9月11日は同時多発テロがあった日。この日は毎年複雑な気持ちになり、何事もなく息子を寝かしつけようとすると、「ママにお誕生日プレゼント!」と言って渡してくれました。「ボクが寝てから見てね!」となんだか嬉しそう。「ありがとう!三日も前にもらえて感激だよ~。」そう伝え、ハグをすると満面の笑みで喜んでくれました。日曜日にこっそり用意して、早く渡したいと思ってくれたんだろうなと。そして、寝かせた後、袋を見てみると、お手紙と絵と、かたたたきけんと、おてつだいけんと、りょうりおてつだいけんが沢山出てきて、大泣きしてしまいました。毎年、パパと二人でこっそり買いに行ってくれていた焼き菓子のプレゼント。今年はそれができないと分かった息子は頭をフル回転させ、自分にできることは何だろうと精一杯考えてくれたことが分かり、胸がいっぱいに。そして、私と息子が仲良く並んだ可愛い絵の下にはお手紙が。『お母さん大好きだよ。いつもありがとう。ごはんとってもおいしいよ。夏休みの旅行楽しかったね。ありがとう。いつもべんきょうをおしえてくれてありがとう。いろいろとおもちゃを買ってくれてありがとう。いつもやさしくしてくれてありがとう。かぜにきょうつけてね。』感激していたのに最後の最後で笑わせてくれるな、“気をつけてね”だよ~。と思っていると、息子が登場。さてはこちらの様子を伺っていたな。「本当にありがとう!お母さん、めちゃくちゃ嬉しいよ。」「かたたたきけんは、ママの好きな時間ずっといいよっ。」「それではRが疲れちゃうからいいよ。週末お願いするね!」そう言ってわいわい。二人の時間が寂しさよりも優しさで膨らんでいく。
そして誕生日の当日、朝から睡眠不足で調子が悪く、息子には一人で学校へ行ってもらうことに。「帰りはお迎えに行くよ。朝はごめんね。夜はくみちゃんのお誕生日会もしようね。」そう言ってバイバイ。バルコニーから手を振ると、見えなくなるまで何度も振り返りずっと手を振る様子に微笑ましくなりました。その後、ほっとしてまだ点いていた朝の番組をふと見てみると、そこには引退会見をする阪神の糸井選手の姿が。それを見て、わっと色々な気持ちが駆け巡りました。まだ息子が1歳の時、意地で取ろうと思った司書教諭の資格。まだまだ手がかかる中で、深夜にようやくパソコンの前に座れた時には、すっかり疲れていました。役に立つかも分からない資格を取る為に勉強して、何をやっているんだろう、そんなことを思いながら受講していた大学のホームページを開けると、たまたま見つけた母校への応援メッセージが。糸井選手がオリックスのユニフォームを着て、練習場からカメラに向かって伝えてくれました。「通信教育部の学生さん達、頑張ってください!」笑顔は清々しく、私この選手知ってる!と思ったら、とんでもなくエネルギーをもらえたようで、深夜に一人涙が一滴こぼれました。最後まで諦めなかったのは、糸井選手のエールもあったからこそ。大好きな野球がこんな形で自分を励まし続けてくれていたのだと思うと、糸井選手の引退会見にありがとうの気持ちが押し寄せてきました。野球の力ってすごいな。
そんな感慨にふけりながら仮眠を取り、慌てて通院している漢方内科の主治医の元へ。急いでいたのでストールを忘れてしまったものの、いつも穏和な先生に最近の不調を全部話すと、うーんと唸りながら頭のスーパーコンピュータを働かせてくれました。「あなたの体、繊細だからな。ホルモン剤による更年期症状を抑える強めの漢方だと副作用が出ることも分かった。でも、その辛さ何とかしたいよね。同じような生薬が入っているけど副作用が少ない漢方を出してみるから、これで様子を見よう。」この先生は、どんな状態にあっても浮き輪を投げてくれる人なんだな、絶対に沈ませない、浮き輪を掴んで泳ぎ切ってくれたら、岸に着けることもあるから。