週末、いつも遊ぶ息子の友達が調子を崩してしまったらしく、暇そうにしていたので提案してみました。「おじいちゃんの所へ、設定の変更をしに行こうと思うのだけどRも行く?」「おばあちゃんが、マメしばのぬいぐるみを買ってくれたって前に連絡が来たから行く。」いくつになってもまだまだ幼いなと笑えてきて、昼ご飯の後、父にメッセージを送り両親宅へ出向くことにしました。帰省ブルーが和らいでいることに感謝だなと、本気で安堵して。ようやくここまで来たね、何気ない提案が解を呼び込み、自分を助けることになった不思議な一日のはじまり。
父から2時には帰ると返信があり、1リットルの水を持ってマンションのエントランスに着くとちょうど二人が帰ってくるところでした。災害があるとエレベーターが止まってしまうから、水は常備しておいた方がいいと伝えても、二人が用意しないことは分かっていたので分割して届けることに。そして、挨拶をし、せっかくなので仏壇の前に水を供えておきました。それから、プライムビデオの設定を見た後、みんなでお茶をし、父はそそくさとポケモンGOのイベントがあるから忙しいと言って出かけ、息子はスマホをいじっていたので母と何気ない会話をすることに。最近観た映画の感想を振ってみると、どのあたりが感動したのか具体的に話してくれて、好循環を感じました。日課のように行く父のパチンコ、その間母は一人きりで、その時に彼女の時間が充実できる何かがあればいいなと。その穴を映画が心地よく埋めてくれて、母の毎日に色が入ったことが分かりました。父だけが楽しそうで虚しさが募るのではなく、それぞれの世界を尊重し、重なった時間を楽しんでくれたらと。そんな気持ちが届いたのか、父の不満を小出しにしながらも、さっさと出かける姿を見守る母は強くなったなと思いました。「最近ね、私の耳が遠くなって、だから声も大きくなるからお父さんと会話がしづらくて相手もイライラするし、そこが難しいところ。」父は、外面がいいけど相手に合わせるのはあまり得意な人ではない、気の短さはそうそう変わらないよねと思いながら、母の気持ちを慮ることに。色々と話を聞く中で、彼らのライフスタイルが見えてきて、あまりにも気になったので伝えました。「洗面所の詰まりっていつから?」「ちょっと前から。面倒くさくて・・・。」本音がぽろりとこぼれ出たので笑ってしまって。前の母なら、まだこの期に及んで言い訳ばかりでした。やろうと思っていたのよとか、最近までは綺麗だったとか、たまたまそこだけ忘れていたとか。そういう虚勢を張ることをやめた母は、なんだかとても素直に感じられて。「Rがバッティングセンターに行きたいと言っていてね。その間に詰まりを直しておくから、二人で行ってきてくれる?」「え~、ボクやり方分からない。」いやいや分かるやろ、二人で行きたくない気持ちには気づいているけどちょっと頑張ってきて~と糸電話で伝え、渋々行ってもらいました。洗面所に行くと、鏡もくすんでいて、この前に立ったら自分もくすんでしまうよと思いながら、磨くことに。詰まりも直し、ピカピカにすると今度は風呂場も気になってしまい、同じ現象が起きているのではないかと頭がフル回転するので止められる訳もなく、案の定浴室の詰まりが大変なことに。どうしよう水が流れない、人の家の浴室を壊したか?!と慌てていると、呑気に父が帰宅。「おう!」おう!じゃないわと思いながら聞いてみることに。「浴槽の詰まりって前から?」「そうなんだよ。ゆっくり時間をかけないと流れないぞ。」あのね、自覚があるんだったらやりましょうよと思っていると母と息子が帰宅。申し訳ないけど夕飯の買い物もお願いし、そして割り箸貸してと事の詳細を話し、本気で取り掛かるとすごい塊が出てきて、不衛生にも程があると笑ってしまいました。入ってしまったスイッチはどうにもならず、お風呂を磨き、掃除機をかけ、キッチン周りを掃除し、コップを除菌していると姉の声が。「Sちんは家政婦じゃないんだよ。そんなことしなくていい。」何度も言われた言葉が頭を駆け巡る。ネネちゃん、スーパー家政婦だよ。そういうことじゃないと笑う彼女が想像できて。彼らのためじゃなくて、自分のための行動をしてるよ。だって、排水溝がだめになったら他の住民の方にも迷惑が掛かるかもしれないし。何より、自分がすっきりしたいからそうしてる。心の中で伝えると、姉は微笑みそれ以上何も言わなくなりました。そして、二人も帰宅し、母は感激し、穏やかな夕飯が待っていて。それから、会話をする中で、大事なことに気づきました。父と私は政治などサクサク話を進めていく、母は解釈が追い付かず、取り残されたような気持ちがイライラにも繋がっていたのではないかと。スピードが違う、それはもしかしたら、彼女が子供の時から抱いていた劣等感のようなものに関係しているのではないかと思いました。本人に自覚はなくても、無意識の間に悔しくて悲しい思いをしていたのではないかと。父は母ののんびりとしたスピードにいら立つ、だから会話もぐっと減り自分から終わらせてしまう、その繰り返しで彼女の孤独は膨らんだのかもしれないな。もっと早く気づいてあげられたら良かったね。でも、まだまだ残された時間はある。来世にまで宿題を持ち越さないために今できること、合格点をもらえるぐらいには解けた、そう思いたい。
帰る前、仏壇の前に座りみんなにお別れ。父にご馳走様でしたと伝えると、「サンキュ。」と返事がありました。本当は俺の役目でもある、それを娘がやってくれたというのはさすがに自覚があってよしと笑いを堪えながら玄関へ。「お掃除ありがとう。今度Rのお誕生日プレゼントで服を買ってあげたいから、また都合のいい日を教えてね。」次の約束を取り付けないと絶望してしまうような以前の母とは違っていました。タイミングが合えばでいいのよ、そんなニュアンスに彼女の頑張りを感じて。お母さん、自分の足でもう一度立ち始めたね、その勇気はあなたのものだよ、それが生きる力になるんだと思う。そんな姿を見せてくれてありがとう。優しい気持ちでバイバイ、そして息子に伝えました。「今日、一緒に行動できなくてごめんね。洗面所も浴槽も大変なことになっていて、Rが時間をくれたからおじいちゃんとおばあちゃんを助けることができたよ。ありがとう。」「そんなにヤバかったの?!綺麗になって良かったね!」そう言って二人で笑い合いました。点だったものが線になり、でも全然繋がらない時がある。それが何かの拍子に一部が繋がると一気に円に。そういうことだったのかとその円の中でほんわかとした気持ちになることも。その円は、小さくても、シャボン玉のように誰かの一瞬の笑顔になるかもしれない。そんな奇跡を探していけたなら。息子の心を学んでいたら、母の心の一部が分かった気がした、きっとそういうもの。