やっと笑えた

朝から重たい空の日曜日、広報委員会でまたコミュニティセンターへ行ってきました。まともに睡眠が取れていない中、くらくらの状態で出向くと一番乗りだったので、机が正方形になるようにセッティング。端に一人で座っていると、一人また一人と見慣れたお母さん達が集ってくれて、いつもの談笑が始まりました。隣に座ってくれたのは、同じクラスの友達。夏休みに自宅に遊びに来て~と誘われたものの、緊急事態宣言中で感染者の数がピークに達していたので、この判断を間違えたらいけないと思い、断らせてもらっていました。一日ぐらい、短時間ぐらい、その気持ちが迷惑をかけてしまうことになってしまうかもしれない、難しい判断の連続。それでも、大切なこと。色んな気持ちが渦巻いていた夏休みを終え、久しぶりに会えたので嬉しくなり、相変わらず和やかな中で次の広報誌の話し合いが始まりました。行事がどこまで行われるか分からない、だったら撮れるタイミングで写真を集めていこうということになり、みんなが撮ったデータの収集を引き受けました。治療の最後の難関、冷えが辛い冬がやってくる、それでも自分がやれることをやらないと気が済まなくて。本当のばかかもしれないなと自分に笑ってしまいました。コロナ禍で作り上げた広報誌は、ずっとずっと記録物として保管されていく。学校の裏側をどこまで届けられるだろう。先生達と子供達、そして保護者のキラキラを残していきたい。

その後帰宅し、野球から戻った息子とうまい棒のUFOキャッチャーを探しに行く約束をしていたので、少しだけ休ませてねと声をかけ眠りにつこうとすると、「雨が止んだよ!」とあっさり起こされてしまい、二人で出かけました。市内にあるゲームセンターを回り、二か所目で見つかったものの、全てがコーンポタージュ味だったので仕方なく三か所目へ。そこも見つからず、ぐずりだしたので、前の場所へ戻ることになりました。小雨も降り、睡眠不足と頭痛でふらふらしながらも歩いて目的地に到着。すると、大きな怪獣のぬいぐるみをゲットした家族を見かけ、それがやりたいと言い出したので、前のお姉さん達が終わるのを待ち、順番が回ってきました。貯金箱から息子が出した500円玉。6回チャンスがあって、何度も引っ掛かったものの途中で落ちてしまい、うまく取れずに泣いてしまいました。それでも、強引に説得しお店の外へ。「悔しかった気持ちは分かるよ。でもね、Rの大事な500円をまた使って、また取れなかったらもっと悲しいよね。ゲームなんだから取れないこともあるの。取れるまで頑張ったらRのお金がどんどん減っちゃうよ。ここまでと決めて、やめることも大切なこと。分かる?」これだけ私の頭痛が発生しているということは、息子の頭痛も多少なりとも発生しているということ。こういう時のぐずり方は手に負えないことも知っていました。なかなか泣き止まず、こちらが途方に暮れていても、私の話にはかすかに頷いてくれていて。とにかくその場を離れようと歩き出すとついてきたので、手を握りました。最初は気持ちの整理がつかなかったのか受け身だったのに、途中からぎゅっと握り返してくれた時、その温度が温かくて泣きそうになりました。野球の監督が言っていたよ、世の中は理不尽中の理不尽だって。監督の言葉は、投げやりになっているのではなく越えてきた人の重みなのだとお母さんはそう受け取ったよ。思い通りに行かないことの連続、その中で何が大切か、自分は何を曲げたくないのか、沢山模索しながら選んでいくのだと思う。お母さんもまだ道半ばだけど、絶対に譲れないものと手放してもいいものが少しずつ分かってきた気がするよ。だから、あなたも迷ったらこの手の温もりを思い出して。そんな気持ちを込めてスーパーまで握り続けました。「3歳までのSが一番わがままだった。泣けば済むとか許してもらえるとか思っていたでしょ。本当にもう大変だったんだから。でも、その頃のSが一番人間らしかった。」姉の言葉が胸を掠め、3歳の自分といるような錯覚に陥った不思議な時間でした。

そして、お菓子コーナーへ行くと、息子が一番好きなめんたい味が15本セットで売っていて、大喜び。近くにチーズ味のバラもあったので3本買い、お会計後に伝えました。「これはお母さんからのプレゼント。好きなうまい棒をゲットできて良かったね!」「ママ、ありがとう。ゲームは簡単には取れないね。」そう言って笑ってくれました。その笑顔を忘れないでいるよ。

その夜、早速広報委員の仕事が待っていたので、メールを開くとなぜか添付ファイルの保存がうまくいかず困惑しました。寝かしつけに時間がかかるのでどうしようと思い、息子に相談。すると、意外なことを言ってくれて。「ここでやればいいよ、ママのドレッサーの上で。ボク、気にしないから。」その日は日曜日、矯正器具はお休みの日だったのですが、毎晩の矯正で弱気になった息子は寝付くまでそばにいないと寂しいようで、だからこその提案をしてくれたことが分かりました。有難く、ドレッサーの灯りの中でカタカタやっていると、あっさり問題は解決され終了。「R、無事に終わった。ありがとう、本当に助かったよ。」「良かったね。ボク、ママのこと大すき。」一日の終わり、コンディションが最悪な日の一番最後にこんな言葉をかけてもらえるなんてね。たくさんぐずってママのこと困らせちゃったけど、ボクいろんな気持ちが嬉しかったよ、そう伝えてくれているようでした。我慢をするのではなく、本音を伝え、そして歩み寄る。教えてもらったのは、私の方。握った左手に元気が集まった日。私は一体何人の人と心の中で手を繋いできたのだろう。