小学校生活、ラスト二回の旗振り当番が回ってきました。最後にもう一度あるのだけど、横断歩道を挟んで交代制なので、校舎を背に立つのは今回が最後、それを思うと目に見える風景を心に残しておきたいなと。その日は見事に秋晴れ、息子と慌ただしく準備をし、いつものように家を出ました。途中でバイバイし、急いで自転車に乗り学校へ。すると、交差点ではまだ時間が早い中、前回のお母さんが1年生の娘ちゃんと待ってくれていて、笑顔でご挨拶。そして、いつもの朝が始まりました。息子が途中でやってきて小さくハイタッチ、その後も続々と子供達と挨拶を交わし、小学生かわいいなと改めて思いました。マリオの帽子を被った男の子は、前回会った時よりもぐんと背が伸びていて感動。そして、赤信号で停まってくれた最前列の車に、緑になったと同時に会釈をすると、ドライバーのご主人ではなくご年配の女性が代わりに笑顔で会釈をしてくれて、ほっこりしました。私は、ここまでいい奥さんではなかったなと一人反省会。その後も、別のドライバーさんに会釈したにも関わらず、対向車の男性がこちらに会釈を返し微笑んでくれて、優しい世界を感じました。車に乗った防犯パトロールの方達は、いつものように助手席の窓を開け、こちらを労いながらご挨拶。校舎を背景に、斜め45度から絵を描く人がいたら、私はきっとこの風景に溶け込んでいて、それはもう豆粒ぐらいのサイズなのだろうけど、人と人が行き交う場所の一瞬のあたたかさを表現してくれるのではないかとそんなことを思いました。ランドセルを背負い学校に向かう子供達の笑顔、見られるのもあと半年を切ったかとしみじみ思っていると、すごい勢いで走ってきた男子がいたので、慌てて手で制止し、危ないよ~と声をかけようとすると、目が合ったのは息子がお世話になっている陸上の先生。って、先生か~い!!という表情で思いっきり笑ってしまうと先生も子供に間違えられたのが分かったようで一緒に笑ってくれました。「おはようございます!」と爽やかに言ってもらい、まだ笑いが止まらない中こちらもご挨拶。箱根駅伝並みのスピードだったなと、一瞬の出来事だったので本当におかしくて。子供達ひとりひとりに個性があるように、先生達にも個性があり、だから面白いし学びが沢山あるんだよねと思った秋の交差点。ラストは、どの一枚を残そうか。連写モード?動画モード?残りの小学校生活を沢山詰めるんだ。
プロ野球のペナントレース真っ只中の時、週末に息子は友達と遊びに行き、中日戦がやっていたのでぼんやりと観ていました。すると、9回裏サヨナラのチャンスで代打板山選手。あまり知らない選手だなと思いながら打席を見守ると、サヨナラタイムリーを打ってくれてゲームセット。その時、解説をされていたのは、来季から阪神の監督に就任する藤川球児さんで、板山選手は阪神を戦力外になり中日に入団していたことが分かりました。NHKで、プロの技が光る度に、解説の方が時々出す『プロ技』ゴールド、シルバー、ブロンズの認定。この試合で、サヨナラヒットを放った板山選手の苦悩をずっと見てきた藤川さんは、プロ技ゴールドを出し伝えてくれました。プロであることにこだわり続けたプロ技ゴールドだと。その言葉を聞き、なんだか泣きそうに。点で捉えるのか、線で捉えるのか、時に球で捉えるのか。藤川さんは、サヨナラの場面でタイムリーを打ったその打席だけでなく、阪神のユニフォームを脱ぎ、中日と育成契約を結び、支配下登録を勝ち取って一軍の試合に戻ってきた板山選手の努力と苦悩と諦めなかった姿勢も含めてのプロ技ゴールドだったと伝えてくれたのだろうと。こんな風に見てくれる人がいるから、折れそうな時も諦めないでいられるのかな、なんだか二人の関係に元気をもらえたようで、私も頑張ろうと思いました。その藤川さんの現役時代、藤川投手がリリーフでマウンドに立つ時、いつも流れたのはLINDBERGの『every little thing every precious thing』(作詞:渡瀬マキ、作曲:川添智久)。この曲は、自分が落ち込んでしまった時、中学で陸上をやっていた頃が蘇ってくる思い出の一曲でした。藤川投手がマウンドに上がると、毎回溢れそうになり、その当時の土の匂いを感じました。何のために走っているのだろう、ただ前を見たくて。その頃抱えていた沢山の葛藤、曲を聴きながら藤川投手の投球を見ていたら、いろんな気持ちが巡り、緩和され、自分自身に微笑みたくなったそんな時間を思い出しました。野球場は円、最後の登板でこの曲が流れ、その中にボーカルの渡瀬マキさんもいらしていて、引退セレモニーで藤川投手にリストバンドを渡したその優しい時間は、今でも私の中にそっとしまってあります。
今日は息子のクラブの日。陸上の先生と相性がとてもよく、そのご縁も大切にしてほしいなと。幼稚園年長で始めた少年野球。毎週欠かさず練習に行っていたものの、コロナ禍に突入し、久しぶりに参加した中で、怒鳴ってばかりいる一人のコーチがいてすっかり行く気を無くしてしまいました。息子と話す中で、決めた約束。野球チームは辞めても、野球は好きでいてほしい。その言葉通り、彼はすっかり熱狂的な野球少年になってくれて。そんな中で、プロ野球中継を観ながら伝えてくれました。「ボク、この解説の人好き。」その方は藤川球児さんで、なんだかぐっときて。息子は、藤川さんの現役時代も顔も知らない、ただ聞こえてくる声から、何かを感じ取ってくれたのだろうなと。先程まで雨が降っていたのに、クラブの時間になると晴れ間が出始めました。陸上の先生との時間ももう片手で数えられるだけ。一緒に走ったその景色をどうか忘れないでいて。陸上の先生にもどうやってありがとうを伝えようか。卒業までのカウントダウンはゆっくり始まった。