学校が好き

両親が、名古屋から戻った時に読んでもらえるようにと、息子と書いた手紙がありました。父のマンションを引き払い、長い時間高速に乗って、やれやれと思った時に、テーブルを見てほっこりした気持ちになってくれたらいいなと。そして、後日笑いながら母が伝えてくれました。「お手紙ありがとう。とっても和んだわ。Rがおじいちゃんに宛てた手紙が面白くて。“おしごとがんばったね。”と書いてあって、上から目線だなあって二人で笑ってしまったよ。」確かに、言われてみると笑える。花丸も付けていたんじゃないかな。息子にとっての“お仕事”は、大変なことよりも、もっと夢のあること。学んだ先に、生かせる何かが待っているということ。

そんな7歳児の1年生の担任の先生が、3月の大変な時期に、文集を作り、2年生の始業式に渡してくれました。その中で書かれていた息子の夢、『野球選手』。何だろう、このタイミングだからかな、ぐっときました。冊子にしてくれた先生手作りの文集はこの先もずっと彼の部屋で残っていく。コロナ禍の時に書かれた息子の夢が、小さな自信になってくれたらと、それを記録に残そうとしてくれた先生の気持ちも綴じられていたことを忘れないでいてほしいなと思いました。勉強机の左端にわざと置いてみる。その一冊がね、励みになる時が必ず来るよ。

そして、2年生の担任の先生とオンライン教材のメッセージ画面で、数回だけやりとりをさせて頂きました。『オンライン教材は、私と一緒にやっている為、全部100点というまさかのハイスコアになっており、すみません。計画表のおかげで、図工などにも取り組む意欲が芽生えたようで、ティッシュペーパーの箱などを利用し、ゾウさんを作っていました。先生達の沢山の配慮に感謝しています。返信は不要です。ありがとうございました。』すると後日返信が。『返信は不要ですってありましたが、メッセージ、うれしくてお返事しちゃいました。お心遣い、大感謝です!ありがとうございます!もうすぐ、再開になりそうなので、もうひとふんばり、です!』先生は体育会系なのか?!と思いながら笑ってしまいました。この短い文章にびっくりマークを三つ付けてくださる先生もなかなかいないだろうな。そして、人柄が滲み出ていて嬉しくなります。オンライン授業をしていく日も、そんなに遠くないのかもしれない、それでもこうやってやりとりができれば、親も子も、そして先生も寂しくないのではないかと思いました。私がもし、まだ今も小学校の図書室で働いていたらどうなっていたのだろう。密になってしまう。2メートル離れていても、子供達の異変に気づけただろうか。大丈夫?と声をかけられただろうか。ハイタッチはできなくても、エアハイタッチならできるよね。児童達が、自宅や休み時間に作ってくれた沢山の折り紙。図書室のカウンターに置けないぐらいいっぱいになり、嬉しい悲鳴を上げていたことが懐かしいです。

図書ボランティアのお母さん達。中には自営業のお父さんまでもが参加をしてくれました。強制ではないボランティアのお仕事。皆さんが忙しい合間を縫ってお手伝いに来てくださっていることは分かっていたので、せめて何か少しでも得て帰ってもらえたらと思いました。子供達が給食の時間などに集まってくれた1年生のお母さん達。学校生活が初めてで少し緊張されているようだったので、できるだけ和んでもらいたくて伝えました。「私は教員ではなく司書なので、気楽な気持ちでいてくださいね。せっかくなので、図書館の分類について簡単にレクチャーをさせてください。早い話がチーム分けです。」そう言いながら概要のプリントを渡し、本棚の位置を軽く説明させてもらうと、自営業のお父さんが感心しながら伝えてくれました。「こんな風に分けられていたんですね。いや~勉強になるなあ。この年で知ることができて良かったです。」それを聞いた初対面のお母さんがひと言。「本当ですね。ボランティアを引き受けて良かったです~。」と皆が一気に近づいてくれて嬉しくなりました。学校という場を支えてくれているのは、沢山の人。表に出る人も、そうじゃない人も。掃除の時間になり、用務員さんが図書室のお掃除に来てくれた時、一人のお母さんが声をかけ一緒に手伝ってくださり、なんだか泣きそうになりました。そして、図書館システムの話になった時、一番伝えたかったことを話しました。「図書館システムの導入で、検索もできるようになりました。私もそうなんですけど、どうしても目線が画面に向かってしまうんです。でも、顔を上げて、子供達の表情を見てあげてほしいなと思っています。」そう話すと、誰もがにっこり微笑んでくれました。言うまでもなく、皆誰かの親御さん。大切なことは何かを知っている。それでも、それを再確認することを聞き、そうだよねって改めて感じてくれたような気がしました。
司書から見た学校、この角度が好きでした。今度は、母親として、何が見えてくるだろう。