何でも好転させる

今年の1学期は、イレギュラーの9月末。息子の連絡帳を見て、翌日の予定を確認すると書かれていたのは、『しゅぎょうしき』。なんの修行じゃ!コロナに負けない対策でも取るのか?!と笑い転げてしまいました。突っ込むのも面倒くさくなり、とりあえずスマホでカシャリ。これで、しゅぎょうしきは、永久保存。悲しい時は、こっそり開けてくすっと笑うことにします。

そして、その日は半日授業だったので、車を走らせ一凛珈琲でパソコンを広げようと向かうと、たまたまお昼からの営業で振られてしまいました。こんな日もあるよねって思いながら、コメダへ。席に落ち着き、メニューを見ていると、「久しぶり~!!」とテンションMaxで声をかけられ慌てました。ああ!とこちらも同じ温度になり大盛り上がり。幼稚園時代の友達がコメダで働いていることをすっかり忘れていて、感激の再会でした。今年は、別々のクラスになってしまい、LINEでの相談もなくなり、なんとなく疎遠になっていたので、ぱっと明るくなる彼女の明るい笑顔で胸がいっぱいに。「緊急事態宣言中、ATMで会ったのに、挨拶しかできなくてごめんね~。」そんなことを言われ、そういえばそうだったねと笑い合うこんな時間が堪らなくて。誰もが抱えていた宣言中のグレーな気分。今は、そこに色がついて、前に進み出しているこの感覚を大切にしていきたいと思いました。「メニューが決まったらボタンを押してね!」とお水を置いていってくれた友達。ゆっくり選び、忙しくしていたので他の店員さんが来るだろうと思いボタンを押すと、また彼女が登場し、「来ちゃった!」と言われ大爆笑。1upどころじゃないな。こんな笑顔を向けられたらね、一日笑っていられるよ。

そして週末、ふらっと電車に乗って上島珈琲へ行ってきました。お気に入りの黒糖ミルク珈琲を飲んでほっと一息。そう言えば面白い電話がかかってきたなと笑えてきて。名古屋に両親が帰省した際、地元でお世話になっている保険会社の営業マンの方と母が会食をすることになり、楽しそうに電話がかかってきました。その方は、私も現在進行形でお世話になっている信頼できる友達でもあった訳で。まだ私が一人暮らしをしていた時、とても母と波長が合い、「この人なら信用できると仲良くなった営業の方がいて、あなたも機会があったら会わせたいわ。」と母に言われたことがありました。お金に関することだし、母の話を信頼したくても彼女の精神状態に浮き沈みがあることを知っていたこともあり、話半分で聞き、本当に会ってしまった方が不安感は払拭できるかもしれないと思い、営業の方の出張のタイミングで、小田原駅で待ち合わせをすることにしました。うさん臭さのまるでない、穏和な一人の男性がそこに。この人は信頼できる人、直感でそう思いました。それでも警戒心をどこかで持ちながら、話し始めると、緊張の糸は解れ、母が安心して任せている理由がよく分かりました。その初対面以来、私もすっかりお友達に。おんぶに抱っこの娘の苦悩を感じた彼は、ある時伝えてくれました。「僕にも守秘義務があるので、たとえ親子でもお母さんのお金の具体的な金額は言えません。ただおじい様が、苦労をさせたお母さんに財産はしっかり残してくれています。だから、お母さんはお金に困ることはないです。Sさんが苦しくないように、それだけは僕から伝えさせてください。あと、ご夫婦の事なので、僕があれこれ言うのは違うと思っていて、それでもSさんにだけは個人的な僕の意見を言わせてもらいたくて。お母さん、お父さんの存在があったら大分変わると思います。そうしたら、あなたが一人で頑張らなくてもよくなる。お父さんの存在は、めちゃくちゃ大きいですよ。」

保険会社の営業マンとしてではなく、友人としてかけてくれたその言葉に、泣きそうでした。私が抱えていたものの大きさを、嫌というほど母を通して知ってくれていたからこそ伝えてくれた思い。「Sさんしかいない。お母さんがそんな気持ちでは、ずっとあなたが苦しいままです。」母の言葉をダイレクトで聞いてくれていた彼は、その重みを感じ、何度胸を痛めてくれたことか。

そして、今回かかってきた電話。「すっかりご無沙汰しています。今お母さんとご飯を食べているんですけど、とっても幸せそうで安心しました。お父さんとまた同居して、僕もほっとしています。いやあ、本当にここまで長かったし大変でしたね。こんな日が来るなんて、とっても嬉しいですよ。Sさん、これ小説書けますよ。激動の年月、あなたがどれだけの思いをしたのか書いてほしいです~。」ははっ。もう一緒に笑うしかない。彼とカフェでテーブルをはさみ、ぐっと涙を堪えた日。気が狂ったように母が泣き、電話の向こうで、「Sさん、大丈夫ですか?」と絶句しながら寄り添ってくれた日。言い出したらきりがない。そんな一つの家族をずっと裏側で支え、応援し続けてくれた彼。小説じゃなくてね、エッセイを書いていますよ。その時、どんな思いだったか、どれだけ周りの人達に助けられたのか。一人だったら語れなかったもの、いつも誰かがそばにいてくれたから、書けるものがある。トンネルを抜けた先に人が待ってくれていたのではなく、暗いトンネルを、こっちだと安心できる距離で寄り添ってくれた人達が沢山いたから。
「Sさん、これから先も苦労が多いと思います。でも、何かあったら相談して来てほしい。もう、友達じゃないですか。遠慮はいりません。」挫けそうな時にこんな言葉をかけられたら、顔を上げないわけにいかないでしょ。
だから、私も伝えられる。ここに来てくださる全ての方へ、あなたが辛い時は、ここにいる。