乗り換えは1回まで

電車の乗り換えが昔から苦手で、いかに目的地まで乗り換えを少なくするか、いつも路線図とにらめっこしながら動くようにしていました。
高校は自転車通学していたのですが、大学は名古屋鉄道と地下鉄を使い、さらにバス、2回乗り換えが嫌で、自転車を現地に置いてそこから自転車通学。今思えば雨の日はどうしていたのだろうと不思議で仕方がないのですが、多分半分濡れながら勢いで行っていたんだろうな。
若いって素晴らしい。

大学4年の3月、父の3人兄弟の真ん中の叔父が、単身赴任で千葉に住んでいて、遊びにおいでと声をかけてくれたので、東京駅で待ち合わせをすることに。
翌日一緒に遊ぶはずが、急に仕事になってしまい、謝りながら都内の路線図と1万円を渡され、「夕方6時に六本木のアマンドで待ち合わせをしよう!」。
父もかなり適当な人なのですが、さすがは兄弟、慣れていますよ。
「アマンドって何?」と聞いてみたら、「六本木駅出てすぐのお洒落なカフェだよ。行けば分かる!」とまた適当な説明を受け、深夜まで路線図を見ながら目的地を考えて就寝。

とりあえず山手線に乗れば何とかなると思い、内回りか外回りかよく分からなくなっても、乗っていたら1時間で一周するってそういえば社会科の先生が言っていたなと、小さな豆知識が役に立ち、遠回りをして新宿に到着。今思えば、中央線に乗った方が早かった~。
最初に1人で過ごしたのが新宿だったから、特別な思い入れがあります。

お店が多すぎてファーストフード店でランチ、そこから渋谷に行って、六本木に到着。全然乗り換えが1回ではなかったけど、時間がやたらとあったんだろうな。
夕方、アマンドの中で待っていたら、窓ガラスの向こうから、恥ずかしいぐらい手を振ってくれた叔父がいて。あの~お洒落なカフェなんですけど・・・、と思いつつ1日1人で過ごしていたので、くしゃっとした笑顔にほっとしました。
昼間は一緒に過ごせなかったけど、スーツを着て仕事終わりに緩んだ顔を見せてくれて、本当に嬉しかった。
実家があるのは佐賀、北海道に仕事を決め家族を残して、単身で千葉、職場は東京、叔父の頑張る姿を見て、父の働く姿と重なりました。切なくて、温かい気持ち。

その後夕飯を食べ、叔父が酔っぱらいながら、夜の東京タワーを見せてくれて、それがとても幻想的で、やっぱり東京のシンボルで、どんと構えた三角の形が都内の方達を見守ってくれているようで、なんだか嬉しかった帰り道。隣はお酒臭かったけど。

翌日、お別れの新幹線のホームで最後に伝えてくれた言葉は、「今までよく頑張ったな。兄貴のこと、よろしくな。」
適当に見えても、やっぱり兄弟思い。そして、私の辛さをそっと感じご褒美に呼んでくれたのも分かっていた。父が家を出ても、叔父が前と変わらず接してくれたのが堪らなく嬉しく、気持ちが溢れた帰りの新幹線。在来線じゃないよ、ご褒美新幹線。