外の空気を吸いに

とても良く晴れた日、思い切って久しぶりにシェアオフィスへ行こうと思い、朝から慌ただしく準備をして向かいました。若い女性スタッフさんに挨拶をし、ドロップインで受付を済ませ、中に入るととても空いていて。分かってはいたけど、いろんな気持ちがこみ上げてきました。光が射し込む窓際に座り、ほっ。ただいま、そしてきっと今日でこの場所ともお別れ。ここで過ごした沢山の方達とそのひとときを巡りました。ひとつひとつが堪らないな。

息子が小学校に上がり、少し手が離れたので、拠点を作りたいと思いシェアオフィスを利用することに。なんだか浮いてしまわないかなと心配だったものの、何度か通ううちに不動産関係のお仕事をされていたHさんがとても自然に挨拶をしてくださるようになり、その雰囲気に馴染んでいきました。そのすぐ後に、ラガーマンのTさんが異動で受付に入ってきて、仲良くさせてもらった日々。ラグビーを心から愛する人、その気持ちにいつも嬉しくなりました。そして、ITエンジニアの方にエレベーターで話しかけられ、私の仕事に興味を持ってくれたので、勇気を出してサイトを見てもらった時間。いくつかのアドバイスをもらい、僕も励まされたと言葉をもらいました。彼が悩みを抱え、苦しんでいるのは分かっていて、時々だけお話を聞き、あまり触れられたくないこともあるだろうと思い、一冊の本をデスクに置いておきました。すると、喜んでくれたのでそのままプレゼントをさせてもらうことに。その後、出会ったのは、私のデスクにさりげなくミルキーを置いてくれたKさんでした。そのことがきっかけで挨拶するようになったものの、卵巣がんの疑いが出て手術、療養が待っていたので長いことオフィスを離れることに。ようやく復帰できた時、パソコンに向かっている私の目の前を、ガーベラを持って通過したので、挨拶しながら花を見ていると伝えてくれました。「今日、奥さんの命日だったんです。」と。彼が、どれだけの悲しみの中にいて、どれだけ愛していたか、愛されていたか、十分過ぎるぐらい伝わってきて泣きそうになりました。後日改めて話を聞くと、大粒の涙を流し、男泣き。ようやく自分の根底にあった悲しみを人前で出してくれたのだと、そう思いました。「どうして○○さんは、そんなに僕の話を傾聴してくれるんですか。今度、もし入院することがあったら僕駆けつけます。なんにもできないかもしれないけど、力になりたいです。」と。その気持ちだけで沢山元気をもらったようでした。ラガーマンTさんからは、サイン入りのユニフォームを送ってもらい感激。そして、いつも笑顔の可愛い女性スタッフさんの退職、不動産関係のHさんは全く変わらない明るさで、私の復帰を待っていてくれました。ITエンジニアの方は、自分のオフィスを持つことができたとお礼のメッセージを送ってくれてお別れ。ミルキーのKさんも別の場所に移ったのだそう。Hさんの会社も駅の反対側に移転し、ラガーマンのTさんも異動に。シェオフィスを見回し、いつも座っていた席に移動すると、いろんな方達との出会いや別れがあって、一人でぽつんといたらやっぱり少し寂しくなりました。それでも、私も顔を上げなくては。俯いてばかりいられない。

息子が小学1年生の冬、コロナ禍という異常事態に。学校が休校になるなんて思いもよらず、図書館もカフェも閉まってしまい、それでもシェアオフィスは開けてくれていました。その時の私にとって唯一の心の拠り所でした。その場所、そしてそこで働く方達へありがとう。この気持ちを持って新天地へ。息子が少し前の学級閉鎖中、街でたまたま不動産関係のお仕事をされていたHさんに会いました。お互い笑顔で挨拶したものの、隣には息子がいたのですぐに話を切り上げてくれたのが分かって。ひとりっ子の息子さんが気にするといけないから、今日はさっと離れますね、シングルママの○○さんいつも応援していますよ、でもたまには僕に弱音を吐いてくださいね。その方が僕も話を聞いてもらいやすいから。一緒に頑張りましょう、そしてたまに笑いましょうよ、そんな日を気長に待ってます。彼からそんなメッセージを感じ、道端で1UPきのこをもらったようでした。遊園地の風船かな、どこで会っても彼は彼でいてくれる。

ラガーマンTさんが所属していた、チームのファンクラブに入りずっと応援。そして、リーグワンのチケットを手に入れました。去年は土砂降りの中、観戦をしたので、今年は晴れてくれたらいいなと願っていて。それでも、どんな天気でも目標ができて自分の気持ちも少し晴れてくれたような気がしています。息子が最近はまっているドミノ倒し。本格的なものを買い、毎晩いろんなルートのドミノを必死に作っていて、私が何かの拍子に倒しそうになると、オーストラリアまでぶっ飛ばす!と言われてしまいました。ドミノ倒してオーストラリアまでぶっ飛ばしてくれたら、それはそれで面白いのだけど、パスポート切れているしなと現実的なことを思い出したら余計に笑えてきて。どうしようもなく辛い時、どうしようもなく自分が嫌になった時、それでもいつか笑えるように、いつの日かそんな時が笑い話になると願って、ここに来てくださるみなさんのことを応援させてください。このサイトを訪れてもらった日は、外の空気を吸いに来てくれた証。ご自身に優しさを向けて、やわらかい風を心の中へ。一年中、ここは春です。