ひと仕事終えたあと

朝、シェアオフィスに来ると、ラウンジ側の席で、日経新聞を読んでいるITエンジニアの方を発見。気持ち良さそうにコーヒーを飲みながらの姿に、思わず話しかけてしまいました。「おはようございます。ここでいつも読んでいるんですか?」「近くのカフェが閉店しちゃってさ~。なんとなく社会人の雰囲気を醸し出してここで読んでる。」ははっ。「とってもいい感じです。」皆さんが私のキャラを分かってくれているのか、軽くボケてくれるあたりが気持ちいい。日曜日には、一日ずっと本を読んでいる姿も知っていますよ。

大学図書館のカウンターに座っていると、スーツケースをガラガラ引いて、出張から帰った男の先生が話しかけてくれたこともありました。「出張疲れちゃったよ。」そんなことを言いながら、ネクタイをぐいぐいっと緩める姿も、なんかいいんだな。もうきっちりしなくていい、ようやく図書館に来て緩められたよ、そんな気持ちが、そんな場所にいられることが素直に嬉しくて。「長旅お疲れさまでした。」とにこやかに言いながら、自分の気も緩められる時間。

この間は、学校でPTAの除草作業がありました。今年は、思いがけず感染症の影響で役員の活動ができていなかったので、ようやく初仕事だった訳で。仲良しのKちゃんと待ち合わせをし、やや緊張しながらもワイワイ学校へ向かいました。先輩ママ達の指示を受けながらも、一人一人のお母さん達が話しやすく、初対面とは思えないチームワークで準備は完了。もらった校内図に一輪車を配置しなければいけない中で、一台だけ校舎の外だと気づき、Kちゃんに相談すると、「私出身校だから道分かるよ。持久走で走っていたから。」という何とも頼もしい返事が。親子で同じ学校ってなんだかいいなと思いながら、彼女に任せ、任意で参加してくださる方の受付を開始しました。5年生の担当をすると、面白いお母さんが一人登場。「5年生のお母さんはこちらにご記入をお願いします。」そう伝えると、「あれ?うちの子何年生でしたっけ?」と聞かれてしまう始末。いや~、知らんしと内心思いながら一緒に大爆笑。「年子なので、もう分からなくなっちゃって。上の子は多分6年生です。」多分って・・・と笑いながら、上の子の学年で名前を記入してもらいました。その後も、その校舎で野球をやっているチームがユニフォームのままぞろぞろとお手伝いに登場。目の保養にちょうどいいなと喜びながら、朝の陽ざしを浴びながら、草取り開始。広いグラウンドの端で、Kちゃんとガールズトークをしていると、ダンゴムシが出るわ出るわ。もう!と思いながらも続けていると校庭のいも畑で担任の先生が、「やっべ~、いも抜いちゃった!」という声に、近くにいた児童達が大ブーイング。ああ、なんだか今幸せだなとぼんやり思いました。何でもないんだよ、でも、大好きな友達と暑いねと言いながら草を取って、先生や親御さんと一緒に来た子供達の声が聞こえて、息子の学ぶ校舎の中で、お手伝いをしている自分を客観的に見て、こういうのを幸せというのかもしれないなと。目の前に、こんなにも優しさが溢れている、こういうことに気づけることが、毎日を少しだけ豊かにしてくれるのかもしれないなと思いました。

そんな時、思い出した小学校勤務でのこと。低学年のプールの時間の監視のサポートに呼ばれ、短パンにTシャツで授業に参加をさせてもらったことがありました。シャワーの所で、子供達にキャーキャー言われながら思いっきり水をかけられ、散々な目に。その様子をたまたま教頭先生が写真を撮っていて、後日学内のホームページに掲載され、図書ボランティアのお母さん達に、「写真、見ましたよ~。」と笑われてしまいました。もうちょっと他の写真あったでしょうに。がっつり濡れましたよ。その授業で、笛を吹き、なかなか泳げない一人の男の子をみんなで励まし、応援する男の先生がいました。なんだかその姿に感動してしまい、私も一緒に声を張り上げ、応援。その一員に少しでもなれたことが嬉しくて、楽しい時間でした。
その先生が、運動会を取り仕切り、グラウンドの中央で檄を飛ばし、大活躍。後日、真っ黒に焼けた先生が図書室に来てくれたので、「運動会お疲れさまでした。」と声をかけると、「本気で疲れたよ~。」と珍しく微笑みながら弱音を吐いてくれたのですが、その表情が達成感に満ち溢れていてまた運動会の感動が蘇ってきました。作り上げた人の顔、やり遂げた人の顔、自分の為ではなく、皆の為に全力を尽くした人の顔なのだと思いました。ゆっくり休んでくださいね、後ろ姿を見送りながらそんなことを呟いたことが懐かしい。

ふと我に返ると、また息子の学校のグラウンドが見えて。ドリンクが配られても、休憩することなく黙々と草を取ってくれている児童のおじいちゃんらしき方を発見。胸が熱くなりました。孫がお世話になっているから、こんなことぐらいしかできないけど、その姿からそんな言葉が聞こえてくるようで。人が沢山集うと気疲れも多いのに、そんな瞬間があるから、やっぱり人が好き。
帰り道、Kちゃんと慰労を兼ねた反省会。「疲れたけど、ひと仕事終えてほっとしたね。」あと何回、何十回、こんな会話をして帰るのだろう。疲れたねって言える相手がいてくれる、だから心地のいい疲れに変わってくれるんだ。
美味しい炭酸も、スイーツも味方でいてくれる。毎日乾杯したっていいじゃない。それで、リセットできるなら自分に乾杯しようよ。