言葉を添える

この間、幼稚園にお迎えに行くと、延長保育を利用した後だったので、いつもとは違う先生が対応してくださり、息子の制服のズボンが私服のズボンに変わっていて、あれ?と思いました。
息子に聞いてみると、「どろんこの中をお尻からころんじゃった。」と説明してくれて納得。

自宅に戻ってから通園バッグを開けてみると、洗ってくれた制服のズボンとお手紙が。
『転んで泥で汚れてしまったので、着替えました!ケガはありません!!』
これを読んで、先生さすがだなあと思いました。着替えた理由を書くだけでなく、けがをしていなかったという事実を伝えて、親を安心させてくれる。
お迎えに行った時点で、すこぶる元気だったので、全く気にしていなかったのですが、こういったひと言が信頼関係に繋がるんだろうなと思い、嬉しくなりました。

大学図書館で勤務していた時、いつも寄贈してくださる教授は、足が悪く杖を突いて、何冊も抱えながら雑誌を持ってきてくれていました。その教授専用の寄贈コーナーが設けられており、先生がご自分で配架をしてくださることも。慌ててお手伝いに行くと、嬉しそうに伝えてくれました。
「自分の雑誌だから、大丈夫ですよ。追加したので入力お願いします。良かったら表紙だけでも読んでみてくださいね。」
決して押し付けることのないその言い方に敬意を払うと同時に、気になったのは『漢方』の文字。その教授は様々な分野の中で、漢方についても深く研究され、これが私と漢方との出会いでした。

司書は、本全部に目を通すことはなかなかできません。それでも、タイトルやサブタイトルといった表紙にあるものは自然と目に入ってくるので、豆知識大魔王みたいなところがあります。
教授が「良かったら」という言葉を添えてくれたのは、雑誌の内容だけでなく、漢方って体に優しいものですよというメッセージだったような気もして、ずっと気になっていました。

頭痛が悪化し、市販薬を常用し過ぎたことで頭痛を誘発させていたことに内科の医師によってようやく気付き、気になっていた漢方について聞いてみると、専門医に相談した方がいいと言われて、今の主治医の元へ。

私の話をひとしきり聞いた先生は、症状だけでなく、おそらく性格を見て伝えてくれました。
「今日処方する漢方はね、中国古代の王妃が、酷い頭痛に悩まされていた時、周りの役人達が何とかして助けたくて作ったものなんだよ。」
“本当に辛い時は、周りに助けを求めてもいいんだよ”そう言われているようでした。

そして最近の通院では、「漢方って中国2000年前からの歴史があって、昔は紙ではなく適当な巻物のようなところに成分を書いたりしていたんだよ。だから一巻二巻って言ったりもするでしょ。」

あっ、図書館と医療が繋がった!!と感激した主治医の言葉でした。添えてくれるから分かりやすいし安心もするけど、効能とは全く関係ないよね~。
そんなやりとりも全部吸収していこう。