自信になる

私が明け方見る夢は、大体現実的なことで、目が覚めてもよく覚えています。楽しい内容も、思ってもみないような自分の本心も。

久しぶりに母に会った時、去年姉から手紙が届き、『あなた達両親のせいで、大好きな家族のSとの関係が壊れてしまった』と書いてあったと話してくれました。色々と言い過ぎてしまったと思ったのか、入院前に祖父のお供え物を持って会いに来てくれたそう。直接の謝罪は無くても、行動で謝ろうとする。相変わらず姉らしい。

母からその話を聞いてから、朝方見る夢の中によく姉が出てくるように。もう、気にしていないからと自分から言っていたり、二人で笑っていたり、あの頃の日常がそこにはあって、起きてすぐに泣きたくなります。

まだ姉が実家にいた頃、ベッドの上で二人で話した時のこと。「私達は親があんなだから、人よりも沢山努力をしないと、同じところにはいられない。いつもマイナスからのスタートなんだよ。こんな環境の中にいても、立派に育ったねと言われるまで頑張ろう。Sは私よりも何倍も両親に頼られる分、劣等感があるし、仲のいいご家庭のところに嫁いでも沢山の気持ちが湧き出ると思う。それでも、そんなことを跳ねのけられるぐらい自分に自信が持てたらいいんだよ。私にはSがいる。それがとても強くさせてくれている。同じ親の元で育った。私達にしか、この辛さは分からないよ。結婚しても、子供ができても、ジャージをいつも自宅で着るような女性にはならないでいようね。」

その話をされたのは、多分中学生ぐらいの時。姉の苦しみが伝わってきました。同時に私の心配も。姉は出るチャンスを伺っている。だから、辛くなったらこの会話を思い出してほしい。そんな気持ちが痛い程胸に届きました。

全く似ていない。でも、出発点は同じで、最終目標も同じだと思っていました。要領のいい姉は、名古屋から飛行機で東京へ。そして寄り道が大好きな私は在来線で。最後は、スカイツリーの展望台で会おう。数年前にそんな話をしていたな。「私達は都内までは来られたんだよ。でも沢山の葛藤があって、なかなか行き着けない。惜しい所にはいるのだと思う。」そうだねと私。でも、本当は違った。私が目指していたのは、スカイツリーではなく、東京タワーの方。そのことに気付いた時、どう頑張っても姉とは交われないのだと現実を知りました。

それでも思う。それぞれの良さを持つ二つのタワーを尊重し合うことはできる。同じところには辿り着けないのかもしれないけど、別々の生き方を応援することはできる。存在を否定することなく、あなたも大切だと伝えられる。そんな日が、もしかしたら近くまで来ているのかもしれないなと思いました。
夢は、潜在的な願望も伝えてくれる。そんな心理学を少しだけ学んできた。

そして、東京都内の大学をぐっと堪えて断念した気持ちを、姉は誰よりも感じてくれています。
「そこの大学院を今すぐ受験しなさい。」大学じゃなくてさらに上。妹に最大限の自信を付けさせたかった姉の口癖。