上を向くには

ネネちゃんの誕生日、お祝いメッセージとなかなか会えなくてごめんねを伝えると、返信をくれました。『ありがとう。-5歳目指して頑張ります。今年はまだ暖かいせいか誕生日ブルーが心なしか軽減されてる気が。Sちん、無理ないように。近いうちにお茶できますように。』暖かい日が、姉の心を解してくれていたようでほっとしました。もう少し充電できるまで待っていてね。そんな気持ちで相変わらず慌ただしい週末を迎えていると、なんでも取っておきたがる息子に、さすがに堪忍袋の緒が切れました。それでも、ドカンと言ってしまわないように微調整。「一定期間置いておくのはいいよ。でも、埃が被って大して大事にしていないものまで取っておいたら、家の中が物で溢れかえってしまうから、さすがに片付けよう。」ん?もう少しヒートアップしていたな。それはともかく、嫌々ながらも片付け始め、今日も相当頭痛がきついなと思っていると、奥から3年生の時の冊子が出てきました。画用紙をめくると、授業で書いたとみられる息子の文章が目に入って。どうやら、漢字に思いを込めるという内容でした。息子が選んだのは『楽』、そして私宛のメッセージがありました。『ママへ ママといっしょにいるととても楽しくておもしろくて毎日とってもいい一日です。ママに生れてぼくは、世界一うんのいい子です。ママこれからもよろしくね。』泣けるじゃないか。書いた日にちを見ると、引っ越しをして2か月も経っていない3月でした。まだまだいろんな思いの中にいたはず、こっそり一人で泣いた日もあったのではないか、そんな中で紡いでくれた息子の心温まるメッセージに胸がいっぱいでした。気づかれないように、こっそりしまっておくことにしよう。

そして、二人の生活もすっかり自然なものになった最近、賃貸マンション更新の書類が届きました。内容を見てみると、本当に更新料がかからず2年前のことが思い出されて。今の住まいを見つけてくれた仲介業者さん、更新料がかからないことを一緒に喜んでくれました。その友人である引っ越し業者さんは、こちらの事情を知った上で伝えてくれて。これから良い事が沢山あると思うので楽しんでくださいと、笑顔の絵文字と共に届けられたメッセージ。他にも、引っ越しの見積もりで来て頂いた営業マンの方には、ご自身の経験を踏まえ、具体的な心配とエールを深く送ってくれました。更新の書類を見て、自分が助けられたその時のことを絶対に忘れたらいけないと強く思いました。一度きりだったとしても、気持ちの中で手を繋ぎ引っ張ろうとしてくれた人達がいる、僕達も助けられてきたからとその恩を私に向けてくれたそのぬくもりを、今度はこちらがまた誰かに渡す番だと思っています。苦しい時にかけてもらえた言葉、そこに生きる力が含まれているような気がして、だから今もこうしてここにいられるのかもしれません。シェアするハートが、誰かの笑顔や涙に変わってくれたなら。
日本シリーズ、阪神対オリックス戦を7戦とも息子とテレビの前で観戦していました。どの試合も白熱、そして決着は最終戦へ。阪神の優勝が決まり、38年ぶりの日本一だと分かり、その時自分は6歳だったのかと感慨深いものがありました。これまで出会ってきた阪神ファンの方達との出会いや歴史もそこにはあって、きっとみんな岡田監督の胴上げを見て泣いているだろうなと思うと、堪らない気持ちになって。私が阪神ファンの面白さを知ったのは、NHKの連続テレビ小説『ふたりっ子』の双子の姉妹であったお父さん役の段田安則さんでした。阪神の法被を着て、ブラウン管の前に座り、メガホンを持って阪神戦を応援する熱狂的な姿に笑ってしまい、実際の阪神ファンの方も同じような感じなのかなと嬉しくなりました。その双子の姉妹は、タイプが全然違い、葛藤しながらもそれぞれの道を歩んでいく、その姿がどこかで姉と自分と重なっていました。1996年10月からスタートしたドラマ、その当時高校生だった頃を思い出し、胸が熱くなった夜。社会人になり、阪神ファンの方と仲良くなり、星野監督が率いたチームが2003年にセ・リーグ優勝。『おめでとう!ありがとう!!』とメッセージが入り、まだ何にも言ってないし!と思いながら、一人で盛り上がっているその雰囲気に思わず笑ってしまった20年前。もう連絡は取っていないのだけど、日本一の瞬間を大泣きして噛み締めているだろうか。

一人一人に歴史があって、長い年表の中に、推しのチームの優勝が光っていて、またその光を目指して一緒に戦っていたりする。その途中で、自分の辛い経験も繰り返して、そんな時推しのチームも低迷していたり、それでも応援することをやめない。ずっと味方だから、ずっと応援する、いい時も悪い時もあるよ、ようやく勝てたその一勝を一緒に喜ぼうよ。そんな熱いファンの方達と沢山出会ってきました。だから、優勝の瞬間、涙が溢れて、ありがとうの言葉が出るのかな。阪神日本一の優勝、おめでとうございます。そして、オリックスもとても強かったです。一塁にランナーが出ると、オリックスの田口壮コーチがちらっとテレビに映り、その度にぐっときました。イチロー選手と共に一時代を築いたオリックスブルーウェーブ。阪神大震災後の『がんばろう神戸』の文字は、私の心の中にあるユニフォームについたままです。この感動を持って、また未来へ。来年は、どんなストーリーが待っているのだろう。一緒に駆け抜けよう。