とことん付き合うから一緒に頑張ろう、そんな気持ちが伝わり、感無量でした。その後も、急いで会計を済ませ、バタバタと電車に乗り、プログラマーMさんと待ち合わせ。新規開拓をした星乃珈琲で、先程先生に出してもらった漢方を飲むと、ふっと心が軽くなったことを感じ驚きました。先生に拝みたくなった、バースデーミラクルでした。そして、久しぶりにゆっくりお祝いランチをさせてもらいながら、ミーティング。色々な角度から話をして、いい時間の流れを感じました。それでも、あっという間にお別れし、山盛りの薬を自宅に置いてからお迎えに行こうと、駐輪場まで行くと、マンションの前には母の姿が。「お母さん!」「ああ、来ちゃってごめんね。Sが誰にも会いたくないって言っていたから、プレゼントだけドアに置いておいたのだけど、あなたの様子がちょっと心配で外から見ていたの。」この人と離れなかった理由がここにある。母の一番真ん中にあるものは愛。訳の分からない状態になるからどろどろで隠れてしまうけど、芯にあるものはそれなのだと改めて思いました。「ありがとう。今日、漢方内科に行っていたの。これからお迎えだから、中で待っていてね。」こんな言葉を伝えられるのは、先程飲んだ薬が自分を上げてくれているから。先生ありがとう。「いいの?会えないと思っていたのに、思いがけず会えて不思議ね。」そういうものだよ、お母さん。波が重なってくれたのかもしれない、そういうご縁を沢山経験して今があるから。
と、そんな思考を巡らせている時間もなく、猛スピードで待ち合わせの公園へ。すぐに息子が私を見つけ、嬉しそうに走ってきてくれました。「今日ね、おばあちゃんも来てるの。みんなでお誕生日会をしよう!」そう言うと喜び、小走りに帰宅し、ちゃちゃっと宿題を終わらせ、一緒に買い物へ。みんなで賑やかに過ごし、くみちゃんにもお手紙を渡し、息子がデザートを用意してくれて、あたたかい43歳の始まりでした。母も見送り、息子も寝かし、ようやく一人になると、小料理屋のママからもお祝いメッセージが入っていたので返信。そして、マブダチK君からも届きました。『S、お誕生日おめでとう。可愛いオバサンになるんだぞ~。自分の大切な人を守れる力と勇気と優しさがあれば十分。だからSの力になれることがあれば何でも言ってくださいな。俺はいつもSの存在に助けられているから。見た目はオッサンで精神年齢が18歳の同級生より』相変わらず、大きなヤツだな。助けられているのはいつも私の方。ネネちゃんからもバースデーカフェをしようと連絡があり、幸せな一日でした。
翌日、気持ちを上げようと音楽を聴きながらシェアオフィスに到着し、デスクでイヤホンを取ると、大音量でQUEENの曲が流れてしまい、大慌て。焦っている時ってなんでこんなにテンパってしまうんだと動揺しながら、数秒後にようやく消すことができ恥ずかしくなってしまいました。この年は面白いことが沢山待っているのかも。でも、QUEENじゃなくて、セリーヌディオンにしておけば良かった!!
その後、オリックスの能見投手も引退することが分かり、Mさんとプロ野球の話で盛り上がった時のことが蘇ってきました。「私ね、最近の阪神の選手は分からないんだけど、“にいみ”だけは知ってる!」「能見ね!」と半笑いで訂正され、二人で大笑い。そんなことを思い出していたら、一人の方のSNSを見つけました。福留、糸井、能見引退、そして矢野監督退任、阪神ファンとして泣けてくることを伝えてくれて、私も4人の方に沢山元気をもらっていたので、気持ちは同じだと思いました。中日ファンであり、プロ野球ファンであり、野球ファンだからなんだなとしみじみ思って。43歳、盗塁王を目指し続けることにしよう。チャンスをどんな時も逃さない。