ある週末、息子と二人でお出かけをし、スニーカーを買いに行きました。ボロボロになった靴をお店の方に廃棄してもらい、新しいものに変わって大喜び。息子のこんな笑顔で泣きたくなるのはなぜだろう。いい日にしようね。その後、メダルゲームをし、広場で遊び、インフルエンザの予防接種に行きました。「痛くない?」「一瞬で終わるよ。」「う~ん。」そんなやりとりを繰り返した後、先生の前へ。初めての先生の前で緊張している様子だったものの、本当にあっさり終わったので、本人も拍子抜けしていたら穏和な男の先生が言ってくれました。「泣かなくて強いな~。頑張ったね!」注射でこんな優しい言葉をかけてもらえるなんてね。強いって言われると強くあろうと思えるのかな。小さな積み重ねがいつかきっと大きな力に変わるんだ。
翌日の日曜日、なんとなく息子が夫の顔色を見てどこかでビクビクしているようにも感じられ、もうこんな生活をしていたらいけないと強く思いました。寝かしつけた後、ベッドに座り、心が凪いでいくのをじっと待ちました。ここで感情的になってはいけない、冷静に、本当に伝えたいことを息子の視点で伝えよう、そう決めてリビングへ。「ちょっと話したいことがあるんだけどいい?」そう言うと、テレビの音を小さくされたものの、消してほしいとお願いし、向かいました。「このまま一緒にいても、何度も同じことを繰り返してしまう。Rがあなたの顔色を見て生活してしまっているの。夏休みもきつく怒られて、あなたが仕事に行った後泣き叫んで大変だった。Rの心に沢山のナイフが刺さった。日常の中でそういったことがいつもあって、あなたの機嫌がいいと楽しく遊んでいるのだけど、強く怒られるとすごく凹んで、その落差が辛いんだと思う。言っている意味があまりよく分からないよね?分からないからこそ、同じことが繰り返されるし、私も妊娠中から我慢していたの。あなたはあなたの世界で生きているのだと思う。そこに当てはまらないものは、思い通りに行かなくて不機嫌になってしまい、それが私もRも辛かった。」「・・・。で、俺はどうしたらいいの?」「明日、私とRは家を出ようと思う。」長い沈黙があり、分かったと言われて話を終了しました。辛いな、とっても。綺麗に離れるなんて、そんな甘っちょろいものじゃないな。
翌朝、息子に「パパと離れる為に、今日はおばあちゃんの所に行こう。泊まるんだよ。少し離れた方がいいと思うんだ。」と伝えると、「行くのはいいけど、お泊りは寝れないからやだ~。」と言われてしまいました。息子の繊細さは自分が一番よく知っている、環境が変わったらなかなか寝られないよね、そう思い断念。いつものように送り出し、有給でまだ寝ていた夫の元へ。「今いいかな。本当なら私達が出て行くべきなのだけど、Rが、場所が変わると寝れないと言っていて、あなたに出て行ってもらえたら助かるよ。こちらの都合でごめんね。すぐに物件も見つからないだろうし、場所が決まってからでいいから。」そう伝えると、動揺しながら実家で話してくるよと言われ、会話は終了しました。自分を責めるなと言われても、どこかで自分を責めてしまいそうになって。私さえ我慢すればまだ何とかなるのではないか、Rを全力で守ればなんとかなるのではないか。そんな気持ちが頭を掠める度、これは3人にとっていい選択なのだと自分で強く思うように決めました。母は、私と距離を取ったことでようやく深く傷つけていたのだとぼんやりとわかってくれて。その間、自分自身と向き合ったと話してくれました。何がいけなかったのだろう、何をそんなに娘を傷つけてしまったのだろう。その反省を活かし、精神的に自立しようと一人でも楽しめるように真っ暗だった殻の中から抜け出し、自分の足で歩き始めてくれていました。久しぶりに会った母の顔に悲壮感はなく、どこかですっきりしているようにも見えて。実家を出ようとした20代半ば、「あなたがいないと生きていけない。」と両腕を掴まれた時の痛みは、私の中で薄れ始めているのだと思えた瞬間でした。最近になり、どんなことを言われていたかを改めて伝えることに。「お母さんからとんでもない言葉を言われていたんだよ。こんな酷い娘、産むんじゃなかったとか。」「・・・え?それお母さんが言ったの?」「そう。」「本当にごめんなさい。」そう言って真正面で目を合わせながら頭を下げられた時、本当に覚えていなかったのだと、そして同時に、目の前で本気で反省している母をこれ以上責めたらいけないと思いました。心からの和解とはきっとこういうこと。お母さん、あなたの娘で良かったよ。心の中でそっと呟いたある日の午後。
離れることがいい方向へ導いてくれることを、経験として学びました。だから、今回もそう信じて情に流されることなく、正しいと思った方へ進もうと思います。朝、夫の出勤前に伝えました。「近くに住んでくれたら、病気をした時などに駆けつけられるから。通勤のストレスを減らすために職場の近くに住むならそれでいいけど、私はそういった気持ちでいるよ。」そう言うと、夜にもう一度話せないかと言われました。夫は指輪を付けて出勤、そして私も指輪を付けてこの記事を書いていて。愛に終わりはないからリングは丸いのだと結婚式の牧師さんが説明してくれました。「病める時も健やかなる時も・・・。」病んだ時に心のそばにいてくれなかった夫。それは私の中であまりにも大きな出来事でした。それでも、彼のいい所をたくさん知っていて、だからこそこれ以上引いてしまわない為にも、物理的な距離が必要なのだと痛感しました。言葉にしたよ、だからきっと大丈夫。次のステージへ行くよ、離れていても家族だから。その想いが夫の心の一番真ん中に届くといいな。
メリークリスマス!それどころじゃないけど、心から笑える日まで諦めない。サンタさんに安心のプレゼントをもらうんだ。ありのままの自分を好きでいるために。