願いが叶った

息子の宿題プリントに、相変わらず担任の先生が野球関連のことを書いてくれるので、今がチャンスと思い、質問を投げかけてみました。『先生はカープで誰が好きですか?』すると、喜んで返事が。『あらいかんとくです。でも大瀬良くんもすきです。Rくんママは・・・だれがおすきですか?』という顔文字付き。もしかして新井監督のファンなのでは?と今シーズンに入ってから思っていたので、ビンゴ!と勝手に盛り上がってしまいました。すると、隣にいた息子がひと言。「先生ね、新井監督が好きなんだって。学校で教えてくれたの。ボクも聞かれたんだよ。」「Rは誰が好きなの?」「村上でしょ、山田とオスナと中村と・・・う~ん。ヤクルトの選手みんな好きなんだよ。あとね、たっちゃん。侍JAPANの選手もみんな好き。」これは花丸の回答だな。誰がというより、そのチームそのものが好きなんだよね。ヤクルトのキッズ会員特典が届いた時、段ボールには、つば九郎が船に乗った絵が描かれていました。そして、『2896』が背番号のユニフォームの袖には、『SWALLOWS CREW』のワッペンが。「これはね、船員という意味があって、ヤクルトの一員になった証なの。だからつば九郎が船に乗っているんだよ。同じ仲間として、応援し続けよう。」そう話すと、息子の表情がパッと明るくなったことが分かりました。あなたも船に乗ったんだね。いつの日か、ヤクルトファンの彼女を連れてくるかもしれないな、そんなことを思ったWBC真っ只中の陽だまりの時間。そう言えば、岐阜の小学校にいた頃、クラスの男子に一人だけカープファンがいました。なぜ分かったかというと彼だけ、赤の『C』の帽子を被っていたから。男子の数人は中日と巨人の帽子を被っていたのに、彼はいつも赤のキャップを被り、その信念がなんかいいなと子供ながらに思っていました。どうしてファンなの?と聞いておけば良かったな。人生で初めて会った広島ファンの彼、大人になって広島市民球場に行けただろうか。アウェイではなく、ホームで沢山のファンの方達と触れ合ってくれたなら。

3月末、4年生の通知表を息子が持ち帰った終業式、帰宅してからなかなか出そうとしませんでした。「ママに怒られるから。」そう言ってもぞもぞ。そういうことで怒ったりしないから大丈夫よと宥めて、見せてもらうことに。そして、ようやく出してくれた通知表を見てみると、なんだか嬉しくなりました。「よく頑張ったね。Rがいつも正直にテストを見せてくれるから、大体の予想はついたよ。よく見てみて。苦手な音楽、三学期は先生が評価してくれたよ。音楽の先生に苦手意識を持ったのも分かった。でもね、頑張りを先生が見てくれて嬉しかったよ。ねえR、成績だけで人の価値が決まる訳じゃないと思うんだ。その過程の中で、努力をし続けるその姿をお母さん見てきたよ。結果が全てじゃない。ぶれない自分を持つこと、大切にしていってね。4年生もよく頑張りました~。」そう伝えると、呆気にとられたのか、ぽか~んとした顔をして立っているので笑ってしまいました。ママってどこかで変わっているけど、ボクが思っているよりももっと違う見方をしてくれるのかもしれない。なんか、この人といると心地いいな。そんな心の声まで聞こえてきました。親の離婚、それを学校で微塵も出そうとせず、いつものあなたでいたんだよ。内心は辛い気持ちもあったはず。でも、毅然といようとした、その強さは通知表では載らないような大きなことだって思う。3年生の担任の先生が言ってくれていたよ。「R君、全くそんな素振りを見せませんでした。だからお母さんから事情を聞いて驚いています。本当にいつも通りだったんです。」と。そんな先生は、自分のいい所を自分で書く欄に一つしか書かなかった息子の文字の周りに、沢山の長所をスペースがなくなる程書いてくれていました。先生ありがとうと大泣きした自分を今でも覚えています。そのままのあなたでいいと言ってくれること、それが自信を持って花を咲かせられる大切な養分なのかもしれません。

大学在学中、大好きな地理の授業は、サボれない完全指定席で、出席番号順に座席が決まり、毎回名前を呼ばれて返事をする時間が待っていました。私は運悪く最前列で、それでも後ろの方では代返をやっているなとたまに気づくので笑いを堪えるのが大変で。そんなある日、教授に名前を呼ばれたので返事をしようとすると、同じ名字の後ろの男子君が間違えて「はい!」と言うので、慌ててしまい、気配で間違えたことに気づいてくれて、自分の名前もすぐに返事をしてくれました。それを見ていた周りの友達も、彼もくすくす笑い、なかなかいい時間が流れて。そして、授業が終わると謝ってくれて、すっかり仲良しに。彼もまた教員免許を取る為に、教職課程を受講していました。そして、社会人になりランチをすることに。その時、彼が高校の教員になったこと、そして境遇を話してくれました。弟は障害があって、俺が面倒を見ていくと決めているから結婚はしないと。その意志の強さと優しさに、食べていたスパイシーなカレーも吹っ飛び、色々な気持ちが駆け巡りました。彼は、自分が背負っているものを受け入れ、もう決めているんだなと。それでもどこかで切なさのような感情が読み取れてしまい、そっと見守ろうと思いました。彼は今、どんな教員になっているだろう。人としての深さに、生徒達は救われているに違いない。大学4年間が、彼の人生を豊かにしてくれていたらいい、ふとそう思った。いつの日かまた、栄で同窓会をしよう。