別れが強くする

インド人の友達と楽しいお別れランチの後、幼稚園ではもう話せるタイミングがないと思い、予めプレゼントを渡しました。それは、私とお揃いの携帯スリッパ。お気に入りのお店で購入し、ずっと渡したくて持っていた物。

とても喜んでくれて、お礼のメールには『thoughtful gift』の文字が。思いやりのあるプレゼントをありがとうと綴られていて、胸がいっぱいに。
別々の場所になるけど、挫けそうな時は足元を見て思い出してほしいと願いを込めました。その気持ちを彼女はしっかり受け取ってくれていた。

幼稚園最終日、一年間お世話になった担任の先生のお別れ会の後、その友達が駆け寄ってくれて、「S、一緒~。」と見せてもらった足には、お揃いのスリッパが。それを見てぐっと堪えていた気持ちが溢れ出し、大泣きしてハグ。そして、精一杯の気持ちを伝えました。
「I miss you, but I promise. I will meet with you again. I hope you are always happy.(とても寂しい、でも約束するよ。また会おうね。私はあなたがいつも幸せでいることを願ってる)」 彼女は、私の気持ちを深く理解し、泣きながらとても優しく答えてくれて。
「S、いい?絶対にもう一度会おう。」彼女が言った「again」は、今までのどの会話よりも力強かった。今目の前で泣いている友達を、全力で受け止める為に。そして、もう一度優しくハグをされ、私の肩にキス。

その行為は、ホストママの別れ際ととても似ていて、あの時間が見事にフラッシュバックされました。ママも同じようにぐっと堪える私を受け止めて、ここにいるよと伝える為に頬にキスをしてくれた。
友達の英語は、醸し出す雰囲気は、これまで出会った沢山の欧米人の友達を何度も思い出させてくれたことに、改めて気づきました。彼らは、私が20代に必死だった時、助けてくれた大切な人達。彼女を通して、私は過去を懐かしみ、自分が越えてきたものを感じ、そして彼らの優しさがいつも胸の中にあることを実感した。
だから今度は、言葉を選ぶことなく、我慢することなく、彼女に伝えました。「I miss you.」と。
そのひと言が、自分の殻を少しだけ破ってくれた気がしました。
英語だったから、言えた。直球で、なんの飾りもない言葉で。

実家を出る時、祖父や母に随分泣かれ、そして怒られました。姉が大阪に行き、父が出て、姉が戻ってきてもまた婚約して出ていき、祖父や母の寂しさを痛いほど感じていました。それでも、私がそばにいるからと慰め続けた日々。自分が出ると決めた時、罪悪感で押し潰されそうでした。だから、別れ際は、どんな時も相手に負担にならないようにと笑って別れてきた。
長い間、ずっとそうやって生きてきたのに、彼女に出会い、私は少しだけ変われたのだと思います。自分に素直になれたのだと。

その日、改めてお礼のメールを伝えると、返信が。『私の人生の中で、肥やしとなる友達を作ることができた。また絶対に会おう。私はあなたと繋がっていたい。』
インドに戻るまでの二年間で、もっと強くなれたら会いに行く。約束するよ。