機動力を使う

不動産関係のお仕事をされていたHさんが、近くにできたシェアオフィスの情報を教えてくれました。「せっかくなので少し利用してこようと思うのですが、Tさん(ラガーマン)には黙っておいてくださいね!」そう伝えた翌日、思いもよらない展開が。受付で相変わらずTさんと盛り上がっていると、Hさんが登場。「あれ?他のシェアオフィスに行っているかと思っていました~。」!!「もう~、聞こえているし!」「ああ、あそこのオフィスですね。○○さんが仕事しやすい環境が一番なので、僕は止めないです。」と大人の対応のTさん。「でも、実は内心ざわざわしていますよね!」とどこまでも茶化すので、みんなで盛り上がってしまいました。その後、感想を聞かせてくださいと二人に言われた翌日、本当に現地へ。ドロップインの利用のため、受付の方に説明を受け席に座ると、落ち着いた雰囲気で良かったものの、急にみんなが恋しくなり、1時間で切り上げホームグラウンドに戻りました。すると、たまたま女性のGM(ゼネラルマネージャー)とTさんにエレベーターホールで会い、感想をひとしきり述べると大盛り上がり。「やっぱりここがいいです。窓が大きいこの空間ってなかなか他では得られないものだなって。そして何より“人”ですね。仕事に打ち込むだけでなく、誰かと話せるっていいなって実感しました。」そう話すと、GMが本気で喜んでくれて。「絶対になくならないでくださいね。」利用されている方達の気持ちを総括した言葉に、今日会えて良かったと感激してくれたGM、そして会話を微笑ましく聞いてくれていたTさん。何とも言えない交わりに嬉しくなったまさかのシェアオフィスダブルヘッダーでした。

そんな慌ただしい日、いつものようにお迎えに行くと、同じクラスの男の子と仲良く帰ってきていた息子を発見。「○○君、いつも一緒に帰ってくれてありがとう。」そう伝えると、「こちらこそ。」と返してくれた彼。優しいな。お会いしたことはなくても、彼のお母さんがどんな方なのか想像できた気がしました。持ちつ持たれつ。とっさに“こちらこそ”と言ってくれた友達は、あたたかい子なんだろうな。「また明日ね!」そう言うと、「ううん、これから遊ぶ約束したの。」と教えてくれた彼。お迎えちょっと大変だなと思っていても、学校の様子を感じさせてくれる副産物があって、助けられているのは私の方かもしれないなと感じました。その後、家に着いた途端、自転車に乗って遊びに行き、帰ってきてから変な質問が待っていて。「ママって何歳?」「42歳だよ。」「え~、ボク100歳だと思っていた!」なんだそれ!きんさんぎんさんか!!と、この発想そのものがジェネレーションギャップだなと自分に笑えてきて、息子とわいわい。そんな調子で、宿題に取り掛かったものの、すぐにまた別の質問が待っていました。「今日は、磁石の問題なんだよ。ママ、S極は分かるんだけど、W極ってある?」「あるんじゃない?」と夕飯準備をしながら適当に答えると、教科書を見ながらブーイングが待っていました。「W極なかったよ~。N極だった。ボク間違えて答え書いちゃったよ。ママ、理科苦手でしょ。」バレた!!WってWest(西)だからあると思っていたら、なかったのね。
大学図書館勤務時代、科学に関する雑誌の配架で色んな表紙を見たけど、何もときめかなかったなあと懐かしくなりました。薬剤師さんを目指していた学生さん達、6年間学ぶ彼らの中には親への感謝があって。学費が高い上に、期間も長い、だから何が何でも薬剤師になって恩返しがしたい、そんな気持ちを感じていました。ボロボロの過去問題集、それは歴代の先輩達が手に取ったもので、修繕する度に味が出て、挟まっていたポストイットや消しゴムのカスを見ると、頑張れ!って応援したくなって。そんな学生さん達が、白衣を着て実験の合間に図書館を利用してくれた時は、はっとなりました。地方から出てきて、まだ垢抜けない彼らが、少しずつ大人になっていくようで、こんな姿を親御さん達が見たら嬉しいだろうなって。3.11の震災の後、合格の切符を手にしていた学生さんから、入試課に入学辞退を伝えたのは、薬学部の学生さんでした。薬剤師になりたい、その夢を追い入り口まで来たところで起きた災害。ご家族に何かあったのだろう、それでもどうか夢を諦めないで。東北でまた這い上がり、今どこかの薬局で白衣を着て働いてくれていたらいいなと願っています。

姉がこちらの様子を気にしながら、メッセージを送ってくれました。『昨日、幼稚園の音楽発表会だったの。おばあちゃんに来てほしかったと言われてしまい・・・。もう行事はお別れ遠足と卒園式だけになってしまったんだけど、前にバスのお迎えおじいちゃんとおばあちゃんにしてもらえたことすごく喜んでいたから、最後にお迎えしてもらおうかなと思ったり・・・』沢山の葛藤が姉の中で渦巻いているのが分かりました。子供の気持ち、自分の気持ち、そして母の気持ち。みんなの想いを包括した言葉を届けると、めっちゃありがとうございますという号泣のスタンプがひとつ。そして、翌日伝えてくれました。『一回蓋を開けるのが超怖いけど、前向きに検討してみる!』と。また黒い渦に巻き込まれたら、私が引っ張りあげるから心配しないでねとお守りを持っていてもらいたくて最後に伝えました。もう暗い闇にはいない、何かあったら必ず助けに行くから。姉の勇気ある一歩を応援したい。苦しかったよね、苦しかったよ。でも、お母さんとの再会はネネちゃんのこれからを照らしてくれる。犠牲バントではなく、盗塁王を狙いに行く。ここ一番という時は、本気で走るよ。次に繋いで進塁する。流れが変わった。