日々を紡ぐ

シェアオフィスに来るとかかっていたのは『カノン』。もうね、いきなりセンチメンタルになっている場合ではない。強引に押し込んだ悲しい記憶を思い出してしまいそうで、当分聴くものかと思っていたら流れていたので、朝から自分に笑ってしまいそうになりました。きっと、本当にふとした瞬間に思い出すんだろうな、いいことも辛かったことも、何もかも。

土曜日は、また広報委員会があり、パソコンを持ってコミュニティセンターへ行ってきました。大量の運動会データをさあどうする?という話から始まり、広報担当のT先生から委員長に渡されたCD―ROMを受け取ると、大きなポストイットに描かれていたのはソーラン節の絵でした。それを剥がすとROMにもマジックで同じ絵が描かれていて、これは何かのメッセージなのか?!と微笑ましくなって。上手に描かれていたのでスマホでカシャリとしたい衝動に駆られたものの、他のお母さん達の手前諦め、今度先生に会ったら花丸でも伝えようと思います。そして、運動会の先生達のコメントがWordに入っていたのを確認。すると隣にいたあたたかい6年生のお母さんがひと言。「1年生、2年生って学年ごとに分けられているのに、“5年そして4年”って、そこだけドラマチックになってる~。」と教えてくれるものだから、二人で笑ってしまいました。これ、わざとボケた訳じゃないよねと先生の天然ぶりがツボにはまってしまい、大盛り上がり。何気ない所で人柄って出るんだな~。そんないつものほんわかとした雰囲気の中、集めたデータを委員長に渡し、移行している間に談笑が始まりました。すると、委員長の病院勤務の話になり、思いがけない展開が待っていて。「○○さんが働く病院って市内ですか?」と私。「実は、○○病院なんです。」その名前を聞き、言葉を失いました。そこは、私が手術をした病院だったから。左の卵巣を丸ごと一個摘出するのは執刀医の説明で理解していたものの、右側にも腫瘍が見つかり、半分を切除したこと、そして卵管二つも取ったという事実にショックを受けた看護士さんの説明。そんな私に寄り添い、良性だったことをまずは喜びましょうよと言ってくれた彼女の優しさがずっと胸の中にありました。マイナスのことよりもプラスのこと、そこに焦点を当てたらきっと未来は明るくなる、そんな気持ちで応援してくれたことを知っていました。それから二か月後、薬物療法にも入っていて、術後の痛みと副作用でまだ状態の良くない体で出向いた一回目の広報委員会。土砂降りの雨の中、小学校へ向かい、ほんわかとした委員長が看護士さんだと話の中で感じた日。この人を助けることで何か恩返しができたらとそんなことを思っていたら、帰り際サドルがベタベタなことに気づき、渡された委員長のタオル。本当に優しい方だなと思ってお礼を言うと、「私これから仕事なんです。」と言われ、「お仕事頑張ってくださいね!」と伝えお別れ。その時向かった先が、自分が二か月前に入院していた病院だったなんて。委員会の最中に色々なことが一気に駆け巡り、泣きたくなりました。人はやっぱりどこかで繋がっている、こんな巡り合わせってある?そう思いながらも、そんな不思議な出会いを沢山してきたこともまた実感としてあって。そして、前に副委員長がそっと伝えてくれたことを思い出しました。「委員長、今救命にいるんです。」と。最前線で働く彼女、相部屋だったおばあちゃん達、救急車で運ばれてきたんだよ、委員長あなたがケアをしていたんですね。そして、私を助けてくれた沢山の看護士さん達とも横で繋がっているんだろうな。

そんな感無量の気持ちで帰宅し、息子は両親と公園に行ってくれたので、ほっと一息つこうとパソコンを持ってスタバへ。すると、隣の紳士的な50代の男性が声をかけてくれて驚きました。誰だろうと思いきょとんとしていると、伝えてくれて。「僕、シェアオフィスを最近利用し始めた者なんです。あなたをたまに見かけていたので、今日お会いできてお話がしたくて。」「ああ!そうだったんですね。とても驚きました。声をかけて頂きありがとうございます。」そう言ってすっかり談笑が始まりました。30年サラリーマンをやって、その区切りに自分一人で働こうと会社を辞めたこと、収入は不安定になった、でも自分のやりたいことをやれていて、せっかくだからシェアオフィスで働こうと思った、そう生き生きとした表情で話してくれました。なんだか嬉しかった、なんでだろう。安定を捨てて自分に賭ける、そんな彼が私にも頑張れ!って伝えようとしてくれたからかな。「今日はお会いできて本当に良かった。」そう言って何度もお礼を言って頂いた姿に、こちらの方が何倍も元気をもらったようでした。とっても不思議な一日。

三年近く前、学区外申請を出して、本来行くはずのなかった小学校へ息子は入学しました。だから、そこで出会う全ての方が私や息子にとって大切なご縁のようにも感じていて。学区内の小学校に行っていたら、出会うことのなかった方達。それを思うと、なぜか胸がいっぱい。「T先生、本当なら息子は○○小だったんです。担任の先生になってくれてありがとうございました。」こんな言葉を伝えたのはいつだったかな。どんな確率で人って出会うのだろう。道が一直線だったからという理由で選んだ公立の小学校。今度T先生と廊下ですれ違ったら、「星三つ!!」と言ってみようか。ソーラン節の絵のことだと気づいてくれるそんな関係に、笑ってくれるかもしれない。