シェアオフィスから、早めのランチに行き、そこから何か掴めるものはないかとアンテナを張り巡らしていた時間。特に何もないので、フードコートで伊右衛門のペットボトルを片手に考えてみました。ここで立ち上がり、いきなり「乾杯~。」ってやったら何人の人が乗ってくれるだろうかと。ただの怪しい人で終わることは分かっていたのでもちろんやらなかったのですが(当たり前)、想像したら楽しくなってしまい、勝手に盛り上がってきました。
昨日は、全然元気が出なくて、Wordの画面を開き、一行書いては消しを繰り返したところで、隣に座っていた男性がまたさりげなく不二家のミルキーを渡してくれました。「僕、ペコちゃんが好きなんです。」と。絶妙なタイミングと、男性から“ペコちゃん”という言葉が発せられるとなぜか笑ってしまい、一気に和ませてもらいました。二度あることは三度ある?今度凹んでいたらまたミルキーが届くかもしれない。
いつも座っている席から見える沢山の人間模様。その中で、ドロップインの方の再開が始まったのでスーツの方をまた見かけるようになり、軽くテンションが上がるようになりました。顔を見ている訳ではなく、スーツを着こなしている何とも言えない振る舞いが好き。今日はどんな気分でそのネクタイを選んだのだろう、首は苦しくないのだろうか、靴は朝磨いたのかな、シャンとしている方の様子を見ていると、これからお客様の所に向かうのだろうかと、こっそりいってらっしゃいを言いたくなるパソコン前。そう言えば、大学の卒業式に迎えにきてくれた理系の男友達に聞いたことがありました。「文系は卒業論文があるんだけど、理系って違うの?」と。「卒論じゃなくて卒研になるんだよ。」「え?せっけん?!」「なんで今せっけんの話が出るねん!そっけん!!卒業の為の研究だよ。テーマを決めてそれについて研究した成果をまとめるの。どんだけ天然なんだよ。」と関西出身の彼にかなり突っ込まれてしまったのですが、興味津々で決めたテーマを聞いてみると、衣服の形状記憶について仲間と頑張っているそう。スーツから、パンパンとやっただけで皺が取れるシャツを連想し、ふと思い出す友達との何気ない会話です。
プログラマーのMさんが、私の記事を読み、主治医とのやりとりの中でのことを伝えてくれました。「先生は、Sちゃんの中に感じる何かがあったんだろうな。強いが故に持ってしまう特別な弱さのようなものを感じてくれたのかも。」その文を読み、なんだか参ったなと思いました。私が自分自身に時々困惑してしまう根源は、もしかしたらこれかと。頑張れてしまうものを持っているだけに、後からやってくる弱さというか脆さに、自分で戸惑っているのだとようやく気付きました。先生は、もしかすると初診の時から気づいていて、Mさんも薄々気づいていた中で伝えてくれた言葉だったような気がして、そんな気遣いで胸がいっぱいに。「なんでそんなに僕のことが分かるの?」と何度驚かれたことか。本音なのか建前なのか、本当はこっちに進みたいのに、現実はこっちの方がいいんだろうな、でも実は・・・そういった言葉の裏側が読み取れてしまう。そんなことを繰り返しているうち、ありのままの言葉で伝えてくれるようになりました。私に変化球を投げても仕方がないんだなといい感じで諦めてくれて。そんな彼に、主治医の言葉から私のことを見破られるとは。こんなタイムラグが嬉しかったりするのはなぜだろう。
姉家族と夫と息子、そして母の8人で温泉旅行に出かけたことがあった数年前。私に対して横柄な態度をとる母に姉がすぐ気づき、窓際にあったソファに呼び出されました。母に内容を聞かれないように、ちょいちょい英語を織り混ぜながら聞いてくる姉の話し方に、笑えてくるわ感激するわで、心の中は大騒動。S、いいから吐け!と誘導尋問さながらの雰囲気で吹き出しそうになりながら伝えました。「名古屋にいるお父さんが、またお母さんを悲しませたんだよ。それで、お父さんからも連絡が入って、珍しく一人で寂しいと弱音を吐かれ、二人の間に入ってちょっと参ってる。」最近使っていなかった英語を、単語だけ混ぜたので、もうルー大柴さん状態。その不器用さに姉も半笑いしながら聞いてくれました。「いつも短時間しかお母さんに会っていなかったから、本当の所はよく見えていなかった。旅行って衣食住を共にするから、さすがのお母さんも私の前でボロが出たんだと思う。Sの前で態度が酷い。あんたは召使いじゃないんだよ。お父さんも、都合のいい時だけ娘を頼るな。もう少しぐっと距離を取れない?ちょっと見ていられないよ。」姉のその言葉が、本物で、なんだかそれだけで十分でした。「もう少し考えてみるよ。」そう言って微笑んだ私を見て、かける言葉を失った彼女。ここまで頑張れたのは、この人がいてくれたからかもしれないな、全然タイプが違うのに、分かろうと必死に考えてくれた姉の優しさを、もしかしたらずっと前からもらっていたのかも、そんなことを思いました。
掴んだものを離さない、だからきっと今がある。離すものか、どんなことがあっても。