この間もまた息子に借り出されて、近くの公園へ夫と三人で野球をしに行ってきました。仕方がないのでまた守備担当をしていたら、思いがけず息子の当たりがよく、レフト方向へ一直線。ワンバウンドで一段高い塀のある木の茂みへ入ってしまい、それを近くでキャッチボールしながら見ていた男子高校生君がぼそっと「エンタイトルツーベース!!」と言ってくれて笑ってしまいました。ナイスな表現に座布団一枚。夫がいなかったらもっと振り回されていたので、混ざってもらっていたかも。
近くでキャッチボールしていたと言えば、小学生の時、日曜日に近くの小学校へ友達と遊びに行った時のこと。遊具で遊んでいると、少年野球が終わった同じクラスの男子が絡んできたので盛り上がっていると、大学生ぐらいのお兄さん二人が遠投をし始め、あまりの格好良さに見とれてしまった小学生3人。すると、堪らなくなったのか、男子君が急に、「すいませ~ん。僕も混ぜてもらっていいですか~。」と言い出し、お兄さん達が笑いながら承諾してくれて。彼はクラスでも人気者というかお調子者。そのキャラをここで発揮するとは。そして、一人のお兄さんが変わってくれて、1対1で必死に遠投する小学男子。微妙に届かなかったので、キャッチするお兄さんが気づかれないよう、そっと前に出てくれたのを見逃しませんでした。大学生のお兄ちゃんと遠投できた彼は、少年のようにというか思いっきり少年なのですが、とてもいい表情をしていて、こんな無邪気な時間がこの先もずっと心に残っていくんだろうなと思いました。帽子を取って、「ありがとうございました!!」と深々とお辞儀をした時、お兄さん達が片手を上げてくれて、男子君の純粋さが直球で届いた、嬉しくなった校庭の夕暮れ。野球っていいな。うん、とってもいい。
ゆずの『スマイル』(作詞作曲:北川悠仁)を聴いていたら、ファンだった大学時代の女友達を思い出したドライブ。一度出てきてくれた名古屋駅のスタバでお茶をした彼女です。その時話してくれた話がなぜかふと蘇ってきて。「うちのお父さんね、自営業をやっているんだけど、不景気で全然うまくいかなくなって結構荒れたの。それでも、お母さんが公務員で働いてくれていたから、私も弟もなんとかなったんだ。家計を支えてくれたお母さんに対してね、お父さんは有難いとは思っているんだけど、でもやっぱりバリバリ働く姿を見るのが嫌だったみたいで、どんどん孤立していったの。そんな姿を見るのも辛かった。男の人にとって、仕事って、もうその人の人生の大半を占めているのかなって、それが崩れたら自分が情けなくなる時もあるよね。」彼女は、いつも物事を冷静に捉える落ち着いた人。それでも、人知れず悩み、社会人になったタイミングでさりげなく話してくれたのだろうと思いました。私にも余裕がなくてごめんね。それでも、今話してくれてありがとう。一緒に大学生活を笑って過ごしてくれてありがとう。
そんな友達とまた連絡を取った時、恋人の話をしてくれました。仕事で休みなく働き、ついに心にも影響してしまい休職してしまったこと、そんな彼を支えたいこと、復職するまでゆっくり待ちたい、そして彼と結婚したいこと。お父さんの背中を見てきたからこその彼女の気持ちなのだろうと、優しさと切なさが同居した気持ちでエールを送りました。「応援するよ。それでも一人では絶対に抱え込まないでね。私も含めてみんな話を聞きたいって思っているよ。だから、背負い込んだらダメだよ。」その会話から数年経ち、届いた年賀状。そこには、その彼と海外の教会の前で写っている今までで一番綺麗な彼女がいました。それは、二人で、カメラ目線でいる落ち着いた姿ではなく、親族に祝われている満面のスマイル。その写真を選んだのは彼女のセンス。そして、その視線の先にはご両親の姿がきっとあったはず。沢山悩んだ後に手に入れた友達の幸せ。