で働かないの?図書館で働いていたなら、図書館にも戻ればいいのに。」いつもパソコンに向かって何やらカタカタやっているので、いろんなことが謎のよう。人が好きなんだよ、それは私の中でとてもシンプルなこと。そのフィールドに変化があっただけ、自分が成し遂げたいこと、いつか息子に届くだろうか。

母と久しぶりに面と向かい話したことで、忘れていた大事な記憶が鮮明に蘇ってきました。それは、名古屋の祖父が他界し、まだ生後間もない息子を連れて帰省した時のこと。悲しみと連日の睡眠不足と情緒不安定の母のこと、本当にもう自分を保つことで精一杯の中、沢山の親戚の方とお会いし、しっかりしなければと背筋を伸ばしました。そんな時、佐賀の祖父母が駆けつけてくれることが分かり、小さく胸が痛んで。最後に会ったのは大学4年、祖母に責められ、おばあちゃんにお別れを伝えても目を合わせてくれなかった日のことがずっと胸に残っていました。いろんな気持ちの中、祖父母が到着し、挨拶と共に色々と説明をしていると、祖母が私を呼び止め聞いてくれて。「Sちゃん、米粒あんね?」は?「いやあ、お通夜もあるしご飯は炊いていないんだよ。どうして?」「○○(札幌の叔父)から、香典を立て替えておいてって言われたばってん、貼り付けたかよ。」「ああ、だったらのりがあるよ!」と思わず笑ってしまうと、つられるように祖母も一緒に笑ってくれました。わだかまりがあったのは私だけで、やっぱりこんなひとときが凍り付いてしまいそうだった時を解してくれるんだね、そう思った穏やかな時間でした。お米一粒の会話が、祖母と私をまた繋げてくれて。そして、祖父が大事に育ててきた田んぼのお米は、今は他の方が引き継ぎ育ててくれているらしい。母が現状を教えてくれた時、いろんな時が駆け抜け、優しい気持ちになりました。人の歴史って深く、そのストーリーにやっぱり胸が詰まるなと。祖父母のお米、毎年沢山の日を浴び、水を吸って、農家さんの愛情を受け、育ち、時を生きるんだな。私はもしかしたら、行間をもっと知ってもらう為にも、ここにいるのかもしれない。

今年の成人式、何気なく自転車で買い物に出ると、その帰り道に振袖やスーツを着て保護者の方と帰る人達を何人も見かけました。息子はあと7年かと思ってみたり、そして自分の時のことが過って。二十歳の時は、我が家が一番どろどろだった頃、正直思い出したくもない時期で、それでも毎年成人式はやってきて、その度に自分の痛みが少しでも小さくなればいいなと思っていました。今回、両親に会い、改めて思ったことがあって。母の味方でもなく、父の味方でもなく、二人の味方であるということ、そのことに彼らが気づくかは本人達次第で、投げかけたものに対してこちらがやきもきするのはもう違うのだと。オーストラリアに短期留学した時、ホストママが二人でいる時間に話してくれました。自分達はフィリピンからの移民で船に乗ってオーストラリアに来たと。語学力が全然大したことのない私に、心を込めて話してくれるママの内容に涙が溢れそうでした。故郷を捨てて、成功するかも分からないオーストラリアへ。子供を連れて、どれだけの覚悟だっただろうと。話してくれる内容に情景が浮かび、荒れる海と、そしてその後にやってきたのは穏やかな波でした。その話を聞き、自分がこれまでしてきた苦労がちっぽけに思えて。本当の覚悟とはこういうことを言うのかなと本気で考えさせられました。最終日に連れて行ってくれたのは、アジア系の移民の方達が助け合ってきたショッピングモールでした。ママと二人で歩いていると、顔なじみの方達が何人も挨拶してくれて。「私達はこうやって支え合ってきたの。」そう笑って伝えてくれたママの表情は感謝で溢れ、挫けそうな私を何度も励まし続けてくれました。心は時を越えて通い続ける、相手を想うからこそ。その尊さをこれからも大事にしていきたいと思っています。

息子の英語のノートを見ると、前回見た時よりも珍文章が減っていて、苦戦しながらも前に進んでいることが分かりました。文法はまだまだ曖昧だし、和訳もかなり怪しいのに、リスニングを一緒にやってみるとあっさり理解し二人で笑ってしまって。何か一か所が突き抜けていたりするのかな、そのことに気づき、伸ばすのが私の役目でもあるのなら、もう少しこの時間を楽しもうか。Comfortable、響きも心地よいという意味も好きなこの単語が増える毎日を、探し続けることにする。