個性を大切に

通院や体の痛みでなかなか行けていなかったシェアオフィス。久しぶりに顔を出すと、受付でラガーマンのTさんが話しかけてくれて、いつものようにワイワイ盛り上がっていました。すると、そこを通過したのは、ミルキーをくれた男性。前回お会いした時にはギターを背負っていて、本気で驚きました。色々な個性の方がいるんだなとその後ろ姿を見て嬉しくなって。そして今日、私の顔を見ると挨拶をされ、「お久しぶりです~。最近見かけないからどうしているのかなって思っていたんですよ。」と随分フレンドリーに言われて笑ってしまいました。そんなに仲良かったっけ?と思いつつ、最近停滞気味だった気持ちを吹き飛ばしてくれるかのような気遣いに感動。「僕ね、甘いものが好きで、ミルキーでは物足りない時は、練乳を直のみしているんです。」「・・・、えっ?!冗談ですよね?」「いやいや本当ですって。」そんな話で盛り上がっていると、Tさんまでもが混ざってきて。「僕も前飲んでいましたよ!」何この会話??マヨラーなら知っているんだけど練乳の会でも結成しているのか?と笑い転げてしまいました。「私もスイーツ好きですけど、そこまで練乳好きな男性に初めてお会いしました。」と率直な感想を述べると、「あなたのデスクの上にお菓子のボックスがあるの知っていますよ!」そんなチェックまでされていたんですか?と慌ててしまった訳で。いつも一日中はいないんですね~とまで言われてしまい、入院で当分来られなかった場合、皆さんが密かに心配してくださるかもしれないなと感激の時間でした。

そう言えば、大学図書館にいた頃、先輩が緊急入院することになり、優しい女性の上司が、こちらのことは全く心配しなくてもいいから、最低限の休みではなく、退院後も目一杯休んでから来てねと電話で伝えていて、その優しさに胸が熱くなりました。そして、その間に私が引き継げる仕事もあるかもしれないと思い、電話を替わりました。「○○さん、いつも頑張っているんだから、たまにはのんびりしてくださいね。ILL(Inter Library Loan 相互貸借)の業務は教わったので、受ける側はお任せください。いつも助けてもらってばかりだから、たまには安心してもらいたいです。」そんな言葉をかけると、電話の向こうで涙ぐみ言葉を詰まらせてくれているのが分かりました。普段は強気な先輩も、手術前に弱気になり、優しさが沁みてくれたんだろうなと。色んな役割があるけど、図書館職員としての先輩はお休み、そう思ってもらえるかどうかはこちらの気持ちを込めた伝え方もあるわけで、それをそっと受け取ってくれた温かさに包まれた双方のやりとりでした。無事に終わりますように。

その後、先輩を頼りにしている何人かの教授が質問に来たのですが、戻りづらくならないように、上司と本気で隠しました。「行き先は分からないんですけど、旅行に行っているみたいで。」ということにして。そして、復帰の日、体は元気になったものの気持ちはどこかで沈んだ先輩が来てくれて皆で歓迎しました。すると、沢山の励ましの中で涙を見せてくれて驚きました。仕事の質問には何でも答えてくれるし、頭の回転は速いし、姉にも少しキャラが似ている辛口の先輩。それでも、弱い所はあって、そんな姿を見て私も一緒に泣きたくなりました。表と裏なのではなく、表裏一体なのかなとも。両方の側面が先輩で、人間らしくてこの人好きだなって純粋に思いました。

3.11の後、まだ計画停電が続く中で、その先輩と可愛い女性の上司と、他の部署の上司の同期の方がご飯を食べに行くから私もどうかと誘ってくれて。母とオーストラリアからなかなか帰国できずに迷惑をかけてしまった後だったので、恐縮してしまうやら、でも断ったら余計に失礼な気がして、同行させていただく事にしました。普通電車に乗って目的のお寿司屋さんに向かうはずが、なかなか来ない。こんな時だからね、ゆっくり待ちましょうという上司の言葉に頷くことが精一杯で。電車に乗っても、乗客の皆さんの雰囲気が沈んでいて、お店に着き、おかみさんが明るく挨拶をしてくれた時ようやくほっとできた気がしました。お酒もお料理も運ばれ、だんだん盛り上がっていき、4人で過ごすこんな時間が尊いものに思えてきて、こっそり笑い泣き。色んな事がこの先も降りかかってくるのだろうけど、何が大切なのか、見落とさないでいたいなって思いました。「○○さん(女性上司)が、あの中にあれがあるからあれ持ってきて。」とか言ってきても私さっぱり分からなんですよ、指示語ばっかりで。でも○○さん(先輩)は、ああこれですね。」とあっさり理解して持ってきたりするんです。なんかこの関係すごいなって事務室で見ていて笑えてきますよ~。」と私がみんなに伝えると、一緒に大笑いしてくれました。この人達ともうすぐお別れ、そう思いながら過ごす夜は、そりゃ感極まるよ。散々盛り上がった金曜日の夜、駅で別れて一人で電車に乗り込みました。箱の中には、乗客の方がとっても少なくて。

あれからもう10年か。大学図書館のカウンターで講師の方にものすごい勢いで理不尽なクレームを付けられたことがありました。凹みながら事務室に戻り、女性の上司に話すと慰めてくれて。「その先生ね、なかなか上に行けないから、そのいら立ちをたまたまあなたにぶつけてしまったのね。言いやすいのよ。いいことも悪いこともあなたはもらってしまう。大変だけど、その分嬉しいことも多いし、私達が慰めるから。」と笑ってくれました。自分の個性を、どんな時も丸く受け止めてくれた仲間。みんな違うから面白い、良さを引き出せるかどうかは自分と周りにいる人達の優しさなのだとしたら、ここに書いておかなければ。
あなたはあなたのままでいい。