久しぶりに美容院へ行くと、以前盛り上がった宮崎県出身で野球部だった美容師さんが担当に。さわりの部分ですっかり打ち解けると、こちらのことも覚えてくれていて感激してしまいました。野球に詳しい女性って珍しいのかなと思いつつ、最近プレーをしているのかを聞いてみると、「全然していないっす。」みたいなノリで話してくれて笑ってしまいました。その体育会系な感じが、もう野球男子よね。そして、この状況で宮崎に帰省ができないことを話してくれました。「こんなことになるなら、去年帰っておけばよかったです。なんだかどうしようもなく、チキン南蛮が食べたくて・・・。」ご両親に会いたいとかではなく、そっちなのね!とこれまた笑わせてもらい、和やかな時間が流れました。
地元でカットモデルをやっていた時、美容師さんが話してくれて。「最初の印象で、エレガントなのかフェミニンなのかを考えるんです。だからできるだけいつもの服装で来てもらえることが有難くて。たまたまその日だけパンツスタイルだと、こちらの印象も変わってきたりするんです。」ほお!と妙に納得したことが思い出され、週に一度しか履かないスカートで来店。やっぱりね、膝丈スカートのイメージで切ってもらいたい、そう思っていると想像通りに仕上がり、嬉しくなりました。とても相性がいい、そんな会話がそのままアレンジされたような気持ちのいい時間でした。来年こそは帰省できるといいですね、そんな願いを込めてお別れ。彼の素直さを分けてもらったような気がして、人との何でもない交わりに嬉しくなった午後。そんな人で私もありたいです。
教育実習中にお世話になった数学の若い男の先生。実習中は部活にも参加してほしいと教務主任の先生からも言われていたので、経験もあった女子のテニス部に入れてもらい、その顧問をしていたこともあってすっかり仲良くさせて頂きました。「僕、見た目は一見怖そうに見えるんだけど、実はまだ20代後半で、あなたとそんなに年齢は離れていないんです。だから、何かあったら相談してきてください。」朝練も、放課後の部活もずっと一緒。ラケットを持ち、お互いが日焼けをして、テニスコートの端で、時に片づけをしながら沢山の話をしました。授業参観後に行われたテニス部の保護者会にも参加をさせてもらい、質問攻めにあった先生を労うと、いてもらえて良かったと笑ってくれて。ただ後ろに立っていただけ、それでもその場の空気を感じ、なんでも経験だからと呼んでくれた先生の気持ちが嬉しく、ほんの少しでも自分の存在が役に立てたなら良かったですと微笑んだ教室内。何かこの先生に返していきたいな、そう思っていた最後の私の研究授業に、その先生がやってきてくれて、それだけで泣きそうでした。
給食後の5時間目の授業。まだ休み時間の生徒達に相談し、和やかの雰囲気のまま授業を始めたいから、できれば5分前には教室にいてほしいという私のわがままを、ぶつくさ言われながらも聞いてくれました。チャイムが鳴り、後ろに入ってきたのは、教頭先生、3年生担当の社会科の男の先生(きっちりスーツ)、1年生の学年主任の先生(なぜかいつもハーフパンツ)、数学の先生、そして、指導してくれた1組の社会科教員でした。皆男の先生かい!と、緊張感はMaxに。こういう時に女性の先生の存在って有難いなと軽く凹みながら、始まりのご挨拶。前回の復習から入り、生徒達が私に気を使ってリアクションを大きくしてくれたことで、教室全体の雰囲気が和み、いつもの調子が戻ってきました。そして、弥生時代の道具の説明に入り、資料集を使い、黒板に絵を描いて説明をすると、恩師が「あれ?間違っていないか?」と後ろの男子生徒とぼそぼそ。そして、授業中なので自分が言ってもいけないと思ったのか、その生徒に伝言を頼み、「先生~、それ多分逆です~。」と教えてくれたので、慌てて資料集で再確認したものの、徹夜で50分を組み立てたので記憶力にも自信があり、「合ってます!!」とビッグスマイルで恩師に言うと、皆が笑ってくれました。師弟関係をその場で感じた先生達も皆笑ってくれて、ようやく肩の力が抜け、沢山の人に助けられた温かい授業でした。
チャイムが鳴り、実際に3年生の社会科も見せてもらった先生に、お礼を伝えに行くと、ちょっと待っていてくださいねと言われ、少し経ってから授業の感想を達筆な字で丁寧に書かれ、渡されました。『終始、ハイテンションな授業で進んでいきました。』その一文に大爆笑。おっしゃる通りで。そして、『僕も、色々と学ばせてもらいました。いい授業でした。』と締めくくられた最後の文章で泣きそうに。それから、1年生の学年主任の先生は、わざわざ授業変更までしてあなたの授業を見に来てくれた、先生の集大成を見にいきたいと思ってくれたんだよ、と恩師が教えてくれて言葉になりませんでした。
最終日、クラスのみんなにお別れの挨拶をした後、もうすでに大泣きをしていたのに、さらに1年生の先生達が声をかけてくれました。「1組から4組まで全部のクラスで授業をしてくれた。だから、皆を体育館に集めるから、そこで1年生の皆に挨拶をしてやってくれないか。」もう、何を伝えたらいいのだろう。涙を拭き、まじめに、立たせてもらった授業時間を伝えたものの、届けたいことはそんなことではないと思い、気持ちのままに、溢れるままに話しました。「辛いこと沢山あると思うけど、そんな時こそ顔を上げてほしい。ここまでそうやって生きてきたから、出会えた人達です。あなた達の未来を応援しているし、挫けそうになった時、今日という日を思い出してくれたらと、私も同じように頑張るから。出会えたことに感謝しています。ありがとうございました。」そんなことを泣きながら話すと、他のクラスの生徒達も泣いてくれました。そして、ふと横を見ると、座り込んで涙を溜め、感極まってくれている数学の先生の横顔が。
皆とお別れをした後、改めてお礼を伝えに行くと、言ってくれました。「感動的な言葉でした。本当にいい時間でした。僕の方こそありがとうございました。それ以外、何も言えないです。」その言葉が、どんなに深いものだったか。掘り下げて思い出してみても、しっかり残っている記憶、温もり、そして人の優しさ。挫けそうになった時に思い出す、4週間。期間じゃない、その時どれだけお互いの心に届いたかなんだ。