三日目の朝、今日の睡眠不足はそれなりに重症だなと自覚しつつ、最後の朝食ブッフェへ。そばも美味しく、B級グルメなどを楽しませてもらいました。そして、急いで荷造りし、最後の卓球を息子と楽しむことに。部活の合宿か!と思うぐらい盛り上がった三日間、綺麗なホテルとおもてなしの気持ちをありがとうと名残惜しさと共に、宿を後にしました。タクシーに乗り、地元の運転手さんと西武ライオンズの話で華を咲かせ、お礼と共にお別れ。そして、また特急電車ラビューに乗り込みました。そこでまた爆睡し、飯能駅へ。荷物をコインロッカーに預け、バスに乗り、ムーミンバレーパークに到着しました。別の世界へ行くよ。
ほのぼのとした空間に、みんなで癒されながら、念願のジップラインを乗ることにしました。説明を受け、これからだという時に雷の音が。それでもすぐに回復し、順番がやってきました。「321ゴー!」という掛け声とともに、湖の上を進んでいって。あまりの美しさにこみ上げそうでした。これまで頑張ってきて良かった、またここから頑張ろうと。あっという間に反対側に着き、息子とMさんを待ちました。すると、同じように感激していた二人。てっきり片道だけかと思いきや、もう一本乗れることが分かり嬉しくなって。今度は目に焼き付けておこう。風を切る音、本当に自分が飛んでいるようでした。飯能市は、大学図書館勤務時代、先輩の出身地でもありました。いつか行ってみたいと思っていて、本当に来られたんだなと思うと感無量で。そして、先輩が言ってくれた声が聞こえてきました。「○○さんは自己評価が低い。もっと自分に自信を持ってもいいのに。でもね、その謙虚さも含めてあなたの良さなのかも。こうありたいっていつも考えていて、だからこれでいいやって思うことはあまりないのかもしれないね。」人を見る視点が優しくて、いろんな場面で励まされました。先輩は、私の地元である名古屋まで遊びに来てくれたことがあって。一緒に、『矢場とん』のみそかつを食べ、ひつまぶしを食べて、いっぱいガールズトークをして、その時間を思い出したら、ムーミンバレーパークで大泣きしてしまいそうでした。あなたは私の憧れ、この先もずっと。いつの日か、再会ができたなら。
それから、ランチをして、息子は入り口でもらったニョロニョロの水鉄砲で遊びだし、小川に入って服はベタベタ。こんなこともあろうかと着替えを持ってきて正解だったと笑い、ショーを見てムーミンの世界にすっかりはまっていきました。この世界に、争いはないんだろうな、そんなことも思って。そして、おみやげを買い、スタバを発見したので喜んで入り、アプリのスタンプをゲット。日本地図の埼玉県も緑色になりました。またバスに揺られ、最後のラビューに乗車。池袋駅に着くと、平日だったので通勤客の方でごった返していて、現実に戻ってきたことを痛感。また埼京線で新宿駅まで戻り、最後の晩餐にMさんがもんじゃ焼きを誘ってくれました。みんなで楽しく食べながら、旅を振り返り、本当にいい時間で。そして、お世話になったお礼を伝え、改札でお別れ。特急電車を待っていると、ヤクルトクルーのユニを着た若い男性のファンを見かけ、二人で顔を合わせ嬉しくなりました。今日、巨人戦だった!と大盛り上がり。そして、スワローズのうちわで仰ぐ男性もいて、目の前を通過したのは去年引退をした青木選手のユニを着た男性ファンの方でした。「Rもヤクルトのキャップを被っているから、旅行帰りじゃなくて野球帰りだと思われているよ!」とわいわい。そして電車に乗ると、ビジネスマンの方達で、満席で驚きました。みなさんお疲れ様ですと思っていると、目の前に座ったのは巨人ファンの男の子。本当に面白い帰り道だなと、最後の時間を噛み締めました。すると、後部展望席に座ったので、景色がどんどん遠ざかり、これまで自分が歩いてきた数々の出来事が走馬灯のように思い出されて。
岐阜に転校したのは小学3年生の夏休みでした。山奥で、通学が片道50分、なんでこんな所に銀行の社宅があるんだと、毎日へとへとになりながら坂道を歩いていた自分がいました。それでも、冬以外はゴムサンダルが原則だったので、ランドセルを背負ったまま中津川に足だけ入り、友達と遊びながら帰っていて。お父さんの転勤は3年に一度、単身赴任で半年過ごしていたから、自分がいるのはたったの2年半、大変だけどその期間だけ過ぎればあとは名古屋に戻れるとずっと思って過ごしてきました。両親はずっと不穏な状態、住む所は変わってもそれは変わらず、いろんなものを抱えたまま、成人し、様々なことを経験して埼玉の秩父へ。そこで山や川に囲まれていたら、赤いランドセルを背負い、赤いゴムサンダルを履いて、みんなと戯れている元気な自分が鮮明に蘇ってきました。その2年半は、ただの通過点だと思っていた、でも本当はこんなにも別れが悲しく、確実にそこで育まれていたものがあったんだなと。意外と体育会系なのも、ベースがそこにあったりして。いつか子育てが終わったら行こう、中津川にも。
どんどん過去が遠ざかり、いつもの最寄り駅へ到着しました。「今日、ヤクルト対巨人戦があったから、最後に会うのはどちらのファンだろうね!」と話しながら改札を出ると、すれ違ったのはDeNAのファンの方達。そう来たか!と散々盛り上がり、歩き疲れていたのでタクシーで帰ってきました。そして、いつものように、炭酸で乾杯。あれが楽しかったこれが美味しかったと話は尽きず、息子はムーミンのぬいぐるみ達と一緒に眠りに着きました。旅は続くよ、寝顔にそっと伝えてみる。いい三日間だったね、山の匂いを嗅いだ時、彼はどの瞬間を思い出すのだろう。
埼玉のみなさん、あたたかく迎えてくれてありがとう。大自然に囲まれ、心が安らぎました。またひとつ、はち切れそうな思い出を持ってさらに前へ。川を泳ぎ、空を飛んだ、緑と水色、胸の中は澄んでいった、その感動を人は幸せと呼ぶのかもしれない。