とても自然な再会

秋晴れの日、少し用事があったので駅方面へ向かいました。すると、前から歩いてきたのは不動産関係のお仕事をされていたHさん。街で偶然会うのは、仲良しのKちゃんと彼が圧倒的に多い。とても自然な流れの中で、人と人は引き合っているのかもしれないなと思いました。笑顔で手を振ると、満面の笑みで振り返してくれてご挨拶。「お久しぶりですね!○○さんにお会いするの。体調の方、どうですか?」第一声がもう彼らしいんだな。あまり連絡がないのは、まだ体の辛い状態が続いているのではないか、そっと心配してくれていたことがその言葉で分かりました。「ありがとう。ちょっと元気です。今日、もしお時間があればランチでもどうですか?」といきなり誘ってみると、めちゃくちゃ喜び、その表情が嬉しくて。その後、彼の職場から近いカフェで待ち合わせ。心がゆっくりとした速度で動き出す、そんな1時間になると思いました。そして、異空間の世界へ。

先に席で待ち、Hさんがやってきたので、「お疲れ様です!」と言い合い、和やかなランチタイムが始まりました。サンドイッチを食べる私に、「食欲は戻ってきましたか?前に会った時、ちょっと痩せてしまったなと気になっていたんですよ。」とまた言ってくれて。自分が苦しかった時、ずっとそばで見守ってくれていた彼。いろんな気持ちがこみ上げました。初めて行ったシェアオフィスは、息子が1年生の時でした。屈託ない笑顔でいつも挨拶してくれたHさん。居心地よく過ごさせてくれる彼の存在に助けられていました。その後、コロナ禍になり、図書館もカフェも封鎖という異常事態に。休校になり、息詰まった息子は大泣きすることもしばしば。そんな中で、開けてくれていたシェアオフィス、母に息子を預け、パソコンを持って来られた時にようやく深呼吸ができたようでした。ガランとしたオフィス、今日は私だけかとぽつんと一人デスクに座ると、陽気にやってきたHさん。いつものように挨拶だけかと思いきや、思いっきり絡んでくれて、会話は弾み、久しぶりに笑えたようでした。すると、ちょっと心配そうにやってきた若い受付の女性スタッフさん。こちらの様子を伺い、その場を通過した後、Hさんが私から離れると、さりげなく伝えてくれて。「Hさんお酒入っているから!」と。私が困っていると思い、入れてくれた情報に笑ってしまったものの、その一件以来すっかり彼と仲良くなり、あの時の自分にとってとても大切なひとコマでした。その後、卵巣がんの疑いが出て、オフィスの誰にも言わずに入院へ。何かおかしいと感じたHさんがラガーマンのTさんに伝え、二人でこのサイトを見てこちらの状況を把握してくれました。手術は無事に終わり、久しぶりに顔を出すと、なんでもないふりをして、いつもの笑顔がそこにあり救われた時間。こちらが起こっていたことを話すと、胸を痛め、ホルモン治療を応援してくれました。それから、術後の辛さと合わない薬に悩まされ、食欲が落ちている時期に、このサイトを辞めなければならない事態に直面することに。自分の誕生日に凹みまくっている私を、ランチに誘ってくれました。その時食べた鳥しゃぶの味が忘れられなくて。全く食欲がなかったのだけど、元気づけようと目の前で笑う彼の気持ちになおさら胸がいっぱいでした。それから、別居の可能性の話をすると、なんとかなりますって!と未来を見せてくれて。物件探しにも力を貸してくれました。その後、こちらの新生活が少し落ち着いた頃、彼の職場が移転することに。さよならランチをしたのだけど、それはさよならではなく、これからも続く約束のランチでした。また会いましょうね、そんな気持ちが嬉しかった。それから数回、街で偶然会ったもののこちらに余裕がなく雑談で終了、そしてようやくランチが実現でき、ずっとそばで見届けてきてくれた彼との時間がスライドのように思い出され、泣きそうでした。

「○○さん、前よりも元気になりましたね!僕、話したいことが半年ぐらい溜まっているんでまたゆっくり聞いてくださいね。」そう伝えてくれた時、沢山の人達の顔が浮かび、同じような気持ちで再会を待っていてくれるのだと堪らない想いに包まれました。「僕、最初に絡んでしまった時のこと、本当に覚えていないんですよ~。」こちらは明確に覚えている!!でも、お酒に感謝。「Hさんいつも陽気だから、素だと思っていました~。」とこの話は二人の中で永遠に語り継がれる。「○○さん、お子さんが野球ファンになってくれて良かったですね!」なんだろうな、この言葉に深い優しさを感じました。バリバリの中日ファンになったのは、子供の頃に父にナゴヤ球場へ連れていかれたから。その野球少女の息子はバリバリのヤクルトファン。そのことをシェアオフィスでゲラゲラ笑ってくれた彼、いくつもの山を越え、その先で息子と神宮の外野席で本気の応援をしてきた話をすると、そこに私の幸せを見てくれたのか、一緒に喜んでくれました。それって、○○さんが掴んだものじゃないですか、忙しくなりますね、僕も頑張ります。この出会いにありがとう、人とのご縁は財産、本当にそう思う。そして、また笑ってお別れ。一生の友よ、今度も沢山笑おう。

彼との会話の中で、ふと前のマンションに住んでいたお隣の奥さんを思い出しました。子育てが始まり、まだまだ余裕がなかった頃、自分のメールアドレスを書いた手紙をベビーカーに挟んでおいてくれて。その気持ちが本当に嬉しかった。私もいつか先輩ママになった時、こんな風に返していきたいと。それから、自宅やカフェで育児の話を聞いてもらうことに。それでも、本当に苦しかった時、何も相談できず、引っ越すことを伝え、とても驚かれました。その後、1年程経ち、息子と二人の写真と元気にしていることをメッセージで伝えると、ずっと心配し、そして安心してくれたことが分かりました。マンションのバルコニーにいると、たまにSちゃんやR君の声が聞こえてきて癒されていた、落ち着いたらまたお茶しようと。この優しさに10年間助けられてきたのだと、彼女の気持ちを忘れたらいけないなと思いました。でもね、こちらが連絡する前にまた偶然会える気もしていて。そんな小さな奇跡を拾い集めて空を仰ぎ、また前に進めたなら。このサイトそのものが奇跡だったりして。